日本の文学賞

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水上のパッサカリア

日本ミステリー文学大賞新人賞

水上のパッサカリア

海野碧

音楽的な構成を取り入れたミステリ作品。水上を舞台にした人間模様と事件を描く。

音楽人間関係犯罪

作品情報

音楽的な構成を取り入れたミステリ作品。水上を舞台にした人間模様と事件を描く。

書籍情報

出版社
光文社
発売日
2007-03-20
ページ数
345ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784334925413
ISBN-10
4334925413
価格
1 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

腕の良い自動車整備工・大道寺勉は3年半前からQ県にある湖畔の借家で、一回り近く年下の片岡菜津と穏やかに暮らしていた。半年前、暴走族の無理な追い越しによる交通事故に巻き込まれ、菜津が死んだ--。菜津が育てた飼い犬と静かな暮らしを続けていた11月のある日、勉が帰宅すると昔の仲間が家の前で待っていた。菜津は謀殺されたのだという、衝撃的な事実を携えて…。 圧倒的な文章力に緻密な描写力。満場一致で日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した快作! 次作が待ち望まれる大型新人、登場。 【第10回日本ミステリー文学大賞新人賞 選評より】 有栖川有栖氏 読み始めてすぐに、これが受賞するだろう、という手応えを感じた。 北村薫氏 読後、思わず、「パッサカリア」のCDを探し、かけてしまった。要するに、そうさせるだけの作品であった。 高橋克彦氏 海野さんは間違いなく書ける力を持った人で、安心して推薦できる。 田中芳樹氏 文章力、描写力、人物造形力等において、他の候補作を圧倒していた。 【編集部のコメント】 選考委員100%のYESで受賞決定した傑作。新人とは思えない筆力。よくぞこの賞に応募してくれたと思います。これを受賞作として紹介させてもらえることが担当者としてうれしい。イチオシの作品です。

1950年長野県生まれ。56歳。娘一人を持つ主婦。

レビュー

  • 選考委員は本当に読んでいるのか?

    出だしで女性が死んだことがわかり、その時点で時系列が過去へとワープする。 そこからが冗長な話のオンパレード。ときどき、主人公の過去を窺わせる記述が出て 期待させるが、まだまだどうでもいい話が続く。 やっと始末屋稼業が明らかになるが、それがまたセコイ話ばかり。 犬の鳴き声くらいで、大の男を何人も雇うか? 文章もくどい。大沢や北方謙三が選考委員だったら、違った結果になっていたと思う。 この作者はハードボイルド作品を目指していたと思う。しかし、やはり女性的な内面が どうしても出てしまったのではないか?犬にもこだわりすぎ。 無理にハードボイルドを書かず、恋愛物語りを書くのがいいと思う。

  • ハードボイルド、でも切ないラブストーリー

    ハードボイルドは苦手という人にも是非勧めたい。私自身ハードボイルドは苦手だが、文句なくよかった。主人公の大道寺勉は表向きは自動車整備工だが、どうやら裏の顔があるらしく、それがなんなのかは中盤になるまでわからない。そこに至るまではラブストーリーかと思うほどに切なく美しい。 奈津という女と湖畔の家に越してきて3年。大道寺の回想の中で語られる奈津はもうこの世にいない。彼女のいじらしさ、はかなさ、けなげさに何度か涙が出た。「女はどこかで踏んだり蹴飛ばしたりする石ころのようなもの、かわいらしくて素直な石ころなら拾って撫でまわし、磨きもしてしばらくは懐で温めもするだろうが、しょせんは石ころだから飽きたら捨てればいい」。女に対してその程度の認識しかなかった彼が、亡くなった奈津の遺灰をいつまでも手元に置いている切なさ。 中盤から様相は一変しハードボイルド色が濃くなってくる。グイグイ引き込まれる。彼のもうひとつの裏の顔と仕事。誰が利用されて誰が生き残るのかわからないサバイバルゲーム。最後までどんでん返しが続く。 たった一人で過酷な過去を乗り越えて生きてきた男と、その人生に飛び込んできた幸薄い奈津という女。その女の忘れ形見のような犬、ケイト。これらが渾然一体となってハードボイルドなのに柔らかな小説になっている。女性にもお勧めだと思う。

  • これはどうなんだろうか?

    主人公の同棲相手が交通事故でなくなってから、昔の稼業の仲間がやってきた。また一仕事してほしいということだ。昔の仲間と一緒に服部を始末しにいきます。 まあ正直言って、何ともいいがたいなあという感じがしました。主人公はハードボイルドでミステリアスな雰囲気をかもし出しているが、あまり物語に共感できなかったですね。他の登場人物もどうなんだろうという感じがしてならない。また、ミステリーの出来としては何が言いたいんだろうという感じがしてならない。やっぱりこうなるんだなという感じがして、なんとなく展開が読めました。 主人公とその同棲相手の片岡奈津との関係については、何かほっとするところがあるなあ。どんくさい女性とクールな男性の恋愛ということでね。最後のパッサカリアの曲をかけて奈津と犬と主人公とで埋葬の儀式をしているところは一応主人公が奈津のことを思っていたということで良かった。曲を聴いてみようとは思わなかったが、その儀式のところだけは良かったなあ。 情景浮かぶような文章ということで文章力はあると思う。しかし、文章が多少冗長すぎるのも気になったところだ。

  • ハードボイルド好きにはきびしいかも

    うーん、よく書けている(ってエラそうだが)ハードボイルド風の作品であることは認めるが、いかんせん薄い読書感であった。本書の新聞広告に、『ロング・グッドバイ』と並行して読んでいたけれど本書の方により引き込まれた、といった怪しげな読者感想が載せられていたが、これ、なんとなくわかる。重厚に書き込まれ各場面各言葉にそれぞれ何度でも読み返す価値のある「ひっかかり」があるがゆえに、読むのに少し精神力が必要とされる古典より、本作のようなテンポのよいストーリー展開と平明なユーモアと屈託のない感傷と何も残らない爽快感の方が、現代のマジョリティには受けるのだろう。私も全体としては楽しく読んだ。 けれど根本的な問題として、はたしてこの主人公は魅力的なのか、という疑念を強く抱く。心技体ともに鍛えられており狡猾な頭脳をもち、常にかっこよく立ち回りやたらと人に好かれるのだが、なんだかやり手のエリート・サラリーマンみたいであまり共感できなかった。前半の愛した女性との嬉しく哀しい物語+謎めいた過去の小出しの連続、という部分はけっこう魅了されたのだが、彼の正体がだんだん明らかになり嬉々として本領発揮し始めてからが非常につまらなかった。世渡り上手な「私」はちょっとなあ、と。 たとえば桐野夏生の創作したミロとかね、不器用に傷つき傷つけられながら、表向きにはかっこ悪かったりみっともなかったりするのだけれど小説世界で輝く強さ、みたいのが好きな読者としては、本書の主人公のあからさまなヒーローぶりは正直しんどい。

  • 期待していたのですが。

    評判に期待していたのですが、がっかりです。前半くどいし、後半ストーリー無茶苦茶。筆者は結局ラブストーリーを書きたかったのでは。ハードボイルドを期待すると残念な結果に。

  • パッサカリアに惹かれて

    タイトルとパッサカリアに惹かれて手に取ったけれど文体がちょっと癖があり読みにくい。でもストーリーは面白くて結局最後まで読んだ。女性の描くハードボイルドにしてはちょっと物足りないし、ミステリーではないね。でもまあまあかな。新人賞だしね。わたしには書けないもの(笑)主人公の男性にはちょっと魅力を感じたので続編も読んだわたしです(笑)

  • 余韻は残る

    確かにハードボイルドにしてはギラギラしたものが感じられず、困難なく 作戦が成功するのは拍子抜けだ。かといって恋愛小説とは思えない。 こんなに話を引っ張るのだから何かあるだろうと思ううちに終わってしま った、という感は否めない。 ただ、主人公ベンの乾いた性格と菜津のみじめなまでの優しさ。二人の結び つきには説得力があったし犬好きなヤクザという設定の岡野のキャラクター は面白いと思った。湖上に愛した女性の遺灰を撒く最後も余韻が残る。 本作がデビュー作ならこの作家が評価されるのはこれからだろう。

  • 読んでいる間はモッタリしつつも

    読む前は、 この厚さの単行本なら2時間くらいで読み終えるかなーと思っていました。 主人公についての情報が最初の方ではあまり出されておらず、 読み進むにれて小出しに出てくる為、先へ先へと読み進めたくなりました。 しかし、内容が重い訳ではないのにモ〜ッタリしていて 途中で何度か休憩を入れたくなり、 結局読み終えるのに半日かかりました。 前半は、主人公のあまりの冷ややかな視点に 不吉な予感を抱えながら読み進めましたが、 最後まで読み終えて……菜津とこの主人公のふたりをそうっと抱きしめたくなりました。 読後感は穏やかで爽やか。 読んで良かったなーと思える、印象に残る一冊でした。

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