作品情報
虚子俳句の力を、鑑賞と論考の両面から読み解く。
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レビュー要約
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虚子俳句を新しい角度から読む手引きとして評価され、評論としての明快さと鑑賞の深さが読みどころになる。
書籍情報
- 出版社
- 三省堂
- 発売日
- 2010-10-26
- ページ数
- 272ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784385365053
- ISBN-10
- 4385365059
- 価格
- 1684 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
「単純なること棒のごとき句・・・ボーツとした句、ヌーツとした句、ふぬけた句、まぬけた句」を理想とした虚子の俳句の魅力はどこにあるのか。 そもそも「虚子」とは何者なのか。虚子俳句鑑賞の新しい手引書。
レビュー
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虚子俳句の底力!
歳時記などで虚子の句を見ると、何か物足りないような感じがしていた。本書でも、虚子の句はときに無造作で素っ気なく、ときに投げやりに見えると書かれている。 では巨匠が適当に作っただけなのかというと、そうではなかった。軽々と詠まれているように見える虚子の句が、いかに俳句という器を生かしたものであるか。本書ではそのことがこまやかに平明に論じられている。 小感動や小ざかしい意匠を排した虚子の句は、誰の心にもすっと入る。単純さは読者の想像力を刺激する。「虚子は俳句に意匠を求めることよりも、俳句に無理をさせないことを優先した」「虚子の句は長いものを縮めた十七音ではありません。短いものを引き伸ばした十七音です」というくだりには、はっとさせられた。岸本氏の慧眼、恐るべし。 とどのつまり俳句はシンプル・イズ・ベスト。必要なのはバランス感覚。花鳥諷詠と客観写生についての考え方なども、勉強になった。
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虚子俳句の軽みへの共感
虚子の俳句の魅力を多角的に分析して、俳句という文学の特性を明らかにする。『西遊記』にたとえるなら、俳句界の様々な「革新」も虚子という如来のような掌から出られないということであろうか。何度も引用される虚子の言葉がある。「渇望に堪えない句は、単純なる事棒の如き句、無味なる事水の如き句、ボーツとした句、ヌーツとした句、ふぬけた句、まぬけた句等」。芭蕉の俳句は晩年に「軽み」を志向するようになったと言われるが、虚子は若くして「軽み」を体得し生涯を通じて実作をもって示した。世にごまんとある鋭い句、うまい句は、それ故の意匠をもち特有の臭気を発するが、虚子の句が意匠を超えた意匠、まさに水の如き句である所以を、他の作家との比較を通して論じる。著者の虚子論は「軽み」がキワードとなる。 本書は単なる作家論ではない。芸事の私淑する師匠へのオマージュ、いやそれ以上のもの、信仰告白のような情熱を湛える。俳句の俳句たる所以であろうか。しかし、よくある師匠礼賛本とは一線を画する。著者の句歴について筆者はよく知らないが、結社の政治性からはまったく自由な立場にあるということは分かる。一人の俳人として虚子と長年向き合い続けて生れた、真摯な魂と冷徹な知性の賜物である。
関連する文学賞
- 俳人協会評論賞 第26回(2011年) ・受賞