作品情報
描き手の目で、日本美術の不思議な魅力とねじれをたどる。
日本絵画における写実、遠近法、構図の違和感を、画家自身の感覚から読み直す一冊。美術史の知識を並べるだけでなく、絵を描く身体感覚から作品を見直すため、読者は古典絵画をより身近な問いとして受け取れる。
レビュー要約
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軽妙な語り口と図版を追うような観察の細かさが支持されている。美術史の入門として読みやすい一方、画家自身の視点が強いため、通史的な解説を求める読者には独特に映る。
書籍情報
- 出版社
- 祥伝社
- 発売日
- 2012-11-01
- ページ数
- 256ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 12.8 x 1.8 x 18.8 cm
- ISBN-13
- 9784396614379
- ISBN-10
- 4396614373
- 価格
- 1980 JPY
- カテゴリ
- 本/アート・建築・デザイン/芸術一般/美術史/東洋・日本美術史
山口晃、初の書き下ろし「画論」! 自分が描いたということにこだわらなかった「鳥獣戯画」の作者たち。絹本に白色 を差すまでの絵師の心細さ。「伝源頼朝像」を見たときのがっかり感の理由。終生 「こけつまろびつ」の破綻ぶりで疾走した雪舟のすごさ。グーグルマップに負けない 「洛中洛外図」の空間性。「彦根屏風」など、デッサンなんかクソくらえと云わんば かりのヘンな絵の数々。そして月岡芳年や川村清雄ら、西洋的写実を知ってしまった 時代の日本人絵師たちの苦悩と試行錯誤……。 絵描きの視点だからこそ見えてきた、まったく新しい日本美術史! カラー図版多数掲載
画家。1969年東京生まれ。群馬県桐生市に育つ。 1994年東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。1996年同大学大学院美術 研究科絵画専攻(油画)修士課程修了。大和絵や浮世絵を思わせる伝統的手法 を取り入れつつ、時空を自由に混在させ、人物や建築物などを緻密に描き込む 作風で知られる。巧妙な仕掛けとユーモアにあふれた作品は日本のみならず世界 からも人気を得ており、近年では成田空港のパブリックアートや書籍の挿絵、 CDジャケットなども手掛けるなど幅広い制作活動を展開している。
レビュー
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芸術家だからこそ書けた美術史
『ヘンな日本美術史』と名付けられた本書は、著者の山口晃氏が指摘するように「ヘンな日本美術・史」と取るか「ヘンな・日本美術史」と取るかに依って、多少なりとも解釈は違うとは思うが、何れにしても日本美術の中でも取り分け奇妙奇天烈な作品を扱っているか、若しくは、ただ時代毎に並べただけの美術史を批判的に見ているか…そんな内容を想像するであろう…だが、実際に頁を巡ってみると、その大半が美術史の専門書には必ずと言って良い位に登場する名作ばかりである上に、中世から近代迄の作品を時代を追って紹介しており、寧ろ「何処が一体変なのだろう」と言う感じでもある。 だが、読了して大いに納得…本書を読めば、皆様も、かの有名な作品について、改めて「ヘンな」魅力がある事に気付いてしまうであろう。 さて、上記にも触れたように、本書では著名な作品を数多く扱っており、《鳥獣戯画》《一遍聖絵》《伊勢物語絵巻》《彦根図屏風》等の絵巻作品や屏風絵もあれば、《伝頼朝像》に代表される肖像画ある…また「白描画」「洋画」と言った技法(ジャンル)もあれば、更には、雪舟、又兵衛、応挙、若冲、暁斎、芳年等々、絵師そのものを扱っていたりもするのだ。 特に興味深かったのは、山口氏ならではの価値観や評価が所々に評されている所であり、取り分け、本文中に何度か出て来る「自転車に乗れるようになると、“乗れない事”が“出来なくなる”」という例えが正しく絵師の技術を言い得ており、寧ろ、その域に達しない人は変に取り繕うよりも、寧ろ、下手なりに一生懸命描いた方が潔いと評価している所に納得してしまった次第である。 その代表が、《洛中洛外図屏風》(高津本)であろうか…著名な上杉本や舟木本に比べて、高津本は余り知られていないと思うが(恥ずかしながら、私も初めて知った)確かに建物や構図は素人目で見てもガタガタだ…だが、そこに思い掛けない迫力があり、下手くそなりの良さがあるのだ…また《松姫物語絵巻》然り…描かれている植物等は、思わず《ヴォイニッチ手稿》か?!…と思ってしまったが、その素朴さに何故か和んでしまうのである。 因みに、この時代に敢て「下手な絵」を求める風潮があった事を知ったのも勉強になった。 尚、その一方で「画聖」とも称される雪舟について、事もあろうか「莫迦っぽい絵」と評し(勿論、ここには最大の賛美が込められているのだが)イラストを添えながら解説している所は、何よりも、今まで不自然と思わなかった自分自身の感性自体が「どっぷり日本人の感覚」なのだと思い知らされたし、或いは、普通に考えたら「ヘンな絵」には曾我蕭白を選ぶだろうが、ここで「正統派」の応挙を取り上げているのも面白いし、更には、最終章で扱っている川村清雄の功績に着目しているのも極めて有意義であった。 美術史研究者ではなく、芸術家である山口氏だからこそ書けた一冊。 自らの経験と技術を通しているからこそ見えて来る「ヘンな日本美術史」なのだ。
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山口晃の絵はラフスケッチ数点だけですが…
日本美術史の知識がある程度ある方なら、山口晃の絵同様軽妙洒脱で、楽しく読めます。
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画家の眼
美術史家には見えない視点にハッとさせられる。
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日本美術の「ヘンなもの」を紹介しながら、美術史を語る本。
美術史どうこうというよりは、「あぁ、この絵はこういう見方をすれば良かったのね」という、美術館賞マニュアル本。「なるほど、言われてみればヘンだな」と思うこと数回。 しかし、山口さんがまじめに語っている部分は、「へぇ」とは思うし、勉強にはなるものの、視点が天才的すぎて良くわからない。長嶋茂雄の野球理論を読んでいるような感じである。あぁ、やはり山口さんは天才なんだな、と思った。
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著者の作品も好きだけれど…。
美術解説書としてもとても面白い。 作家の視点からの分析が深い。 ちょっと難解なところもあったが充分に日本美術を愉しむことができた。 また別の著書を読みたくなった。
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実感にもとづいた話。
山口晃さんの本です。 美術の話ですね。最初は具体的な作品を論じながら話はすすんでいき、後半、近世から近代にかけて作家性が強くなると、その作家さんたちの話になる、という感じで、「美術史」が語られていきます。 といっても、とてもリアルな美術史というか、山口さんが、いろいろと現物を見たりして、そこで感じたことや、ポイントなどをのべながら、 技法などについて、詳しく話をしてくれる、という感じです。 文章もうまくて、読みやすいです。 また、「絵の上手い下手」についても、おもしろく読みました。 上手くても、ダメって場合もあるんですね。
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素晴らしい
山口氏をある時知り、私の描きたい絵の世界に近く尊敬していたのでサクサクと読めた。また内容も作家毎に独自の目線で解説されており、更にファンになった。絵を描く人だけでなく鑑賞の好きな方にも楽しめる本だ。
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自転車に乗る事が出来たあとに、乗る事が出来なかった自分には戻れない
鳥獣戯画を、今につながる マンガの元祖と見る向きが ありますが 現代から過去をひきつけて 見るのではなく 鳥獣戯画から未来にむけて どうなって いったかを考える方が 正しいように思えると 言っています 現在から過去をひきつけると こっち側(現代)の都合のいいように こじつけちゃうってことですね 絵は、その時代時代 の要請によって 描かれるものだから 自分が過去に 行って鑑賞するのが 正しい見方であろう ということなんです 日本的な絵というと 遠近法や透視画法という 概念がない ぺたっとした線と面だけで 構成されますが それが 西洋の技術が 入って来ることによって どんどん西洋化がすすみ それ以前の日本画には 戻れなくなったそうです 何度も、比喩で出て来るのですが 自転車にのることを習得した人が もう二度と、のれない時にはもどれない 「のれない」ことが出来なくなった 状態で、日本画が、どんどんどんどん ただ、絵具が日本画用の絵具を使ってるだけで 絵は西洋画のようになってしまってる あるいは、無理に「自転車にのれないこと」を しようとして、意図的なちょっと いやらしい絵になってしまってる その 自転車にのることができない 時代の絵の素晴らしさ、奇妙さについて じつにわかりやすく、どこが不思議なのか 何が魅力なのかを解説した本です
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