黄土の疾風
日中の農業危機、投資ファンド、企業買収を絡め、中国の黄土高原を舞台にした経済小説です。金融と村おこしを結びつけ、国境を越える事業の理想と現実を描きます。
作品情報
黄土の疾風は、受賞時の評価点を手がかりに作品世界へ入っていける一冊です。
日中の農業危機、投資ファンド、企業買収を絡め、中国の黄土高原を舞台にした経済小説です。金融と村おこしを結びつけ、国境を越える事業の理想と現実を描きます。 ダイヤモンド社から単行本が刊行され、のちに文庫化もされている。
レビュー要約
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刊行情報と紹介文からは、受賞時に評価された題材の明確さと読み進めやすい構成がうかがえる。人物や状況の輪郭を追いやすい点が読みどころになっている。
書籍情報
- 出版社
- ダイヤモンド社
- 発売日
- 2011-07-29
- ページ数
- 360ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784478016398
- ISBN-10
- 4478016399
- 価格
- 1760 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
第3回城山三郎経済小説大賞受賞作! 日中両国の農業の危機を克服するため、投資ファンドを設立し黄土高原で村興しを始めた大塚草児。草児の後見人、宮崎善幸が社長を務める総合飲料メーカー・六甲酒造は、欧州穀物メジャー・オレンジサントの乗っ取りの標的となっていた。村興しの成否は? 乗っ取りは回避できるか? 日中の架け橋となる壮大な物語。
1966年兵庫県生まれ。大阪外国語大学中国語学科卒業。上海復旦大学に留学。銀行勤務。著書に『連戦連敗』
レビュー
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中国ビジネスを擬似体験する良書
中国関連ビジネスをしている人にオススメの良書です。 著書の「巨大市場」も読みましたが、この本もしっかりと調査・研究をしていて、実際に中国で ビジネスしている人にとっても違和感はまったくないでしょう(学ぶことが多い)。 もっと良い内容を書いてほしいのでコメント(著者向け) ・「登場人物の会話」と「登場人物の思考」ともに「括弧」で書かれているので読みにくい(と私は感じています)。 「巨大市場」「人民元」でも同様で、小説を読み慣れた人にとっては少し違和感を感じてしまいます。 ・法律の解釈、ビジネステクニックが複雑すぎてついていけません。読者層はビジネスパーソンであっても、ほとんど の人はついていけていないでしょう(もう少しわかりやすく)。 ・登場人物は中国各地を飛び回るが、いま誰がどこにいるのか分かりません。中国での国内線の遅延や移動トラブル など出てきたほうが現実的で理解できのではないでしょうか。 ・「日中が組めば最強」という信条はいいのですが、言葉が軽く、ちょっと読んでいて恥ずかしくなってしまいます。 「日本人のビジネスノウハウ(技術ほか)を成長している中国市場に持ち込めば世界ナンバー1」ということでしょうか? 読者対象はいまのところ中国関連のビジネスパーソンでしょうが、読者対象を広げることができれば高杉良、池井戸潤 のような大作家になるかもしれません。いまのところ中国関連のビジネス小説ではナンバー1でしょう。期待してます。 以上
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上海と雲南省で農業をしたものとして、
中国の上海と雲南で農業をしてきた私にとって 刺激的な作品だった。 黄土高原での農業は、やはり厳しいと思う。 土作りにかなり時間がかかるし、 棚田というのはやはり労力がかかる。 紫色のジャガイモと中秋節に 赤い雪が降る というのが、大きなメタファーのような気がする。 新疆で、トマトを作る。 実際 新疆では、ケチャップ用のトマトがたくさん作られている。 しかし、単価が実に安いのだよね。 ケチャップ用の原料トマトで、果たして農民に利益をあげられるかは 疑問である。現在では、アメリカなどで、機械化が進んで、 かなり低コストのトマトができているので、 中国の手法で太刀打ちできるとは、思えない。 雲南省で、トマト(桃太郎)を作ってみたが、 雲南から、上海に運ぶ場合に、輸送が悪くて、 果実が崩れてしまうところが、問題だった。 確かに、日系のスーパーなどでは 高く買っていただけるが 雲南の市場では、ほとんど価格がつかない状況だった。 トマトは、野菜であり、果実でないということから 炒めて身がぐしゃぐしゃになるというのは不評だった。 トマトのフルーツ化には、まだまだ時間がかかる。 この作品では、農民の心をどう育てるかが、ポイントになっている。 ここでは、無知蒙昧の農民しか出てこないが、随分と大学を卒業して 農業をしようとする人が増えているので、様変わりはしてきている。 大きな農業企業が、農民から土地を借りて、もしくは 土地を購入して、農民を従業員にするという方法で、 政府は、三農問題を解決しようとしているが、 やはり、助成金などでの賄賂が横行し、実際の農地まで お金がこないということだ。 農業のノウハウにお金をかけずに、設備や施設に助成金が 多く、そして、いたるところに「観光農園」ができているのも 奇妙な現象となる。 この作品では、土作りと言っているが、どんな風に土作りをするのかが あまりよくわからない。 ビール会社の提携を絡めて、跡目相続争いみたいに作られていて この物語の構想力は卓越していると思う。 その中で、遺伝子組み換えの世界的ガリバーが 中国をターゲットにしていることは、確かで、 遺伝子組み換えに関しては、中国はかなり積極的に取り組んでいる。 大塚草児の持つ 中国との戦い方は、よく熟知していると思う。 どうやって、中央政府と交渉できる能力を持ったかが、不明でもある。 しかし、リスク管理はきちんとできていると思う。 志村達也は、どうも目的が不明で、その上、自分のポジションを 十分に理解していないというのであるが、あまりにも酷すぎる。 この人が、立ち直るとは思えないなあ。 中国人の唐新宇がキーマン。存在感がある。 確かに、劉備って、目立たないのだが、人間的な魅力がある。 唐新宇をそのようなキャラクターに仕上げたのは、 意味があるかもしれないが、高利の資金を集めて、 会社経営を失敗させたというのも、中国的な英雄とは言えない。 大塚草児、志村達也、唐新宇という人物形成が、物語を深くしている。 何と言っても、警察官アイヌルが、徐々に変化して行く様が 何と言っても、作品に彩りを与えている。
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読後、すっきりしない。
一つの筋が読み進むにつれ複数の筋へと展開し、複雑に交錯しながら最後また一つの筋に収束していく。構成力の高いこの著者の特徴だ。 舞台がどんどん広がっていくから読み手の気分も盛り上がるため読み進めやすい。しかしながら映画や音楽、はたまた漫画などでもそうだが、この手法で展開された物語は往々にして終結のしかたが難しく、そのワナにかかったものだと未消化分が残り、すっきりしない。 この小説もそういった印象を受けた。もしかしたら、それが著者の狙いかもしれない。
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現役銀行員(もと興銀マン)の描いた中国経済小説
デビュー作の「連戦連敗」が非常に面白かったので、最新作を早速、購入しました。前作のようなギラギラとした強引な展開こそ影をひそめましたが、最後まで一気に読ませる展開の早さは健在で、中国ビジネスの第一線の臨場感が伝わってきます。 農業という難しい題材を扱いながらも、経済小説の「面白くてためになる」といった醍醐味を失わず、それが城山三郎経済小説大賞の受賞につながったのだと思います。今回はショパンのノクターンの世界を描き出すなど叙情的な側面も垣間見られ、著者の引き出しの多さにびっくりしました。 謎解きの部分も、現役銀行員(ネット情報によれば、深井氏は日本興業銀行出身とのことです)が書いていることもあって、安心感があり、ラストシーンでは不覚にも、思わずほろりとさせられました。 連戦連敗では「電気自動車で次作」と予言しているので、ぜひ早く読ませて欲しいものです。
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中国人はこんなもんだ
中国農業の再生をかつて中国に移住した日本人家族の遺児である投資ファンドの社長大塚草児の壮大な計画をテーマにした作品。 前半は作品の場所が頻繁に変化するため理解が大変だったが後半の展開は中国法律の世界とは違う概念で逆転に成功する。 中国の恐ろしさとしたたかさを垣間見た。 一般文学通算1760作品目の感想。2016/11/11 19:30
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中国に関する部分以外は粗雑
中国に関する記述が興味深かったので一応最後まで読みました(読めました)が、盛り上がりや決着に持って行くためにストーリーが強引で、しょっちゅう飛躍し、セリフや人物造形も不自然で漫画と劇画の中間のような感じ。過去の経緯や背景など、色々なことがセリフやいわゆる地の分で長々と説明される(素人にはよくありますね)ので、まどろっこしい。そもそも中村美佐子の一連の事件への関与に必然性がなく、役割がよく分からない。また、小道具にアイヌのウトマンニポポを使ったことも中国の小説という全体のトーンを損ね、幼稚な印象を与えている。著者は一生懸命書いたのでしょうけれど、いかんせんあまりにも技術がなく、あらゆる点で粗雑なため、読んでいてつらかったです。
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一気に読み終えた。
ストーリー展開が面白く夢中になって読み終えた。中国の農業問題が日本人の食生活と深く関わっているという主題に、著者の豊富な経験による肉付けがされており思わず引き込まれる。 少しでも中国に関心(否定的でも、肯定的でも)がある人には読む価値がある本だと思う。 欲を言えば、参考文献をもう少し充実させてほしかった。
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中国の農業に関する状況が良く分かる一冊
正直、小説として面白いか?と聞かれると答えに詰まる。内容的には強引な所も多いし、 何故中国を食いものとする外資ファンドの人間が(土壇場で)中国の法律を知らないのか とか、ご都合主義的で、もう少し頑張って欲しいな、と思う部分は多々ある。 ただ、まさしく「生ける屍」となってしまっている中国の農民の状況については非常にリアリティ があり、これを知るだけでも本書を読む価値はあると思う。
関連する文学賞
- 城山三郎経済小説大賞 第6回(2011年) ・受賞