日本の文学賞

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真夜中のサクラ

太宰治賞

真夜中のサクラ

麻宮ゆり子

書籍情報

出版社
筑摩書房
発売日
2004-02-26
ページ数
199ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784480803788
ISBN-10
4480803785
価格
2400 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

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レビュー

  • 斬新

    世間的な美の基準など絶対的なわけではないし、それよりも自分らしく在ることの方が余程大切なのだという当たり前のことに気づかされる話。 ドラァグクィーンの世界を扱っているため異色と思われるかもしれないが、本質はある意味普遍的なことではないかと思う。 男に媚を売る合コン女のくだりとか、いかにもいそうで主人公が感じたのと同様に「気持ち悪い」と感じたが、書き方がサッパリとしているため読後感は悪くない。 自分の価値観を絶対と信じ、「世間もみんなそう言ってる」とか言う奴、いますよ… 感動とか教訓を求める人には向かないし、「自分をいじめたみんなと仲直りしました」というような陳腐な結末はない。 近頃多くのファッション誌で「モテ〜」とか言って男に取り入ることばかり特集したり、同じような髪型、同じような服ばかり取り上げているけれど、そういうのに辟易している人には斬新でお勧め。

  • ※ネタバレあり

    第19回太宰治賞受賞作品。 熱量を持った強さが感じられる作品だった。最初は主人公が痩せてキレイになるシンデレラストーリー系かと思ったけれど、サクラは最後まで太っていたし何も変わらない。外見は。 そのかわり内面は物凄く変わって、吹っ切れて、キレイになった。歩いてきた道や結論が正しいかどうかはわからないけれど、彼女がキレイになったことは確かだ。 貪欲に、貪欲に、貪欲に。呪文のようにそんな言葉が心に残る。

  • 脂肪という名の呪縛

    幼少の頃から太い主人公 劣等感を抱き続けて思春期を過ごす太った主人公 それは就職してからも、自己を隠し、押しつぶすことで生きようとしていた しかし、自分の意思を持ち、人の後ろにつく生き方を変えようとする もちろん仕事も退職、実家から出1人暮しも始める それだけでなく、ドラァグクィーンを知り、ステージに立つ主人公 自分の太い身体を曝け出し、世間に蔓延る統一された体型の美の意識を変革させる と、途中までは自己改革なのは納得出来る でも、抑圧されてきた自己の欲望を満たすのみに走る主人公に最後哀れみを感じる 仕事も、男も、友人も、家族も、自分を否定してきた過去が今を形造るから 主人公は自分の意思を口にするだけで、周囲と歩み寄れてない気がする 自分を認めてもらえなかった、と周囲に反旗を翻しても、そこから逃げては無になる 脂肪という呪縛が彼女を最後まで開放しない

  • 肉体を晒すという事

    太ったOLが自分を蔑む世界を棄て、行き着いたドラァッグクイーンの世界。 その特殊な世界で主人公は自らの肉体を派手に飾りつけ脂肪を揺らし、踊る。 馬鹿にされ続けた自らの肉体を晒す事で肉体への誇りを取り戻していく過程。 主人公が劣等感を振り切り、開き直りともいえる自己肯定に達するこの物語に 共感を覚える人もいれば嫌悪すら感じる人もいるだろう。 暑苦しい物語である。女の情念のようなものに息が詰まりそうにもなる。 だが、この作品には衝動がある。 醜い肉体に宿る精神を描ききろうという衝動。 劣等感を昇華させる衝動。 そういう意味では、いっきに読ませる小説であると思う。

  • 前向きになりる本

    周囲から固められた型が、自分の型だと思い込んでいるままの人は 大勢いるのではないのでしょうか。 そういう思い込みにいながら、ふとしたきっかけに視界が広がる。 主人公は、作り上げられたフィルターを一歩ずつだけどはがし、 確実に強くなっている。 とても、前向きになれる本です。 ドラァグ・クイーンとは。 ショーを見たくなりました。

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