作品情報
重曹と洗顔料と生家の思い出を携えて、パート主婦が越冬する。
第41回太宰治賞(筑摩書房・三鷹市共同主催)受賞作を単行本化。表題作「フェイスウォッシュ・ネクロマンシー」のほか、書き下ろし短編「森と百式―みっちゃん(43)の場合―」を収録する。詩人としてキャリアをスタートし、コロナ禍を経て小説執筆に転じた栗原知子(受賞時の筆名は前田知子)の小説デビュー作。選考委員の中島京子は、「当人にとっては切実な体験が、少しのおかしみとペーソスを伴って描出される」と評価した。
レビュー要約
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高い評価。物語が深刻さに傾きすぎず、柔らかくほんのりとおかしみを交えて描かれる点が支持されており、読み手の心にするすると落ちていく表現力が評された。美空ひばりやビートルズを介した祖母との思い出描写がじんわりと心に染みるとされる。
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高い評価。40代女性の日常に潜む寄る辺なさをユーモラスかつ丁寧な筆致で描いた点が評価された。表題作に加え書き下ろし短編「森と百式―みっちゃん(43)の場合―」を収録した一冊としても充実した内容と評される。
書籍情報
- 出版社
- 筑摩書房
- 発売日
- 2026-01-15
- ページ数
- 160ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 18.8 x 12.8 x 1.4 cm
- ISBN-13
- 9784480805294
- ISBN-10
- 448080529X
- 価格
- 1760 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
♛第41回 太宰治賞受賞 ♛第39回 三島由紀夫賞候補 息子の不登校に悩む四十代の「私」。美容品を扱う店でテスターを使用したその日から、祖母の霊を降ろせるようになってしまった。掃除に打ち込む「私」の傍らで、もの言わぬ祖母は何をどう感覚しているのか。重曹と洗顔料と生家の思い出を携えて、パート主婦が越冬する。 人生の踊り場で来し方を振り返り、自分なりのやり方で自らの生を肯定する第41回太宰治賞受賞作と、書き下ろし「森と百式――みっちゃん(43)の場合」を収録。 「当人にとっては切実な体験が、少しのおかしみとペーソスを伴って描出される。そのいちいちの言葉の選び方に、ものを書く人らしい丁寧さを感じて、わたしはこの作品を推した。」 ――中島京子
栗原 知子(くりはら・ともこ):1975年、宮城県生まれ。明治大学文学部卒業。2002年、雑誌「ユリイカ」(青土社)詩の投稿欄において「ユリイカの新人」に選ばれる。詩集に『シューティング・ゲーム』『ねこじゃらしたち』(ともに思潮社)がある。
関連する文学賞
- 太宰治賞 第41回(2025年) ・受賞