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江戸の想像力: 18世紀のメディアと表徴

芸術選奨文部科学大臣新人賞

江戸の想像力: 18世紀のメディアと表徴

田中優子

『江戸の想像力』は、田中優子による評論。対象の言葉や時代背景を丁寧に読み解き、個別の作品や人物を広い文化的文脈のなかに位置づける。

批評人物文化時代

作品情報

『江戸の想像力』は、田中優子の表現の特色が凝縮された評論である。

『江戸の想像力』は、田中優子による評論。対象の言葉や時代背景を丁寧に読み解き、個別の作品や人物を広い文化的文脈のなかに位置づける。

書籍情報

出版社
筑摩書房
発売日
1986-09-01
ページ数
283ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784480822116
ISBN-10
4480822119
価格
2862 JPY
カテゴリ
本/歴史・地理/日本史/一般/日本史一般

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レビュー

  • 江戸の想像力、創造力、そして人間力

    江戸時代に花開いた文化を支えた想像力、発想力、人間力を幅広く読み解いた著作。 読み易く、さらりと書かれたエッセイ風ではあるが、その内容は非常に充実しており、学ぶ事も多い…謂わば「学術的エッセイ」と言う言葉が相応しいかももしれない。 さて、本書は「金唐革は世界をめぐる」「連がつくる江戸十八世紀」「説話の変容」「世界の国尽くし」「遇者達の宇宙」の5章構成だが、各題を見ただけでは何の事だかよく解らないかもしれない…だが、例えば平賀源内の発想と言えば何となく想像出来るのではなかろうか…そう、やはり江戸時代の想像力を語るにはこの人の存在は欠かせず、実際に第一章から第五章に掛けて、主要なポイントごとに登場して来る。 そして、本書を読んで納得したのは、確かに平賀源内の発想は天才的かもしれないが、そんな人材を生み出し、且つ育てる事が出来たのは江戸時代だからこそ…思えば、仮に一人の天才が出たとしても「時代を先取り」し過ぎて認められないというケースは良くありがちだが、江戸時代の庶民は見事に源内の発想を認めたのだから、それも江戸の力であろう。 尚、第一章の「金唐革」はその名の通り「唐」の「革製品」だが、何とこれを紙で作ろうとした所が凄い…勿論、この本題に至る前に山東京伝の作品に登場する金唐革の逸話を交えていたり、「江戸前」の話題に端を発して源内と鰻の関係に言及したり、或いは金唐革を巡っての当時の世界の貿易や革製品事情等々、とにかく話題が豊富な上に、極めつけは革製品を紙に置き換えようと試みるに至った日本の「紙の美術史」もしっかりと抑えている。 このように本書は、全章に亘って話題が豊富な上に緻密な分析が成されているのだ。 因みに、第二章では、江戸時代に発達し、全盛を極めた「連」について、俳諧や狂歌の発達は言う迄もなく、「江戸の才能の繋がりと発達」の功績を垣間見る事が出来たし、第三章で言及する説話集は、特に中国と日本の説話を比較検討し、例えば、日本の『蛇性の婬』の陰鬱さに比べて中国の『白娘子永鎮雷峰塔』が明るい滑稽文学である事を指摘しているのも興味深い…また、第四章で紹介する、源内が想像した突拍子もない世界像は、例えば欧州の「冒険」の時代を代表する『ニュルンベルク年代記』に登場する奇怪な種族にも共通するようで、その好奇心と想像力が純粋に面白かった。 尚、最終章で扱っている上田秋声『春雨物語』については、個人的に大いに納得出来る指摘があったようにも思う…と言うのも、実は遥か昔学生時代にこの作品を読んだ時には、正直言って『雨月物語』の面白さに比べると印象が薄かった…が、本書にある「会話が成り立つのが当たり前で、葛藤があるのが小説の常だと言う視点そのものが、『春雨物語』では一笑に付されてしまう」と言う指摘こそが、今迄この作品の新しさや奥深さに気付かなかった理由だという事に思い至り、すっきりと消化出来た次第である。 本書は、扱う題材は絞りながらも、そこから発展していく幅広さが魅力でもある。 江戸文化の根源にある、江戸庶民の発想の豊かさを知る事が出来る一冊である。

  • ユニークなアプローチ

    改めて著者のユニークなアプローチを評価します。 このような著作は記録としても貴重なものだと感じた。

  • 著者から源内へのラブレター

    江戸の近世文化が平賀源内と大田南畝(特に源内)を中心としたネットワーク(著者言う所の"連")で成り立っていたという論を平たく説いたもの。特に、著者の源内へと思い入れは凄まじく、著者から源内へのラブレターと言っても過言ではない。私は子供の頃にNHKのドラマ「天下御免」を観て源内を知り、私なりに源内への興味を持ったのだが、著者のそれには遠く及ばない。 この時代の著名な絵師、浮世絵師、読本作者等が各々交流を持っていた事は周知の通りだが、その基礎を俳諧の"連"としている辺りに新鮮味があるだけで、その他は余り目新しい事は書かれていない。また、全体は5章構成なのだが、第3,4章は本書の趣旨から逸脱して、全体から遊離しており、良く練った論考というよりは、思い付きのまま書いたエッセイと言った趣きが強い。その第5章で、源内と対比する人物として上田秋成を取り上げるのだが、秋成を本居宣長と並べて国文学者と位置付けているのは噴飯物。物語中の題材によって区分けしているらしい。秋成が宣長の強烈な批判者であり、この時代における最も合理的な精神の持ち主だった事を知らないのだろうか ? ミーハー的要素が強く、取り上げる人物・事物も雑多という混沌とした内容(江戸の近世文化に相応しいのかも知れないが)で、もう少し論旨のスッキリとした形にならなかったのだろうか。

  • 連によるネットワークという発想が面白い

    明治維新を正当化するために捏造された、「江戸時代イコール停滞」という誤った教育を受けていた。しかし実際は物、金、情報は冬至の先進国に勝るとも劣らないくらいダイナミックに動いていた。日本の独自性の根源は江戸時代に醸成されたものであるが、それは決して孤立の中から生まれてきたものではありません。 私は江戸時代から続く旧家に係わっている者ですが、伝承されている何千という文書を紐解くと、廻船による物流と飛脚システムによる情報網をベースとした町人達のネットワークは、日本国内のみならず海外にも広がっており、国内外の情勢を想像以上に正確に掴んでいたことがわかります。

  • 宣教師、商人、文化を運ぶ南蛮人!

    ①近世初期に東南アジア各国に日本人町が形成され、タイでは近衛兵の中に日本人が含まれていた。南蛮人が東南アジア、中国を経由して運ぶ豪華絢爛な文物には後に浮世絵文化を育む源流となるものが含まれていたという。 ②織豊政権や江戸幕府は、禁教、鎖国令を発する前に、スペイン、ポルトガル、オランダが東南アジアを植民地としてどのように統治しようと目論んでいたか、キリスト教布教をどのように行っていたのか、日本人町の日本人商人を通じて正確な情報を報告書等を通じて入手することができたのではないか? ③「情報」こそ最大の国益の源である。 本書から文化と情報の伝播の重要性を学んだ。 お勧めの一冊だ。

  • 変容していく江戸の文化や技術や認識を、著者スタイルで活写する

    江戸、時代は18世紀を中心に主人公は平賀源内。鎖国と言え、時代は動き、変容している。その様を複眼的、立体的、重層的に、さらに時間軸や浮世と夢想の世界と、色んなものがごちゃごちゃになり、数寄ものが「連(数寄ものの集まり)」から、現代では分野が分かれるものが一緒くたになっている時代、目まぐるしく変容していく様を活写する。 優子姐さんと言っていいような言葉遣いや視点で縦横無人に、読み解いてくれる。その視点は固定されておらず、いろんな角度から、はたまたひっくり返して、江戸時代の江戸の「想像力」を具体例を紐どきながら、興味深い分析してくれている。 鎖国時代と言えども、オランダはもちろん中国、韓国、琉球との交流はあり、それを通じて西洋のものも入ってくる。ちょうど世界では17世紀の大航海時代だが、ソレラに物資や知識などは中継地を通って少し遅れるが入ってくる。数寄ものはそれに飛びつく。 特に面白かったのは、第4章の世界地図・人図である。何せ、世界を知らないので「井の中の蛙」で、実に可笑しな認識である。また、中国にも地図があるが中国がでっかく、後はちょぼちょぼという感じらしい。 西欧ではすでに1602年にマテオ・リッチが不完全ながらも相当正確な世界地図を出している。1世紀の違いがある。しかしそれは、次第にアップ・デートされていく。 特に著者は、「井の中の蛙」的発想、固定的観念は、江戸時代においても、色んな新しいものを吸収し、現実にはいろいろ変容し,変容させていく旺盛な創造、エネルギーの様を提示していく。閉じていない、開いている世界像を提起する。それでも、幕末から明治維新では、黒船の来航及び欧米視察団は、驚愕する。

  • 再認識

    最近江戸に凝っているので、色々な面から再認識出来た 世界的にも江戸時代は素晴らしい!

  • 普通

    まあまあ

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