日本の文学賞

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午前零時のサンドリヨン

鮎川哲也賞

午前零時のサンドリヨン

相沢沙呼

高校入学後に一目惚れした少女・酉乃初は、放課後にレストランバー『サンドリヨン』で腕を磨くマジシャンだった。須川くんは、学園で起こる不思議な出来事を彼女とともに解き明かしながら、少しずつ距離を縮めていく。

青春ミステリマジックボーイ・ミーツ・ガール学園日常の謎

作品情報

放課後のバー『サンドリヨン』で、マジックと恋が静かに動き出す。

第19回鮎川哲也賞受賞作。東京創元社から単行本版と創元推理文庫版が刊行されたデビュー作で、マジックを軸に学園の謎と恋の行方を描く。

書籍情報

出版社
東京創元社
発売日
2009-10-10
ページ数
336ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784488024499
ISBN-10
4488024491
価格
2340 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

酉乃初、普通の高校1年生。だけど実は……、レストラン・バー『サンドリヨン』でマジシャンとして活躍する彼女が遭遇した出来事を解き明かす。第十九回鮎川哲也賞受賞作。

レビュー

  • 魅力たっぷりのヒロイン

    語り手の「須川くん」は男子がこうありたいと願う「理想の僕」であり、大人になった私が読むとこそばゆ過ぎるし、ラノベに良く出てくる女の子っぽい「僕」キャラの典型です。 でも、好きですねぇ、こう言うの。 読んでいて、もう一度、あの頃に戻れればというロマンを感じます。 こんな男子も女子も実際にはいないことでしょう。 小説だからこそ、夢見るシチュエーションが楽しめます。 マジックが出来る少女。 それだけで魅力たっぷりです。 魔法使いに憧れていて寂しがり屋で嘘つき。そして恐るべき洞察力を備えた名探偵。 須川君が少しずつ心の成長をしていく姿も微笑ましい。 ストーリーはラブコメディそのものですが、文章と構成は実にしっかりしています。 早速次の作品を読みたくなりました。

  • ミステリーとファンタジーの絶妙な融合。

    物語の設定も非常に興味深い。 タイトルにもある「午前零時のサンドリヨン」は、シンデレラをモチーフにした謎解きの一つであり、これが物語の重要な鍵となる。 シンデレラの伝説を現代の日本の高校生活に巧妙に組み込み、ミステリーとしての緊張感を保ちながらも、ファンタジーの要素を取り入れた点が新鮮。 この設定で、読者は童話の世界と現実世界を行き来するような感覚を味わうことができる。 本書の構成も非常に巧み。 著者は、複雑なストーリーを緻密に組み立て、読者を飽きさせない工夫を凝らしている。 各章の終わりにはクリフハンガーがあり、次の展開が気になってページをめくる手が止まらない。 物語の中で散りばめられた伏線が最後に見事に回収される点も、読者に大きな満足感を与える。 特に、ラストのどんでん返しは予想外でありながらも納得のいくもので、驚きと共に感動を覚える。 登場人物たちの人間関係も本書の大きな魅力の一つ。 主人公と彼女の友人たちの絆や葛藤が丁寧に描かれており、彼らの成長や変化を通して物語に深みが増している。 主人公が自分自身の過去と向き合い、成長していく姿は感動的。 彼女の成長は、困難に立ち向かう勇気を与えてくれる。 文章表現も素晴らしく、著者の筆致は繊細でありながらも力強いもの。 情景描写や心情描写が美しく、読者はまるでその場にいるかのような臨場感を味わうことができる。 登場人物たちの会話が自然でありながらも機知に富んでおり、彼らの個性が伝わってくる。 本書は、単なるミステリー小説にとどまらず、成長物語や友情物語としても楽しむことができる一冊。 著者の卓越したストーリーテリングとキャラクター描写により、物語の世界に引き込まれ、最後まで飽きることなく読み進めることができる。 「午前零時のサンドリヨン」は、ミステリー小説ファンのみならず、多くの読者におすすめしたい作品。 緻密なプロット、魅力的なキャラクター、美しい文章は、読後に深い満足感を与えてくれる。

  • ビターよりもミルクチョコレートがお好きな方に

    第19回鮎川哲也賞受賞作品 帯には、 女子高生マジシャン酉乃初(とりのはつ)が学園の謎を解く 期待の新人がセンシティブな筆致で描く”ボーイ・ミーツ・ガール”ミステリ と書いてあり、その言葉に違わず、高校で起こる”日常の謎”を マジシャンであるヒロインが解決していく様子を、主人公(一目惚れした)の視点で 軽快なタッチで語っていくという、とても楽しく読めた作品で、受賞したのもうなずけた。 しかし、この作品最終選考に残った四作品のなかで選考委員の意見が割れている作品らしい。 選考委員の四人、笠井潔・北村薫・島田荘司・山田正紀(敬称略)のなかで、 笠井潔氏が、「小説的な技術性は最も高い」としながらも、「米澤穂信の「古典部」や 「小市民」シリーズに含まれる「苦さ」のようなものが、この作品には欠けている。」 として、四人中で唯一反対している。 読み進めていくと、物語の最中でヒロインが犯人を告発し、手を差し伸べるのだが、 それを「偽善」として撥ね退けられてしまう。しかし、その後のヒロイン・主人公ともに そのことが無かったかのように振る舞っており、そこが中途半端だと感じてしまった。 ただ個人的な感じ方の違いであり、笠井氏以外の三方はこの作品を推しているため、 あまり「苦さ」を含まない日常の謎が好きな方には楽しく読めると思います。

  • 良作!

    登場人物の心情の表現、ストーリー展開や伏線回収に際立った意外性があるわけではないが、だからこそ予測通りの予想外な物語となっていて満足な一冊という印象。 青春モノ、ミステリーモノを読み始めたい人には特にオススメです。

  • 青春を独特の感性で表現しているのがいい

    推理もあり、マジックもあり、でもこの物語の良さはそれよりも主人公の純粋な感情と、青春の日々をとても上手く独特な表現で伝えているところが良かった。また細かな描写や、風景が目に浮かぶしつこくない文の使い方は読んでいて気持ちよく感じるので、著者の別の作品も是非読んでみようと思いました。

  • 続編があったら読みたい。

    推理小説としてはあまり面白いものでは無いと思いますが。 青春ものとして見たときは懐かしいような憧れのようなものを感じ気軽に読める一冊でした。 続編があれば読んでみたいです。

  • ミステリはおまけ

    これは純粋な恋愛小説です。 主人公がヒロインに恋をする。ただそれだけの物語です。 ミステリ部分なんて、奥手な主人公がヒロインと話す口実に仕方なく持ち出しているだけで、この物語では味付け程度の役割しか担っていません。 ミステリの分類としては日常の謎です。 鮎川哲也賞の中でも気負うことなく読める作品だと思います。 ただ、完成度は恐ろしく高い。 読み終えた後、思わずトライアンフを練習してしまうくらいに。

  • 小説が、人の心を描くものならば…

    それぞれのキャラクターの行動原理が不自然すぎて、 いわゆる「人間が描けていない」系のミステリに見えてしまった。 コージー系にしては重めのシチュエーションが取り扱われるので、なおさらその違和感がつもる。 いじめや自殺といった問題については、かなり無神経なストーリーテリングをされている感じ。

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