日本の文学賞

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ボディ・メッセージ

鮎川哲也賞

ボディ・メッセージ

安萬純一

探偵二人に、ある家に一晩泊まってほしいという奇妙な依頼が舞い込む。酒に酔って眠ったはずの翌朝、現場には説明のつかない殺人の気配が残され、事件は思わぬ方向へ転がっていく。

本格ミステリ密室探偵奇怪な事件謎解き

作品情報

一晩の宿泊依頼が、凄惨な事件の謎へとつながっていく。

第20回鮎川哲也賞受賞作。東京創元社の単行本版として刊行され、のちに創元推理文庫でも再刊された。本格ミステリの枠組みで、奇妙な依頼と殺人事件の謎を描く。

書籍情報

出版社
東京創元社
発売日
2010-10-09
ページ数
289ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784488024642
ISBN-10
4488024645
価格
2090 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

探偵が招かれた邸で起こった殺人事件。遺体は衣類とともに消え去ってしまう……、被害者は、そして事件の謎は? 名探偵・被砥功児、最初の事件。 第20回鮎川哲也賞受賞作。

レビュー

  • これが受賞作?

    これが歴史ある鮎川哲也賞受賞作?とびっくり。 アメリカはメイン州、ベックフォードの探偵社への謎の依頼を受けて、私立探偵2人が出かけた人里離れた屋敷。そこで彼らが遭遇したのは血の海に転がった4人分の切断死体。理解不能の状態に陥った彼らは一旦探偵社に戻り、上司と警察を連れて戻るが、死体は消えていた。はたして彼らが目撃したものは何だったのか?本当に殺人事件は起きていたのか? 舞台はアメリカで、当然アメリカ人の探偵もでてくるのだが、正体不明の日本人の被砥功児(ピートコージ)が謎を解明するという本格(?)推理。時代はなんともよくわからないが、雰囲気としては1950年代の感じ?その辺は故意かどうかわからないが説明不足でとても不満だ。 まず、事件の動機はともかく、この本の肝である「切断死体の謎」については、実は勘の良い読者なら途中であっさりわかってしまうはず。もしかしたら死体の形状でわかる読者もいるかも?この手の話、過去に結構ありました。最後に謎が解明されて、びっくりする読者が今時どれだけいるんだろうか? 無理やり「パズル」を作ってから話を作り上げて、無理やり肉付けしたような、本来小説にはあってはならない不具合を全編通して感じた。 なにより、肝心要の結末にはびっくりだ。どうしてこの犯人に行きついたのか、まったくわからない。電子書籍で読んでいてさえ、10ページ分くらい「落丁」したのか思った。ネタバレになるかもしれないので具体的な指摘はしないが、明らかな矛盾を探偵自身の口から聞こうとは! 確かに、「占星術殺人事件」が頭に浮かぶことも事実だが、比較のしようがないのではないか?こちらはあまりに杜撰としかいいようがない。 登場人物たちはまるで生きている人間とは思えないくらい生気が感じられず、みんなあやつり人形のようで最近一番のがっかり作品。

  • やりすぎでも

    2010年に出た単行本の文庫化。 アメリカを舞台に日本人私立探偵が活躍する本格ミステリだ。 探偵への謎めいた依頼、凄惨なバラバラ死体、死体消失、奇怪な登場人物たちと、ストーリーを盛り上げるネタが満載で、ぐいぐいと引っ張られるように読んでしまう。 ただ、真相はかなり早くに感づかれてしまうだろうし、全体的に無理をしすぎな気もする。 今後に期待、というところか。

  • 被砥功児登場!

    ピート・コージと聞いただけでは日本人だとは思いませんよね。 そんな奇妙?な名前の名探偵の第1弾。 名前は、おそらくPete Coseyからきていると思われます。 Pete Cosey(ピート・コージ)は1943年シカゴ生まれ。 ギタリスト。 60年代頃からシカゴで活動をはじめる。 エレクトリック・マイルスバンドに参加。 ジミヘンドリックス並の存在感を持つギターで有名。 ならば、御手洗潔(彼のギターテクニックはプロ級。)を意識していることは明白。 思えば、御手洗の登場となった 占星術殺人事件 (講談社文庫) にも切断死体が出てきましたね。 内容的には本格探偵小説。 個人的には、良くも悪くも御手洗潔が頭の隅にイメージされてしまう。 実際、ピートの描写が少ないのも不満ではある。 美味しいところだけ持っていくのは星影龍三に似てなくもない。 個人的には星4つ。 次回の事件は ガラスのターゲット 。

  • キャラが弱いかな。

    主な登場人物はケンウッド、スタンリー、ディー、ピートの4人となっていて事件の真相を追いかけて行くわけだけど、特にそれ以外の登場人物があまり印象に残らなくて、たまに名前が出てくると「こいつ誰だったっけ?」と何度も思ってしまった。真犯人も脇役の中でもかなりキャラが薄い方で、話の中に登場する割合も少なかったから結局「こいつ誰だったっけ?」となって驚きも何もなかった。自分の中では盛り上がりに欠ける作品になってしまった。

  • 本格の醍醐味

    首と片腕だけが切り取られた死体。その理由はなんと! という話。なによりいいのは、こんな怪奇な謎をちゃんとロジックで解いているという点。これぞ本格という気がする。たしかに途中で真相がわかってしまう人はいるだろうけど、それは、わかる人にはわかられても構わないという書き方をしているせいだと思うし、それでこのロジックのよさが下がるわけではない。

  • あまり島荘の言葉を真に受けて期待しないほうが良い

    鮎川賞受賞作である。 島田御大の一押しだし、本格ミステリ系新人賞の受賞作ということで、かなり期待して読んだ。 その期待の通り、という点はあった。 ただし、期待はずれ、という部分が、私には許容できない作品だった。 舞台はアメリカであり、ストーリーは探偵社の探偵がメインとなって進行する。 だから、作品から受ける雰囲気は、一種ハードボイルド的なものがある。 そのあたりが、たぶんリーダビリティとなっているのだろう。 しかし、謎の提出には疑問を感じた。 まず、謎の中心が明確ではない。 もちろんアレなのだが、それがあまり強烈ではない。 つまり、謎のプレゼンテーションがうまくないのだ。 そして、それを謎と思っているのは関係者のみなのだが、それほど深刻に感じてもいないという点がひっかかった。 つまり、自分たちの身に直接的な危険が及ぶのでなければ、本業をそっちのけにしてまで捜査するか?という現実的な疑問がある。 なにより、ラストでの真犯人の指摘であるが、正直エエッと思ってしまった。 いや、悪い意味での意外性なのだ。 つまり、その人物を犯人と特定するべきロジックが、ほとんどないのである。 不可思議な謎の解明は、ある趣向が明らかになることでクリアになるのだが、これも“ちょっと”という感じだ。 もちろんこの趣向を用いてはいけない、というわけではない。 しかし、不確定要素というか、推測の入り込む余地が多すぎる。 徹底したロジックの本格、というスタイルの作品ではない、ということなのだ。 詰め将棋でいうところの、余詰めあり、という感じなのである。 これは、私の読み方が悪かったのかもしれない。 つまり、著者は、けっして本作をフーダニットとして書いたわけではないのだ。 本作はホワイダニットの作品であり、フーダニットを期待した私が悪いのである。 そのネタとなるアレは、確かに島荘なら好きな設定かもしれない。 しかし、もっとうまく扱われていれば、もっと意外性を引き出せたのではないかと思う。 これは少々残念なところであり、新人の作品といっても、受賞作なのだから、もう少し完成度が高くても良かったと思う。 そして、このネタは微妙なもので、その取り扱いには神経を使わなければならないし、もちろん映像化など難しいだろう。 特にテレビでは。 そういう意味合いで、私は本作は、あまり評価できない。 途中までは、けっこう面白く読んだのだが、ラストで腰砕けになった感じである。 ただ、あのダイイング・メッセージの設定は、ちょっと面白かった。

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