日本の文学賞

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だから殺せなかった

鮎川哲也賞

だから殺せなかった

一本木透

連続殺人犯と新聞記者が、紙面上の公開討論で対峙する。劇場型犯罪の構造と報道の力学を緊迫感たっぷりに描いた優秀賞受賞作。

連続殺人新聞記者劇場型犯罪報道優秀賞

作品情報

「おれの殺人を言葉で止めてみろ」から始まる紙上戦。

第27回鮎川哲也賞優秀賞受賞作。東京創元社から2019年に単行本、2021年に文庫で刊行された。事件の詳細を知る犯人と記者の対話を軸に、報道と犯罪の関係を描く。

書籍情報

出版社
東京創元社
発売日
2019-01-30
ページ数
304ページ
言語
日本語
サイズ
13.7 x 2.4 x 19.5 cm
ISBN-13
9784488027872
ISBN-10
4488027873
価格
1980 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

2022年WOWOWにて主演・玉木宏でドラマ化決定! 連続殺人犯と新聞記者が繰り広げる緊迫の紙上戦。 話題作『屍人荘の殺人』と栄冠を争った第27回鮎川哲也賞優秀賞受賞作。 第27回鮎川哲也賞優秀賞受賞 「おれは首都圏連続殺人事件の真犯人だ」。大手新聞社の社会部記者の許に届いた一通の手紙。送り主は「ワクチン」と名乗り、首都圏全域を震撼させる連続殺人の犯行を詳述したうえで、記者に対して紙上での公開討論を要求する。絶対の自信を持つ殺人犯と記者の対話は、始まるや否や苛烈な報道合戦に巻き込まれていく。果たして犯人の目的は――圧倒的なディテールで劇場型犯罪と報道の行方を描き出し、話題作『屍人荘の殺人』と栄冠を競った第27回鮎川哲也賞優秀賞受賞作。

レビュー

  • 感動

    せつない。

  • 昭和の「社会派推理小説」が蘇った想い

    松本清張、三好徹、高木彬光、森村誠一といった面々が「推理小説のかたちでトリックを仕掛けて犯人探しをしながら社会正義を説く」作風で次々と小説(光文社のカッパノベルスが多かったです)を発表していた昭和時代を思い出しました。 安全圏に身を置きながら間接的な正義をはくマスメディアのありようと歪んだ正義感に侵食されてしまった犯人、ネット社会の不特定多数の匿名発言からあえて切り離したオールドメディアとしての新聞、希望に満ちた少年の未来など重厚な社会派小説に大満足、と思いきや驚愕のラストが待っていました。 社会正義を説きながら個人の醜い過去が独白により暴き出されるというラストまでイッキ読みでした。

  • 新進気鋭の作家さん

    新進気鋭の作家さんで筆力も有りとても面白かったです

  • 良い

    デビュー作とは思えない!

  • 大手新聞社の内情

    特ダネを拾うためには多少の人倫にもとる行為にも社会正義を言い訳に目をつぶる、そんな裏側がよく伝わってきました。反面、対話相手のシリアルキラーにはほとんどリアリティが感じられなかったです。 謎解きも動機も、そうなの?という他の主要登場人物と読者の当惑を残したまま主人公だけ悦にいって去っていったという読後感です。

  • 細かいところはスルーして、ミステリーの構成を楽しむ

    読みやすいのですが、細かいところが不自然に感じられて、ヒューマンドラマとしてはあまり没入できませんでした。 その一方で、ミステリーとしての作り込みは楽しむことができました。鮎川哲也賞の受賞にも納得しました。 また、ミステリー部分には直接影響がなくても、新聞記事が一面か三面か、二段か六段か、などをイメージできるほうが面白く読めると思うので、新聞紙がどんなものだったか忘れそうな人は、覚えているうちに読んでおくほうが良いと思います。

  • タイトルの「だから殺せなかった」の意味が判明したときは驚愕だった

    序盤は太陽新聞の一本木記者の実体験を元にした、「シリーズ犯罪報道・家族」においてスクープをとるか、恋人をとるかで悩み苦しみ葛藤する話が描かれていた。 それを布石として、無差別殺人事件を繰り広げる「ワクチン」と名乗る人物から、一本木記者との公開討論を要求。そこから物語は一気に加速していく。 ワクチンと一本木の新聞でのやりとりが冗長ぎみだったように感じられたが、最終章の真実の章の二転三転する展開は圧巻で最後まで目が離せなかった。 タイトルの「だから殺せなかった」の意味が判明したときは驚愕だった。

  • 正義と愛のなかで。

    ネット社会になり新聞購読者は減りつつある。 新聞の製作工程や新聞社経営実情が克明に描かれている。 その新聞を作っている激務にある記者のきもちが伝わってくる。 ひとつには新聞のだいご味を力説している。 マスメディアを利用した劇場型犯罪がテーマ。 そのなかで現社会の問題に一石を投じている。 子どもの虐待。 親子の関係。 血縁。 罪と罰。 いわゆる性善説と性悪説。 新聞紙上での犯人との公開討論は倫理から哲学へと。 記者が知り得る情報、記者の行動と行為にびっくりする。 あくまでもフィクションのなか。 ラストに切り返しが待っている。

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