日本の文学賞

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ななつのこ (創元推理文庫)

鮎川哲也賞

ななつのこ (創元推理文庫)

加納朋子

短大生の駒子が一冊の本と手紙のやり取りを通じて、日常の中に潜む小さな謎をほどいていく連作ミステリ。

日常の謎手紙連作ミステリ

作品情報

一冊の本に惹かれた少女が、手紙の往復のなかで事件の輪郭に近づいていく。

書籍情報

出版社
東京創元社
発売日
1999-08-19
ページ数
310ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784488426019
ISBN-10
4488426018
価格
660 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

【第3回鮎川哲也賞受賞作】 短大生の入江駒子は『ななつのこ』という本に出逢い、ファンレターを書こうと思い立つ。身辺を騒がせた〈スイカジュース事件〉をまじえて長い手紙を綴ったところ、事件の“解決編"ともいうべき返事が舞い込んだ! こうして始まった駒子と作家のやりとりが鮮やかにミステリを描き出す、フレッシュな連作長編。

レビュー

  • 心穏やかに

    なんとも気持ちがよく それでいてミステリアス そしてえっ!と驚く事も入れてある 絶対読んで損は無いと思う。

  • 日常に潜む小さな謎と奇跡を描く心温まるミステリー

    敬称略 『ななつのこ』は、加納朋子による魅力的なミステリー小説?。 この作品は、複数の短編から構成され、それぞれが微妙に絡み合いながら一つの大きな謎を解き明かしていく。 加納朋子の筆致は非常に緻密で、読者を引き込む力がある。 特に、キャラクターの描写が秀逸で、読者は登場人物たちの成長や感情の変化をリアルに感じ取ることができる。 子供たちの視点から描かれる物語は、純粋さと素朴さに溢れており、大人の読者にも新鮮な感覚を提供する。 また、各短編は独立して楽しむことができる一方で、全体として一つの大きな物語を形成している。 この構成は、読者に対して適度な緊張感と満足感を提供し、一度読み始めると止められない魅力を持っている。 加えて、伏線の回収が巧妙であり、最後に全てが繋がる瞬間には感動が訪れる。 『ななつのこ』は、日常の中に隠された小さな謎を楽しむことができる一冊。 ミステリー好きにはもちろん、温かい人間ドラマを求める読者にもおすすめ。 加納朋子の世界観を存分に堪能できるこの作品は、読後感も爽やかで、心に残る一冊となる。

  • 爽やかな余韻・・・

    もう何作も朋子さんの作品は読んでます。←とにかく文体・表現が好き! 駒子シリーズの第一作目。 ちょうどジーン・ウェブスターの”あしながおじさん”を思わせる(僕にとっては)感じ。 途中から”あしながおじさん”の正体も、あっこの人!とか だいたい分かってきます が、駒子シリーズ全体を通した表現のリズムの様なものがあるので、シリーズ全作品 を読まないと余韻にたどりつけません。 シリーズの原点として、いろんなとこにちりばめられたヒントを忘れずに良く覚えて おきましょう。

  • ファンタジックな日常系ロマンミステリー

    人によってはご都合主義ともとれる、大雑把な展開もあるが、そういうのも含めてファンタジー的な日常というか、「こういう世界もあっても良いんじゃないか」的な雰囲気の物語が楽しめます。 主人公の駒子に軽い苛立ちも覚えることもあるかもしれません。ただそれはある意味ビルディングストーリーとして意識的に置かれた幼さだと思います。未完成で好奇心旺盛で夢見がちで純粋で意外とたくましい、そういう良いキャラクターになっていると思う。北村薫の「円紫さんとわたし」の「わたし」は純度の高い文学少女を書いたのに対し、今回の「駒子」はもう少し地のついたある種現実的な女性なのでその欠点も含め感情移入しやすかったです。 各エピソードには面白さのばらつきがあると思う。 個人的に出色だったのが「バス・ストップ」と「白いタンポポ」。 バスストップ 教習所で上手く行かなく自堕落な夏を過ごす駒子。 はじめて会う男性に「自動車用語」を自慢げに説くあたり、リアルな「青さ」があって良い。 金網越しに何かしている老婆と少女。 その謎が極めて社会的な問題にふれながら、あくまでも作中では「情」の問題として扱っているのが好き。 白いタンポポ 作中の人の描き方の深さが、このエピソードが一つ抜けている。 「お姉ちゃんはね」と自分を呼ばないで「わたしは」と子供に呼びかける駒子の不器用な純粋さが、子供にも響いたに違いない。駒子自身の成長も感じられる。 そうした話を、文通のエピローグで、「知」として「白いタンポポ」とはと新しい視点(発見)を与えつつ、美しく着地する締め方も含め、素晴らしい。

  • 面白い!

    一気に読んでしまうのがもったいない位、面白い本です。一話毎に次のお話が楽しみで、本を読み終えるのが残念な気がしました。 また最初から読むと思います。

  • これをデビュー作として応募するのは度胸がある

    語り手である短大生「入江駒子」は、児童文学『ななつのこ』を読み、キャラクターの少年〈はやて〉と謎の女性〈あやめさん〉、そして作品にひそむ「謎」に魅入られてしまう。駒子は作者である「佐伯綾乃」に、駒子自身が最近体験した出来事を含むファンレターを送る。返信が届くが、驚いたことにそこに書かれていたのは「謎解き」だった…… やっぱり小説は予備知識や思いこみをできるだけ排除して読んだほうがいいな、と改めて思わされた一冊。最近のぼくは前情報を遮断するため、文庫本を買って帰宅すると同時にカバーを一旦外して裏表紙の文章を読まない工夫をしている。 そんな工夫をしていても「この小説が日常系ミステリの良作の一つ」という予備知識はあった。だからこそ、上記のストーリー設定を読んで「こんなややこしい手続きを踏んだ連作短篇集だったのか」といい意味で衝撃を受けた。 ストーリー的にも時間軸的にもつながりをもたせた連作短篇集であり、正直なところ、ミステリとしての短篇それぞれの謎解きは軽くてふわっとした印象で、「それはさすがにどうなんだろうか」というオチも少なくない。しかしながら随所にちりばめられた人物や言動が最終話にきれいに結びついて、「ああ、だからこそこのタイトルなのだ」と読後感はよかった。おそらく作者は、この大きな謎を最後に開示するために、一つ一つの小さな謎をつづったのだろう。 惜しむらくは、1999年の作品ということで、登場人物たちの言葉のチョイスにむずむずし、ユーモア部分がかなりすべっていると感じてしまうところ。平成はかなり過去のものとなりつつあるのだなあ。

  • たおやかで豊かな、言葉あそび

    「ななつのこ」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか? 私は「行きは良い良い、帰りは怖い」からホラーっぽい展開を予想して読み始めましたが(単行本の表紙はそういう雰囲気があります)、予想とは裏腹の、たおやかな物語でした。 短編に擬態した七つの章で構成される、長編小説です(こういうのは連作短編と言うのですか?)。 三章までは、「盗人にも三分の理」的な、心の機微に触れる小話、落語の枕みたいな話が続きますが、四章「バス・ストップで」から「ぐうぅ〜」っと、静かな引力で引き込まれていきました。 そして第六章。「白い〜」で登場する女の子が、僕には「もう一人の主人公」のように思えます。 多くの人には理解されない、ある種のナイーブな子ども__あるいは大人ででもそうかも知れませんが__と接するとき、彼・彼女の傍らに、最初はただ「居る」だけしかできないことがあります。そこから、彼らと同じことをするとか、問わず語りでこちらの話をしてみるとか。そんなことをしながら友達になっていく、ということしかできないことがあります。正面からでは、はじき返されてしまうことが… 本章を読みながら、僕は「そうなんだよね」と、心の中でうなずいていました。自分も昔、難しい子どもだったと思うのですが(妻いわく今でも)、作者にもそんな感性を感じて、親近感を覚えました。 終章。いささか、都合良く話を進めてしまった感はありますが、「腑に落ちる」(この表現も、日本語としてなじんできてしまいましたね)ところに落ち着く、たおやかなカタルシス(うーん、日本語で言い換えると「心洗われる感じ」か?)を、素直に受け入れることにしました。 優れた先達から受け継がれる、日本語の豊かな「言葉あそび」の世界。尊敬しつつ、それらを上手に引き出してきた著者の、たおやかな感性に拍手。 特に、これから教職につきたいと思っているような若い人には、是非とも読んで欲しいと思います。

  • 作家(安楽椅子探偵)と読者(依頼人+助手)の奇妙な関係

    大崎梢の作品で取り上げられていたのをきっかけに本作を入手。 短大生の入江駒子が導かれるように手に取った作中作『ななつのこ』。それは田舎に住む少年・はやてが 経験した不思議な出来事に、療養所(サナトリウム)暮らしをしている女性・あやめさんが推察を繰り広げる という連作短編。時を同じくして駒子の周囲で起きた不思議な出来事を彼女が『ななつのこ』作者である 佐伯綾乃という人物にファンレターの形で送ったところ、作中のあやめさんよろしく推察が返事で 来るようになり……というおはなしであり、ある意味において『日常の謎を解く安楽椅子探偵』を描いた 連作短編である。 いなくなった犬と道路に点々とした血に対する盗まれたスイカ、入れ替わった絵に対する金色鼠、 七年ぶりに広島から帰ってきた写真に対する消えた青い絵の具、米軍住宅の柵にいた祖母と孫に 対する水色の蝶、新宿まで30キロほどの距離を移動した恐竜に対する竹の花咲く老いらくの恋、 白いタンポポに対する赤と青のアジサイそして鉢が2つから4つに増えた歯科医院のペチュニアに 対する同時に消えた7匹の子猫と、駒子の周囲で起きた出来事と作中作がリンクしていることも さることながら、それらの話の節々に登場する伏線(具体的には何かは言わないでおこう)が最後に 一つにまとまると同時にどうして作者が駒子に返事を書くようになったのかが明らかになるくだりに、 これが一般文芸ではなく創元推理文庫というレーベルから出ていることを思い出させてくれる。

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