作品情報
成熟した街ロンドンで、分別を知る二人の恋が静かに始まる。
日本経済新聞出版社から刊行された第1回日経小説大賞受賞作。端正な筆致で、人生の後半に差しかかった男女の感情と別れまでを描く。
書籍情報
- 出版社
- 日本経済新聞出版
- 発売日
- 2007-02-01
- ページ数
- 315ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784532170745
- ISBN-10
- 4532170745
- 価格
- 1650 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
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レビュー
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理想の恋を教えてくれます
目が腫れあがるまで泣きました。”いい男が現れても現れなくても、いつでも君を支えるのは仕事だ”という高岡さん。仕事を大切に踏ん張ってきた女性がかけて欲しい言葉が溢れています。高岡さんのような男性に出会えたら、どんなときも、まっすぐ前を向いて歩いて行けると思いました。 理想の男性との理想の恋愛が描かれています。最期に一緒に泣く人を今世で見つけることは難しいと思うだけに、心に響く小説でした。
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大人の抑制された静かな恋愛感
洒落た映画のような出会い。ロンドンの重電メーカの駐在副所長と演劇の演出をきわめようとする女性。 恋の進展は奥ゆかしくもどかしいながらも、異国に独身で暮らす男女の孤独感を上手に表現しながら ふたりが求め合う過程を無理なく描いている。物語は互いの住居を行き来したまに郊外に旅行に出る こと、そしてヒロインの舞台。ロンドンを舞台にしている割にはドッグランド再開発やテムズ河畔のコンド ミニアムが出てくる程度でシティのオフィス街の活気や人も風景も描かれない。 とはいえ、40代の恋の淡々とした静けさと隠れた情熱に哀歓を覚える。死別するありきたりの展開であるにも 係わらず、悲しみを抑えて行動する主人公の気丈さが読者の胸を打つ。 テクニックや才能という以前に織り成された情感が深く心を動かす。悔しいが50男の自分が読んで号泣した。
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テムズのあぶく
日経小説大賞受賞作なのだから、経済小説かと思いきや、恋愛小説だった。 それも、かなり甘い恋愛小説。 甘いというのは、登場人物がリッチでどこか現実離れしていてうっとりできる、という意味でもあるし、下手な文章、薄っぺらい人物造型、ご都合主義的ストーリー展開等、ワキが甘いという意味でもある。 小説としてはすごく下手。文章も描写も稚拙である。 だがそれだけで切り捨てられない何かがあるのもまた事実。 その何かとは、呆れるほどの計算高さにほかならない。 ターゲットとする読者層を明確に定め(日経を読むようなちょっとインテリなおじさん)、そのおじさんたちを喜ばせるネタを仕事面/プライベート面の両面にちりばめ(「どんなときでも仕事が君をささえる」といった仕事熱心サラリーマン垂涎のアフォリズム/濃密だが変態的ではないセックス描写)、おじさんたちの単純なあこがれを満たし(ロンドンに駐在、現地での恋、ナポリへの二人旅)、おじさんの大好きな駄洒落も忘れない(「わカプリました」)。 ここまで計算し尽くして書いたという点では、著者は間違いなくプロだと感じる。 ちょっと知的でソフトな渡辺淳一、という感じ。 そういや失楽園も愛の流刑地も日経の連載でしたね。
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渋くてしっとりとした大人の恋愛物語
渋くてしっとりとした大人の恋愛物語。本当に切なくなるような最後でした。同世代の男性として主人公に共感しつつあっという間に読んでしまいました。 川の流れと人生、鴨長明から美空ひばりまでずっと続いているテーマですね。
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海外駐在経験者&働く女性、共感できる可能性大です
ストーリー自体は、通俗のそしりを免れないでしょう。 この作品の素晴らしいのはディテール。 ネタバレになるので細かくは書きませんが、 海外に暮らす日本人が感じること、中年を過ぎた女性が 感じる過去への苦い感情、そして、病を得るということと 見守る者の感情など、実感に限りなく近い視線で描いています。 一つだけ、この本を読んだ方が抱くであろう感想について コメントしておきます。この病は、本書で描かれるように 本当に突然やってくるのです。唐突なストーリー展開と思う方も あると思いますが、小説よりも残酷かつ突然に、病は人を襲います。 そういう視点で読まれると本書は違って見えるかも知れません。
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テムズのあぶく
文章があまり上手ではなく、ラストを無理やり感動させようとしている印象を受けました。ロンドンに在住しているので、文章にでてくる地名には共感できましたが、ストーリー的にはあまりにも内容がないように思えました。友達のお勧めなので読んでみましたが私的にはいまいちでした。。
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心地よい文脈
著者の作品は、これが最初でした。 その後、何冊か読ませていただきましたが、私には、著者の流れるような文脈が心地よいです。 テムズのあぶくは、2回読みました。 お勧めの一冊です。
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丁寧な筆致の通俗小説
男女が出合い、次第に惹かれあい、恋愛の絶頂で片方が死をむかえる。 こうしたストーリーは昔からありますよね。 映画「慕情」を思い出しました。片方が病死するところは、「ある愛の歌」かな。 「ある愛の歌」中年独身貴族版、といったところですか…。 こうした定型ともいえるストーリーを踏襲する以上、 リアリティのある、それでいて凡庸にならない状況設定にし、丁寧できめ細やかな心理描写をする、 というのに尽きますよね。 作者はそれをきちんとやって、成功していると思います。 各章は視点人物を恋するふたり、交互の一人称にして進んでいきます。 この手法も珍しくはないけれど、長編を飽きさせないで最後まで読ませるのに成功しています。 女の方が男よりもずっと過去を引きずり、恋愛に臆病です。 男だってバツイチで子供を喪った経験を持っているのに、女に比べるといささか単純。 体育会系というエクスキューズがありますが、作者は女性だから、やはり女性の心理描写のほうが丁寧にできるのかな? ところで私が日経新聞を毎朝熱心に読むサラリーマンのお父さんだったら、 この小説をどう感じるでしょう。 そこそこに高学歴で、女房も大卒の専業主婦。 二人の子供も親に似て勉強は出きる方で、私立の中高一貫校に通わせている。 上場企業勤務でまあまあの年収だから、都心のターミナル駅から15分の距離の郊外に 4LDKのマンションを購入できた。ローンと教育費で家計は苦しい。 それでも子供には異文化に触れさせる機会を与えたいから、 苦しい中から積み立てて、2年に1回は家族で海外旅行。 30代にジャカルタに単身赴任の経験あり。 私ががそんなお父さんだったらどうだろう。 この小説を読んで、私だったら「なめんなよ」と反発し、素直に悲恋に酔えないと思う。 「独身で海外勤務で、芸術家の美しい年増女と熱い恋…いくら経済学部卒の中年のサラリーマンだからって、 こんな陳腐な物語にうっとりして涙すると思ってるのか。 村上春樹やカズオイシグロの作品はほとんど読んでるし、ブッカー賞受賞作が邦訳されれば かならず買って読む。 日経読むおじさん向けなんてこんなもんって、読者をなめてんじゃないか」 そんな風に思って反発するんじゃないかなぁ。 そういう人って、少数派なのかなぁ。 別にこの作品自体にに罪があるわけじゃないんだけど。 私は最後、泣きましたもの。 ところでひとつ、気になったことを。 舞台演出家は、有名無名にかかわらず、 自分の職業を人に説明するのに、いくら謙遜しているとはいえ、 雑用引き受け所とはけして言わないと思います。 19歳から29歳まで舞台の世界に身を置いた経験から、そう思います。 舞台監督なら、言うかもしれないけど。
関連する文学賞
- 日経小説大賞 第1回(2006年) ・受賞