日本の文学賞

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KAMIKAKUSHI 神隠し

日経小説大賞

KAMIKAKUSHI 神隠し

長野慶太

テロ対策が厳重な米国空港の保安検査場で、子どもが忽然と姿を消す。誘拐か、超自然的な失踪か、手詰まりの捜査と訴訟の渦のなかで、事件を追う記者が家族の喪失と再生に迫っていくヒューマンミステリー。

空港ミステリー家族の喪失米国司法制度再生

作品情報

密室の空港から消えた子どもをめぐり、謎は日米の社会と家族の傷へ広がっていく。

第4回日経小説大賞受賞作。空港という管理された現代的な場所で起こる不可解な失踪事件を起点に、訴訟社会、司法取引、報道、親子の結びつきを絡めて描く。謎解きの緊張感と、家族を失った人々の痛みが並走する長編である。

レビュー要約

  • 冒頭の謎だけで引っ張るのではなく、事件の背景にある社会制度や人間心理まで掘り下げる点が評価されている。娯楽性と重い主題の両方を備えた作品として読まれている。

書籍情報

出版社
日本経済新聞出版
発売日
2013-02-21
ページ数
317ページ
言語
日本語
サイズ
14 x 3 x 19.5 cm
ISBN-13
9784532171216
ISBN-10
4532171210
価格
82 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

辻原登、高樹のぶ子、伊集院静の選考委員3氏が高く評価した第4回日経小説大賞受賞作。司法取引、離婚訴訟など米国特有の法制度を背景として、日米を舞台に、家族の喪失と再生を描くヒューマンミステリーの秀作。

レビュー

  • ミステリー初心者ですが

    私はミステリーに慣れていないが、その面白さを教えてもらった。 特に、血が流れない(殺人などない)ミステリーであることが好感される。 個人的嗜好だが、アメリカに対して親近感を持っており、たびたび訪れる機会があるが、 この小説の描写で、入国管理の場に身をおいた際の高揚感と、呼吸によって体内に吸い込まれる匂い、 温度感、湿度感が、伝わってくるようで大変心地よい。 その場面(ステージ)である空港での、子供の失踪事件という舞台設定は、 頭に情景が浮かぶことが容易であり、より興味をそそられる。 日本の地とアメリカの地、日本人、日系人と米国人を、絶妙に絡ませることによって、 事件が起きている場所がアメリカであることが、読み手のハードルにならないように展開されており、 より面白く読むことが出来た。 登場人物の心理状態や、心理状態によって引き起こされる身体的変化などの描写が巧みで、好感が持てた。

  • ヒステリー場面は迫真、しかし、その狂言に及ぶ犯行の背景が頼りない。

    雑踏の空港で、キレてしまった白人の言葉、動作、そこに立ち尽くす警備員の無表情さは、実にによく描写されていた。 然し物語は、その白人並びにその縁者たちの背景、心理描写が物足りない。 自作を期待。

  • つまらん本

    ちっとも面白くない。日経の何とか賞とったんだから少しは面白くないと。残念。!人にあげたけど捨てられてるかも。?

  • 新しいミステリー小説誕生!

    長野慶太氏は日経大賞に過去何回か最終選考に残っていたので、ずっと気になっていた。 昨年、三田文学新人賞を授賞されたと知り、勝手に今回の日経大賞は授賞されると確信していたら、本当だった。 氏は、ビジネス書から経済小説、HOW TO本と様々な分野での執筆活動を行っているが、 元銀行員の経歴を生かしてビジネス書等はお手のものだろうと思うが、小説もなかなか素晴らしい。 米国の作家による翻訳小説だと、訳に無理があり説明がくどくなる箇所が必ずあるので気楽に読み進むことが できないが、【神隠し】は語り口のように言葉がすぅーっと頭に入ってくるので、読み始めたら飽くことなく 一気に読み終えてしまった。 選考委員の辻原登氏も空港内での描写は秀逸と評していたが、自分が登場人物になったと錯覚させられるほど 臨場感があって、私は好きだ。 【神隠し】はミステリーらしからぬ新しいミステリー小説であり、今までミステリーを好まなかった層にも 受け入れられる作品だ。

  • トリック部分は、あなどれないと思います。

    ロスの新聞社に勤務する新聞記者の主人公が、 空港職員からの電話をきっかけに、 神隠し事件に巻き込まれる、 そんなミステリー小説と言えます。 なんというか、特筆するような点は正直ないのですが、 読後感は、面白い、でした。 終盤に主人公と犯人が対峙する場面などは、 月並みですがなかなか緊迫感があり、 それまでの「なんだかなあ」と感じるページへのフリなのか、 そんな風に深読みして自分を納得させたりしました。 ただ、小説の技術、という気取った評価をさせてもらうなら、 はっきりと言って「読みごたえがない」 と感じる人の方が多いはずです。 行間は広いし空白も多いとかって、 突っ込もうと思えばいくらでも目敏くなれますし。 例えば重鎮松本せいちょうさんや大御所の東野さん、 流行りの池井戸さんなどを好んで読む人にとってはです。 僭越ながら、 定価で同じ金額を払うなら、 個人的にもオススメしたい作家さんは山ほどいますし。 仮に文庫になったともしても、 友人からこの本を検討しているとと聞いても、 申し訳ないが別の本をススメます。 他の本との比較、という目線で評価をしても、 残念ながら優れた本が圧倒的に多い。 というのが、正直な感想なんですが。 ただ、本格派のミステリーとしてはどうなのか、 そう考えると、 一番大事なトリックについては、良く練られています。 見せ場での盛り上げ方も、決して悪くない。 そのトリックの最後部分を楽しめたので、 おそらく、私は読後感が良かったんだと判断しました。 こういうオススメの仕方をして良いのか分かりませんが、 半額以下の中古で本書を手に入れられるなら、 掘り出し物を見つけた感を味わえる可能性はあります。 ちょっとハードル上げすぎたかなあ。 個人的には、偏った読書傾向のない方にオススメします。

  • 愛情とは?正義とは?

    ロサンゼルス国際空港における子供の失踪事件を中心として、家族や職場における愛情や責任、社会問題などを絶妙に盛り込んだ作品。 この10年くらいにアメリカに渡航した人ならお分かりだと思うが、9.11以降アメリカへの出入口となる空港は厳格なセキュリティ体制が敷かれていて、およそ失踪事件など起こりえないところを敢えてミステリーの舞台としているにもかかわらず、緻密な描写とトリック、物語の展開で秀逸なミステリーに仕立てられている。 主人公である新聞記者の推理が一歩進んだりする場面では、彼の思考とその時の背景についてうまく絡み合わせて、交互に畳み掛けるように描写されているところがあり、そのテンポの良さとダイナミックさはある種音楽的なものすら感じさせ、物語に惹き込まれていく。 この作品の中でのそれぞれの主要登場人物達の行動は、表面上は社会的に善や悪に分けられるものではあるが、その本質はそれぞれ大切な人への深い愛情であり、それぞれの過去及び現在のバックグラウンドと相まってよりいっそう際立っているように思える。 人としての愛情の深さと同時に、正義とは何なのかということを考えさせられた。

  • 残念な表現

    これはアメリカで起こった事件をアメリカ人を主人公にして書いてあるんですよね?だとしたら致命的な誤りがあります。アメリカ人はLos Angels Cityを「ロス」とは言いません。(現地にはユニクロ似の安売りアパレルショップに「ロス」という店はあります。)現地の方々は皆、LA(エルエー)と言います。読んでいて非常に不愉快でした。「僕はロスに住んでいる」とか「ロス市警」なんていう記述を頻繁に見ますと読む気力が減退しました。典型的な三浦和義ロス疑惑世代を経た田舎者日本人が書いたアメリカ人主役の日本小説ですね。これが日経大賞かと思うと審査員の常識度を含めガッカリしてしまった。前年の大賞作品「野いばら」が素晴らしかったので選考のレベルが高いと期待して買ったが裏切られた。ついでに「バツイチ」とか「国立公園で立ち小便」とか「貴様」等など全くアメリカ人に合わない表現があったことも付け加えておく。 内容も推理小説ではないことは承知しても最後の最後になって神隠しのKey Personが出てくるなんて反則ですね。取って付けていくような文章の積み上げなので、予め詳細が練られた内容ではないと感じた。筆を進めながらストーリーを展開していく途中で変えたり曲げたりで変化させようとした跡が見られる。おまけに付けたようなアメリカでの司法取引を絡めた離婚訴訟云々も物語の本筋には何の影響も与えていない。また主人公も非常にヒステリックで乱暴なアメリカ人であちこち衝突を繰り返し情緒不安定極まりない。 とにかく外国で起こった事件とは思えない日本感覚の言語表現が続いているので途中で読むのを止めようと何度も思ってしまった。LA空港のあの独特の異国情緒などこれっぽっちも感じられず、最後は日本は良い所だなぁで終わってしまった。神隠しというより狐憑きにあったような小説だ。

  • ”Two Thumbs Up !”

    久々の”Two Thumbs-Up"(超サイコー!)と言えるミステリー小説! 日経小説大賞の受賞式を拝見させいただき、審査員の伊集院静氏から 著者が”銀行マン”出身と言う経歴から最初から読む気がしなかった、 更には”ごつごつ感”が感じられないと酷評され、ひたすら恐縮して いた姿からは想像出来ないほど、完成度もクオリティーも備えている。 そして、プロフィールを見なければ、米国の作家による翻訳小説と 勘違いさせそうな現場のリアリティーと米国社会の暗部を浮き彫りに させる筆致。 そして、最後には思わず”あっと”唸らせる展開によって、爽やかな 読後感も味わえる。 出張のお供にお薦めです!

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