作品情報
『危機の経済政策』は、言葉の密度と題材の力で読者を作品世界へ導く。
『危機の経済政策』は、若田部昌澄の関心が凝縮された作品として読める。歴史と社会の出来事を掘り下げ、制度や文化の奥にある力の動きを描くノンフィクション。
レビュー要約
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題材への向き合い方と文章の手触りを評価する声があり、作品の余韻や構成に注目されている。
書籍情報
- 出版社
- 日本評論社
- 発売日
- 2009-08-20
- ページ数
- 314ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784535555747
- ISBN-10
- 4535555745
- 価格
- 3240 JPY
- カテゴリ
- 本/ビジネス・経済
Amazon.co.jp: 危機の経済政策―なぜ起きたのか、何を学ぶのか : 昌澄, 若田部: 本
レビュー
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過去の経済危機から教訓を引き出す本
過去の経済危機「大不況」「大インフレ」「大停滞(これは現在と地続きな気もしますが)」を解説し、 現在の金融危機と合わせて教訓を引き出そう、という本です。 構成としては過去の経済危機については、それぞれ「○○への道」「○○の経過」「○○の教訓」の3章構成とし、 最後に現下の危機について経過と教訓を提示しています。 この本の良いところは過去の危機について概説的なところをまとめて押さえられるところでしょう。 個別で見るなら、他の本を探せばもっと詳しいものが読めると思います。 基本的にリフレ本の一類型であり、金融政策の考え方が重視されているように感じられます。 今読み返してみると財政政策に対する意識が弱いのはやや残念です。 消費増税でこけた日本だけでなく、緊縮で停滞している国は多数あります。 昨今の状況を見ると金融政策だけでなく、財政政策も重要な役割を果たすように感じられてなりません。 研究自体がまだまだ道半ばなところもあるのかもしれません。
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政策担当者たちの考えは、荒唐無稽で馬鹿げたものだった!
アメリカの標準的なマクロ経済学の教科書を勉強すると、プラザ合意後の日本の経済政策がテキストの内容から外れていることが解る。アメリカの経済政策が教科書通りであることと、名目GDPや株価のパフォーマンスが日米で異なることを認識できれば、日本とアメリカの違いに興味を持つことになる。そして、日本の政策が経済学の合意事項から外れ続けている原因について、疑問を持つことになる。 著者は、”現在の日本の停滞を歴史とするには早すぎる”としながらも、過去に起きた失敗事例とそれらの合意事項を紹介し、この疑問に答えてくれている。経済学上の大テーマになるだろう日本の大停滞は、研究中の不明確な出来事だが、「日本の政策担当者たちの考えは、荒唐無稽で馬鹿げたものだった。」と史書に書かれることは間違いない。
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日本の政治家先生方も この本読んだうえで政策論争して欲しい。
1929年に始まった大恐慌から現下の世界金融危機と不況まで、主要な経済・金融危機を題材に経済学の政策論争を丁寧に整理しているので、勉強になる。大学の経済学部の学生が取り組むにはちょうど良い難易度だろうか。大学院生にとっても豊富な文献が引用、紹介されているので、それらを手がかりに他論文を読み進めれば自分の研究を進める役に大いに立つはずだ。 もしかしたら、一般読者にとってはちょっと学説の紹介が「うるさ過ぎる」と感じられるかもしれない。それはお好みに依存する。 政治家先生方もこの本で紹介されている程度の経済学のセンスと知識は身につけて政策論争をして欲しい。 唯一不満を言うと、作者の経済学的な立場、オリジナリティーがどこにあるのか、よく見えてこない点である。 まあ、しかし経済学の政策論争とその進歩をあまり偏りなく整理、紹介するのが主眼であるようなので、これはねだり過ぎかもしれない。
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3つの経済危機から人類は何を学んだのか
4つの経済危機のエピソード「1930年代の大不況」「1970年代の大インフレ」「1990年代以降の日本の大停滞」「2000年代の金融不況」について、経済学史の研究成果を整理して提示する本です。経済危機の原因と対策について理解を深めつつ、経済思想の変遷と経済学の歴史も学ぶことができます。 著者はエピソード1,2,3を各々3章構成で描きます。まず、危機発生の背景にあった政治家、経済学者、実業家らの考え方をまず紹介します。続いて、実際に危機が進行・顕在化し、対処・沈静化する過程を、学者らの議論の展開と平行して整理・紹介します。最後に、後代の学者の研究を踏まえて問題の再検討を行い、危機の教訓を導き出します。エピソード4は2章構成で、過去の危機との比較分析や、教訓を踏まえた対応策の考察がなされています。 危機の教訓は「マクロ経済学への教訓」「経済政策形成過程への教訓」「歴史を学ぶことへの教訓」としてエピローグにまとめられています。本書で繰り返し語られるのは、基本的な理論の大切さ、経済主体の持つ知識・思想が政策に及ぼす影響の大きさ、歴史に学ぶ有用性と難しさです。とくに経済主体の思想と出来事の相互作用に注目しているのが本書の特徴で、経済と人類の関係は今後も試行錯誤の段階にあることがよくわかります。 ていねいに様々な学説と議論を紹介する本書は、一般向けの経済書としては貴重な存在です。全11章の本文は285頁で終り、残りは膨大な参考文献の一覧と索引になっています。四六版ソフトカバーで装丁がちゃちな感じはしますが、構成の練られた読みやすい本なので、ぜひ多くの方に読まれることを期待します。
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リフレ論者の主張
若田部 昌澄氏は、リフレ論者なのだろう、ご自身の主張に都合の悪い部分は目を瞑って物事を語っておられるようにお見受けする。井上の緊縮と平価復帰は、失敗だったが、高橋の膨張とインフレは成功であったかの主張である。井上は国際協調重視であり、高橋は国益重視であった。高橋のインフレ政策は、国際的にはソシアル・ダンピングによる摩擦を生じ、国内的には格差の拡大を生んだのである。このことが、軍部の発言力を増したこと、詰まり、国内の貧困を打開するためには、海外の開発主義へ軸を置くべきだという主張を強化したのである。経済政策は、万能なものではなく、何を取るかということは、何を捨てるかということとセットなのである。リフレ政策は、国際協調を破壊し、国内の格差を拡大させるのである、という歴史的な教訓を、筆者は無視しているのではないだろうか。学者としては、双方の立場を、もうすこし客観的に比較衡量した上で、自己の政策的主張へ移ることがよろしいと思う。
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緻密な考証に基づく良書
大不況、大インフレ、大停滞、現在の危機の4つの「危機」について緻密な考証に基づき論じられた一冊。抑制の効いた文章と豊富な参照文献も、親切な配慮だと思います。この本を読んで関連文献を読みたいといった場合にも便利ですね。 経済政策についての合意事項がどのように形作られてきたのか、という点はまさにマクロ経済学の歴史でもあるわけですが、この辺りが実際の危機に対してどのような経済政策がなされてきたのかという点を読み進めることで自然と頭にはいってくるという驚くべき本です。 大学でマクロ経済学を学んでいる学生の方や、現代の危機に興味を持つ社会人の方など、多くの方にお勧めします。
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