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倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)

大学読書人大賞

倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)

皆川博子

戦時中のミッションスクールで、少女たちが書き継いだ小説と現実の事件が絡み合う幻想的なミステリー。美しいノートに秘められた物語が、死の謎を浮かび上がらせる。

幻想ミステリー少女物語内物語

作品情報

少女たちの回し書きが、現実の死とひそかに結びつく。

戦時中のミッションスクールで、少女たちが書き継いだ小説と現実の事件が絡み合う幻想的なミステリー。美しいノートに秘められた物語が、死の謎を浮かび上がらせる。 理論社版も存在するが、PHP文芸文庫版の ISBN とページ数を出版社公式・書誌サイトで確認。

レビュー要約

  • 受賞歴や書誌紹介では、題材への向き合い方と言葉の密度が評価されている。派手な筋立てよりも、読後に残る余韻や細部の手触りを味わう作品として受け止められている。

書籍情報

出版社
PHP研究所
発売日
2011-11-17
ページ数
352ページ
言語
日本語
サイズ
10.7 x 1.4 x 15.1 cm
ISBN-13
9784569677538
ISBN-10
4569677533
価格
968 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品

少女を殺したのは、物語に秘められた毒――戦時中のミッションスクールでは、少女たちの間で小説の回し書きが流行していた。蔓薔薇模様の囲みの中に『倒立する塔の殺人』とタイトルだけ記されたその美しいノートは、図書館の書架に本に紛れてひっそり置かれていた。ノートを手にした者は続きを書き継ぐ。しかし、一人の少女の死をきっかけに、物語に秘められた恐ろしい企みが明らかになり…… 物語と現実が絡み合う、万華鏡のように美しいミステリー。

レビュー

  • 表示通りでした

    図書館で借りて気に入っていた本です。この挿絵のが欲しかったのです 送付品について文句などつけようもないです。超美品でした また利用させてもらいます。どうもありがとう

  • 著者ならではの雰囲気満点のミステリ

    著者の作品は、何度も読み返し、前後関係を確認し、というのを繰り返すため、なかなか読むのに時間がかかる。 それは、微に入り細にわたる過剰な描写をしないためであり、そこが著者の作品の持ち味でもある。 つまり、読者が創造を広げる範囲が広い、ということだ。 本作は戦時下の女子高を舞台としたものであり、その雰囲気と、その時代に設定した必然性は十分である。 そして、登場する少女達の、女性作家でなければ描写できないであろうと思われる赤裸々な姿が、読みどころだ。 ミステリとしてはメタ、というジャンルに分類されてしまうかもしれないが、作中作が重要なキーとなる。 著者の他の作品と同様、本格度が低いという点はあるが、非常に面白い。 さらにはこのラストだ。 なかなかにダークである。 本作を読んで連想したのが、高木「わが一高時代〜」だった。 この両作の雰囲気の相似はどうだ。 もちろん設定も犯人もトリックも、ましてや作者の作品に対する意図も、まったく違うはずだ。 しかし、それでもこの両作は、戦時下が舞台というだけではなく、学生に及ぼす戦争の影が、非常に濃密に描かれている。 これがヤングアダルト向けの叢書の一冊として刊行されたことに、拍手を送りたい。

  • 本書を読んてふと思ったこと

    私は50代後半で、著者は今は亡き私の父より幾つか年上で、終戦の年が確か、父が旧制中学に落ちたけど、そのまま小学校の延長で中学に行き、教科書がないので、外国文学の読み聞かせの授業を受けたという話を思いだしました。 あと、本書に出てくる出征兵士の歌。10代の頃、黒い車が大音量で流しているのをしょっちゅう聞いていて、つられて歌っていました。 ふとそんなことを思いだしてしまいました。

  • 独特の雰囲気に引き込まれます

    この作者さんの書かれる作品は、いつも、舞台・世界・雰囲気の表現に優れていると感じています。 本作も、戦時の女学校(女学院)における「ふつうの女の子たちと、きれいな憧れのお姉さまたち」の細やかな描写から、独特の雰囲気が醸し出されており、謎解きよりもその雰囲気を楽しみながら読了しました。 謎解きの部分も、きちんと構築されています。ただ、トリック重視の人にとっては少し地味かしら?と思うのと、逆にストーリーや世界観重視の人にとっては、人物をしっかり整理しながら読まないと謎解きで混乱しそう?と思うので、意外と人には薦めにくい本のように感じました。この薦めにくさが気になって、星は3としました。

  • 楽しく読みやすい

    皆川博子さんの作品には、はまれるものとはまれないものがあるのですが、 文庫・装画・モティーフ(戦中・後の女子校)に引かれ購入しました。 あまりの読み安さに驚きました。 何と言ってもキャラクターが皆可愛い。 可愛い正統派ヒロインみたいな小枝ちゃん、 カッコいいベー様、 素敵な先輩の上月さんと七尾さん、 いなくちゃ困る設楽さん。 皆魅力的でいきいきしてました。 皆川作品らしい闇は押さえ気味で、いやあ面白かった。

  • 少女たちのうつくしさと残酷さと。

    少女期特有のうつくしさと、残酷さが描かれていく。 この刹那的な閉塞感が好きだ。 でも、ただ退廃的なだけで終わらなくて、 最後に挿入される、ある登場人物のモノローグに、 未来へと続いて行く確かな希望をも感じさせてくれる。 物語世界の雰囲気が具現化されたような、 カバーイラストも含めたパッケージも秀逸で、 手元に置いておきたくなる一冊。

  • シュールでグロテスク・・・そして妖しくも美し い!

    かなり読みにくい・・・途中で投げだそうかと思いましたが、一種独特の「雰囲気」に惹かれてズルズルと最後まで・・・。そして・・・何とか読了して・・・思わず唸りました! 物語は太平洋戦争末期の戦中戦後、東京の女学校が舞台。女学校特有の先輩後輩の間の愛憎シーンや同級生の間の軋轢、友情、激しさを増す空襲の中で失われる 命、女子挺身隊として過酷な労働に励む日常と、その中でも交わされる少女たちの密やかな交流の様子などが描かれる。それに絡んでくるのは空襲の最中の不可 解な「死」、そして書き手を引き継ぐことを期待された謎めいた手書きの本・・・。 手書きの「本」の物語に少女たちの「過去」や「今」が混じり合い、百合的な面に目が奪われていると、グロテスクな「悪意」や「恐怖」の存在も伺わせ る・・・。多数の小説や画集の描写もあるが、これがまた思春期特有の一筋縄では行かないものばかり・・・。シュールでグロテスク・・・そして妖しくも美し い・・・・・・。結末はミステリー的な面もあるが作者はあからさまには描かない。好きだからこそ・・・そうせずにはいられなかった・・・そこはかとなく・・・切ない終わり方です。 戦中戦後の激動の時代を生きた作者が、「あの頃」の自分を重ね合わせて書いたと思える具体的な描写、その上にほとんど幻想的と思える世界が重ね合わさ れた不思議なお話です。美しいバラには棘があるように一筋縄ではいかない展開ですが、結末の見事さを思えば耐えるべきでしょう。

  • 深くは嵌れなかった

    第2次世界大戦中のとあるミッションスクールを舞台に そこで起こった殺人事件と 女子生徒の中で回されるタイトルだけのノート。 そのノート書き込まれる小説。 小説なのか現実なのか、 うっかりすると、両方入り交ざってしまう感じがして なかなか没頭できなかった。 耽美な物語の中に 殺人という非日常が描かれ それも現実の話なのか、ノートに書き込まれた 架空の出来事なのか・・・。 不思議な感覚を覚えてしまう作品でした。 真相を知ると なかなか凝った作品だったなぁ〜という感想も浮かびましたけどね。

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