作品情報
日本推理作家協会賞で評価された、北上次郎の表現を伝える一作です。
『冒険小説論 近代ヒーロー像100年の変遷』は、日本推理作家協会賞の1994-1回で取り上げられた作品です。北上次郎の関心や筆致がうかがえる作品として、同賞の文脈のなかで読まれてきました。
書籍情報
- 出版社
- 双葉社
- 発売日
- 2008-06-12
- ページ数
- 595ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784575658767
- ISBN-10
- 4575658766
- 価格
- 940 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/評論・文学研究/ミステリー論
冒険小説論-近代ヒーロー像100年の変遷-
レビュー
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ブックガイドとして
「ミステリマガジン」に1986年から1992年にかけて行われた連載「活劇小説 論」をもとに、まとめられた評論である。総量は原稿用紙1100枚に及ぶ。同じよ うな長編評論でも、野崎六助『北米探偵小説論』や笠井潔『探偵小説論』とは大きく テイストを異にする。後者2つは、基本的に著者の設定した大きな枠組みの中で、 個々の作品を読むことに対して、本書はとにかく作品を虚心に読み、その細部を楽し むことから論を出発させているという違いである。主要な作品については、あらすじ がわかりやすく記されていて、ガイドブックとしても、活用できる。 ただし、この美風は裏返すと、本書の弱点ともいえる。著者は、一つ一つの作品・作 家を論じるために、過去の読書の記憶に頼るのでなく、もう一度読み直すことを自分 に課したルールとしている。そのため、どうしても足が重くなり、上空から俯瞰する 評論としては、その切れ味は鈍い。 多少強引でも、自分の読みの枠組みに引きつけてどんどん展開させていった方が、 評論それ自体は面白くなる場合もあると思う。しかし、それは著者の方法ではない ようだ。 もうひとつ。あしかけ8年間にわたって書かれているせいなのか、一気読みを誘うよ うなドライブ感が、本書そのものに乏しい。通読用の書物にするのでなく、長編ミス テリを読む傍らに本書をおくのがよさそうだ。小説に疲れたときに本書の一章を挟む と、とてもよい感じである。もともと雑誌連載だから、その形式で味わうようなもの といえるかもしれない。 それにしても、著者の博捜ぶりには教えられます。もちろんスチーブンソン『宝島』 や曲亭馬琴『南総里見八犬伝』は有名ですが、セシル・スコット・フォレスターの 海洋小説「ホーンブロワー・シリーズ」や、角田喜久雄の時代伝奇小説などは、私に とっては全く新しい知識で勉強になりました。
関連する文学賞
- 日本推理作家協会賞 第47回(1994年) ・受賞