作品情報
会社は誰のものかという問いから、日本型資本主義の行方を考える。
平凡社刊の単行本。デフレやリストラを一時的な不況ではなく資本主義の大転換として捉え、会社の仕組みを洗い直すための視座を示す。のち平凡社ライブラリー版も刊行された。
レビュー要約
-
専門的な会社論を、経営者や勤め人にも届く言葉で説く点が特徴。制度の説明にとどまらず、社会の転換期に会社がどう生き延びるかを考えさせる。
書籍情報
- 出版社
- 平凡社
- 発売日
- 2003-02-01
- ページ数
- 341ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784582829778
- ISBN-10
- 4582829775
- 価格
- 1760 JPY
- カテゴリ
- 本/ビジネス・経済/実践経営・リーダーシップ/経営理論/経営戦略
第2回(2003年) 小林秀雄賞受賞
レビュー
-
今でも色あせない
会社という制度の本質を問い直しながら、資本主義の変遷とともに企業の役割がどう変化してきたかを丁寧に解説した一冊です。法人の二面性(ヒトとしての存在とモノとしての所有)を軸に、ポスト産業資本主義における会社のあり方を論じる構成は、理論的でありながらも平易な語り口で読みやすく、経営や社会制度に関心のある方にとって示唆に富んだ内容となっています。
-
会社はこれからどうなるんでしょうか?
気になるタイトルだったので購入しました。なるほどと思うことが書いてあります。
-
「ポスト産業資本主義時代の会社」
商業資本主義から産業資本主義を経てこれからポスト産業資本主義に入ろうとしている。会社という組織も利益を追求する組織として発生した 会社という組織も、個人資本から発展した会社から、大衆から大量の額の資本金を集めて大規模な生産設備を作るり、生産性を上げて利益を 出す株主を重視する会社システムから、ポスト産業資本主義の時代には、コアコンピタンスともいうべき、経営者の優れた経営センス、熟練した技術者、生産のノウハウを知り尽くした労働者などを大切にする会社がポスト産業主義に適合する会社システムではないかとの示唆である。 これは米国的な株主重視の経営ではなく、日本的経営と言われる会社に近い性格を持ったものに近い会社システムになるのではないかと思われる。
-
はっきりいってわかりにくい
NHKの貨幣論のTVを見てこの本も買いました。貨幣論と違い抽象的ですくなくとも私にはわからないしおすすめしません。
-
あらたな会社の形を、日本の「会社」の歴史から探る本
あらたな会社の形を、日本の「会社」の歴史から探る、という本。最初から順番に読んでいって、九章、十章の答えが理解できるという形式… まどろっこしい。 会社とは? 資本主義とは? という問いを何度も重ねて、丁寧に解きほぐす。 目指すべき会社の形の一つの答えは、 「企業自体に魅力があって、企業内に企画力、開発力があって、ノウハウを蓄積でき、そのノウハウが利益の源泉となる企業」。 2003年出版の本なので、2000年代以降の予測については、あたりもハズレもあるが、本質はそこじゃない。 企業は、もともと別の地域の品を商人が運んできて、価格差で利益を得ていたのと同様、収益を得るためには、何かの差異を作り出す必要がある。現代、インターネットが普及したことにより、グローバル化、情報の標準化が進む中、どうやって差異化するか? その源泉が個人や組織の知識・ノウハウである。 結果、一時的に昔の会社の形である、(特殊な知識を持ったオーナーによる)オーナー企業が復権する。 しかし企業として複数人で行う製品開発、製造の過程では、どうしても情報共有をしなくてはならない。情報自体の漏洩を防ぐ完全な策はない。 (方法としては、法律による知的財産権、非競合条項を含んだ契約書、残ってもらうためのインセンティブなど) だから、ハード面(金)でもソフト面(環境、文化)でも、社員を囲いこむ必要がある。以前の日本企業は、この囲い込みに成功していたが、それは形だけのもの。真に知的で独立心がある自由な社員という存在に対して、あらたに、特殊な企業文化を持ち、社員を囲い込む会社が生き残っていくといった説明がある。 丁寧な一章から八章の説明があって、なるほど、と言いたくなるので、上記に納得いかなくても、一読する価値はあります。
-
会社とは
今の時代に、会社がしなければならないことや目指す方向について、私に多くのことを考えさせる内容でした。 景気の良し悪しやグローバル化など、日々変化していく時代に困憊気味の自分に いちから頑張って対応する気力を与えられました。 10年以上前の著作ですが、今頃読んで感動しています(^^)
-
起業家よりも企業家になる人に推薦したい名著だが画龍点睛もある
岩井克人先生の『会社はこれからどうなるか』という本は、資本主義経済の発展史への目配りがあり、商業資本主義から産業資本主義を経て、ポスト資本主義について丁寧に論じている。そして、現在が産業資本主義からポストの時代に移行し、その中で法人としての会社の役割と機能について論じ、会社は誰のものかについて分かりやすく解説している。しかも、米国流の株主主権論の卓越に対して、それはデファクトにしても標準にならないと論証し、ヒトとモノの違いを近代の人権宣言と結び、法人の持つ意義について誰にでも分かるように説明している。流石は学校の先生である。 青色申告という日本的な税制のせいで、誰でも会社の法人を登記して社長になり、公私混同が横行している日本では、岩井先生が解きほぐした法人の意味について、再認識した方がいいと考えるので、日本でビジネスしている人に私はこの本を読むように勧めてきた。だから、その点で本書に五つ星を提供したい。また、ずいぶん昔の話だがソ連が崩壊した直後に、日本が誇る思想家の柄谷行人さんと対談を行い、確か『終わりなき世界』という本の中で鮮やかな論陣を張り健闘していたので、岩井さんは信用できる学者だと確信したからである。 私はアメリカに30年プロフェショナルとして住み、1980年代の10年間はベンチャービジネスを経営し、企業家としての体験を持っているので、信任(Fiduciary)と契約(Contract)の違いに基づく、経営者の倫理と責任感の問題の議論と共に、コア・コンピタンスについての論調が最も卓絶しており、多くの日本の優れた人に参考になるはずだと感じた。 ネオコン政治の影響で弱肉強食の金儲け主義が蔓延し,日本人もその潮流に乗って押し流され、会社乗っ取りやIPO(上場)が流行して、経済活動が拝金主義に毒されている。こうした時代性の中で、本書には起業家は登場しても企業家が登場せず、ビル・ゲーツを始めホリエモンやエンロンが論じられ、シューペンターやドラッカーが存在を称賛した企業家への言及がないので、私の五つ星にはマイナスがついている。 なぜならば、日本ではアメリカ流の成功者としてソフトバンクの孫正義やオリックスの宮内社長が、新時代の成功者として脚光を浴びている。だが、彼らは起業家であっても企業家ではなく、限りなく詐欺ビジネスに近い点では、ホリエモンの仲間に過ぎないからである。また、これは文中の引用だから黙認すべきだろうが、岩井先生ともあろう人が産業構造を論じるに際して、222pで一次産業や二次産業という静的で幼稚な,70年ほど前にクラーク教授が作った時代遅れの用語を使い、それに対して修正も提案していないのを見て惜しいことだと思った。卓越した「不均衡動態理論」を展開した冴えた頭脳の持ち主ならば、産業構造の根幹に触れるこの産業の定義こそ、先ず、改めてから議論に取り組むべきではないかと思ったからである。
-
学者らしい緻密さと同時に、親しみやすさも兼ねた良書
インタビューをベースに書き起こしたということで、学者の本の割には文体も分かりやすく、全体に親しみやすい書き方です。 そもそも会社とは何なのか、世界でまた日本における「会社」というものの形の変遷、そしてこれからはどうなる(べき)なのか・・。一つ一つが緻密な理論と平易な言葉で表され、非常に説得力・納得力のある書となっています。 結論としては、会社の新陳代謝、数多くの起業家の活躍が望まれるということなのですが、一見当たり前のように見える結論に至るまでの詳細な考察が一種の謎解きのようでもあり、とても楽しめました。
関連する文学賞
- 小林秀雄賞 第2回(2003年) ・受賞