作品情報
『岬一郎の抵抗』は、短い題名の奥に人物、時代、土地の気配を重ねる作品です。
毎日新聞社刊行の『岬一郎の抵抗』に収められた作品です。『岬一郎の抵抗』は半村良による、想像力を軸に、人間や社会のあり方を問い直す作品です。受賞作として、題名が示す主題を軸に、読後に残る余韻を重んじた一作として位置づけられます。
書籍情報
- 出版社
- 毎日新聞出版
- 発売日
- 1988-02-01
- ページ数
- 594ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784620103532
- ISBN-10
- 4620103535
- 価格
- 586 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
第9回(1988年) 日本SF大賞受賞
レビュー
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記憶、30年目の上書き
30年前に読んだscience fiction 、是非もう一度読みたく購入しました。期待以上のものが蘇ってきました。書籍も傷んでおらず、有難かったです。
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物静かな超能力者の物語
東京の下町に無口で大人しいが、他人の悪意や敵意を読み取る能力を持つ岬一郎というサラリーマンが住んでいた。また、町では植木が枯れたり、子供が倒れるなど公害が発生していると思われる問題が起きていた。住民達は東京都の環境整備局に綿密な調査を依頼しに行ったが、局員は不遜な対応をした。しかし、住民達の目の前でその局員は突然倒れて死亡した。原因はその頃、超能力が急速に発達していた岬の怒りが意に反して誘発した超能力によるものだった。岬は突然に成長し始めた超能力に戸惑いながらも、歩けない病人を超能力によって歩けるようにしたりと、病人の治療に専念するようになる。岬の超能力はマスコミを賑わし、当初は賞賛の的となった。しかし、外国や日本政府は岬の超能力を危険視し始めた。そして次第に岬を取り巻く環境は厳しい方向に変わる。 超能力者を扱ったSF小説の多くは、超能力者の大胆な破壊行為を伴いますが、本書の主人公・岬一郎は破壊行為を好みません。更に、自己の能力と社会及び人類進化との関係を深く考え、超能力を主に病人の治療に使うことだけに限定します。その穏やかではあるが卓越した超能力者であることが本書を他の超能力を題材にしたSF小説とは異なるものにしています。もし、真面目で善良な一般市民が卓越した超能力を有したら、社会はどのように反応するのかという事をテーマにした非常に面白い物語です。1988年の日本SF大賞受賞作品です。
関連する文学賞
- 日本SF大賞 第9回(1988年) ・受賞