越中おわら風の盆の空間誌:〈うたの町〉からみた近代
長尾洋子(著)
越中おわら風の盆を、民俗と地域社会の視点から読み解く文化地理学の書。
作品情報
〈うたの町〉とはどこかを問い直す。
ミネルヴァ書房から刊行された研究書で、八尾とおわら風の盆の近代を緻密な調査でたどる。
書籍情報
- 出版社
- ミネルヴァ書房
- 発売日
- 2019-08-31
- ページ数
- 344ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 15.3 x 2.5 x 21.6 cm
- ISBN-13
- 9784623085286
- ISBN-10
- 4623085287
- 価格
- 6050 JPY
- カテゴリ
- 本/人文・思想/宗教/民間信仰
行為とコンテクストが相互作用する場へ―― 「伝統」を解きほぐし、音楽・文学・社会を横断する濃密な文化地理学 毎年九月はじめに富山県八尾町で行われる民謡行事「おわら風の盆」は秋の風物詩として知られる。地域の人びとが伝えてきたうたや踊りは、ジャンルや町の境界を越えたさまざまな動きと連動していた。 うたをめぐる文化は20世紀前半の日本という文脈の中でどのような展開をみせたのか。〈うたの町〉八尾に足場をおいて近代の過程を空間誌として描き出す。 【目次】 序 章 越中八尾とおわら風の盆──〈うたの町〉とはどこか 1 〈うたの町〉という空間 2 ナショナル・エリートの構想としての民謡と近代 3 民間における近代的民謡の出現 4 研究の目的と方法 5 本書の構成 第1章 文化政策の転換──『俚謡集』成立過程をたどる 1 明治政府の文化統制 2 童話伝説俗謡等の全国調査 3 通俗教育と文芸委員会 4 うたの〈方言〉化 5 言語空間の再編成 第2章 〈豊年踊〉の誕生──共進会のおわらと八尾町のおわら 1 おわらの古層──不定形の練り廻り習俗と二百十日 2 〈豊年踊〉 3 富山県主催一府八県連合共進会 4 転換装置としての共進会──裏日本からの脱却を目指して 5 臨海地域の開発と「富山踊」における海のイメージ 6 〈特産品〉としての地域芸能 7 博覧会的空間への親和と反発 8 手がかりとしての「かっぽれ」 9 「群れる」と「見せる」のあいだ──来たるべき時代の居場所を求めて 第3章 演唱空間の開拓──全国民謡大会開催をめぐって 1 八尾町のおわら、東京へ 2 ホールへの視座 3 安来節の興行路線──寄席から劇場へ 4 追分節の東京進出 5 後藤桃水による「準備工作」──追分節から民謡の普及ヘ 6 錦輝館 7 和強楽堂 8 神田の青年会館と全国民謡大会 9 民謡の演唱空間を拓く 第4章 歌詞創作と近代詩運動──新たな郷土の姿 1 富山における近代詩運動の興隆 2 近代詩運動接触以前のおわらの文芸的側面 3 『おわらぶし』──詩の擬態としての「民謡短章」 4 小谷惠太郎──近代詩運動とおわらの接点 5 「民謡おわらの街」へ 6 美しき〈辺境〉の入口 第5章 〈新踊〉の創造──郷土芸術とジェンダー 1 昭和に生まれた〈新踊〉 2 〈女踊〉──「すい」な情緒の実現と「見せる」身体性の前景化 3 〈男踊〉──郷土と青年 4 興行路線とは一線を画す 5 越中八尾民謡おわら保存会女児部 6 童謡舞踊を郷土芸術の糧に 7 空間のジェンダー的再編成 第6章 おわらの総合プロデュース──越中八尾民謡おわら保存会の活動 1 保存会ことはじめ 2 創設にたずさわった人びと 3 町外の有力者や文化人の参加 4 組織構成にみる特質と構想 5 歌詞募集 6 「民謡おわらの街」のイメージ創出と空間演出 7 夢の事業計画と戦争の影 8 おわら情緒の浸透を目指して 第7章 戦時下のおわら──慰問から地方文化運動へ 1 「明暗の境地」 2 歌詞創作・募集事業の変化 3 翁久允──〈うたの町〉と文士をとりもつ仲介者 4 おわら歌詞の選者として──「情緒」と「世界的田舎者」 5 さらなる高尚化と認知の追求 6 地方文化運動 7 〈うたの町〉の強靱さ 終 章 おわら風の盆の半世紀に耳を澄ます 文献および資料 あとがき 人名・事項索引
《著者紹介》*本情報は刊行時のものです 長尾洋子(ながお・ようこ) 1970年 生まれ 1997年 ロンドン大学大学院修士課程修了(開発学修士) 1998年 お茶の水女子大学大学院修士課程修了(人文科学) 2018年 博士(学術)(総合研究大学院大学) 現 在 和光大学表現学部教授 専 門 文化地理学