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芭蕉: その鑑賞と批評

新潮社文学賞

芭蕉: その鑑賞と批評

山本健吉

山本健吉が松尾芭蕉の生涯と句作をたどり、代表句を精読しながら芭蕉俳諧の展開を論じた評論。談林時代から『奥の細道』、晩年の作品までを視野に入れ、芭蕉の詩精神と俳句表現を読み解く。

松尾芭蕉俳諧俳句批評古典文学

作品情報

芭蕉の句と旅を読み解き、俳諧の精神がどのように深まったかを追う。

山本健吉の代表的な芭蕉論で、新潮社から1955年から1956年にかけて『芭蕉 その鑑賞と批評』の分冊として刊行された仕事に基づく。受賞作紹介では山本健吉「芭蕉」として扱われ、版元ドットコムでは2006年の飯塚書店新装版『芭蕉―その鑑賞と批評』が、1957年新潮社刊の全巻版を現代の表記に直して刊行したものとして紹介されている。Amazon JP、NDL OPAC、版元ドットコムを確認し、単行本として利用できる新装版のISBN 9784752220480を採用した。

書籍情報

出版社
飯塚書店
発売日
2006-02-01
ページ数
407ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784752220480
ISBN-10
9784752220480
価格
4679 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

本書は、1957年新潮社より刊行された「芭蕉—その鑑賞と批評(全)」の旧字旧かな使いを現代の表記に直して改めて刊行するものです。新潮文学賞・芸術院賞を受賞した本書は山本健吉氏の仕事の中でも一つの大きな山をなす作品です。

山本健吉 (1907年~1988年) 1907年、長崎県生まれ。父は明治期の評論家・小説家である石橋忍月。 折口信夫に師事し、民俗学の方法を学ぶ。昭和9年創刊の「俳句研究」編集長として中村草田男ら人間探求派を世に送り出す。昭和24年より評論家として、文芸評論のほか、俳句の評論や鑑賞を執筆。 近代文学批評に『私小説作家論』『小説の再発見』、俳句批評に『現代俳句』、古典再発見の仕事として『柿本人麻呂』『詩の自覚の歴史』など。 1983年、文化勲章受章。

レビュー

  • 学究的な書

    400ページにも及び力作であり、後書きによると氏が五十近くなってようやく作家として 世に出られた記念碑的作品らしい。これまで氏の本を読み、感銘を受けていただけに、 大いに期待したが、学究的な要素が強過ぎて楽しめなかった。しかし、所々、惹かれる 記述があったので、挙げてみる。 ・杜甫も芭蕉も、はげしく仕官の道を求めながら、容れられずして旅の詩人として果てた のであるが、世俗的な栄達を断念した入庵前後のころから、彼はことに座右の書として 杜詩を想うことが多くなったようである ・芭蕉にはもっと虚心の構えがあり、季的情緒は蕪村のように作品以前にあるのではなく、 制作とともに生み出されるのだ。彼にあっては、作品を離れて季的情緒などというものは ない。作品が完全な意味で創造であり、同時に思索行為でもあった ・高館も佐渡も、芭蕉が発見した歌枕なのである~そしてそのような歌枕の一つもさぐり 出すことが、取りも直さず新しい俳諧師の務めであり、芭蕉の旅の一つの意味でもあった ・~「軽み」とは、始めから軽いことを言うのでなく、重みの脱却としての「軽み」なの である ・個性を没却して、より大きなものに自己を委ぬべきことを説くのである。個性とは如何 なるものかを知っている者のみが、個性からの脱却の意味を解することができる ・芭蕉にとって「軽み」は、何よりも無私の境地を意味した ・五十年の生涯も、言わば「枯野の旅」の如きものであったのであり、何を求めて歩き つづけたのか、それはけっきよく文学一途の無償の旅であったのだ 自説が強いことが気にかかるものの、氏は芭蕉の創作の秘密を深い次元で知っていることを 確かめ得ているため、信頼できる。

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