作品情報
角川春樹事務所より刊行。
書籍情報
- 出版社
- 角川春樹事務所
- 発売日
- 2014-09-30
- ページ数
- 243ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784758412452
- ISBN-10
- 4758412456
- 価格
- 1650 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/歴史・時代小説
八代将軍徳川吉宗と尾張藩主・徳川宗春の対立が水面下で繰り広げられる元文の世。 尾張徳川家に仕える甲賀忍び雪野は、幕府転覆を謀る宗春の願いを叶えるべく長崎へ向かった。出島の遊郭へ太夫として潜入した彼女は、そこで蘭館医師・ヘンドリックと運命的に出会い、やがて二人は惹かれ合っていく――。 忍びの女と異国の男の運命の愛を、力強くも繊細な筆致で描き切った歴史時代小説! 北方謙三、今野敏、角川春樹、全選考委員満場一致で第6回角川春樹小説賞を受賞。
1962年東京都生まれ。中央大学法学部政治学科卒業。神奈川県内の小学校で事務職員として勤務後、小説執筆に専念するためにフリーになる。熱烈なフラメンコファンであり、たくさんのアルティスタを応援している。本書にて第6回角川春樹小説賞を受賞しデビュー。
レビュー
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鳴神先生の原点
ヲタクものや警察もの等々鳴神先生は多方面に渡るソースが面白いのですが、同じ時代物のくくりでは最近の女奉行や花魁シリーズに比べてもひけをとらない面白さです。私は時代物が少々苦手でしたが鳴神先生を呼んで時代物の面白さに気づきました。女奉行にしても花魁シリーズにしてもまず設定が面白いです。ぜひ鳴神ワールドをご堪能あれ!
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応援したくなる主人公
江戸時代の出島を外国人目線で描いている珍しいシーンに惹かれ、最後まで興味深く読みました。 忍びの師匠左内と医師ヘンドリックの性格が対照的で、主人公雪野がどちらを選択するのか? 人として、女として、生きる道を真剣に考える時が来るのは、いつの時代も同じだと思います。 がんばれ雪野、と応援したくなる、素敵な女性主人公の時代小説でした。 表紙の絵や、帯と見返しの草模様にもきゅんときました。
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面白くないわけではないがリアリティに欠ける
主人公は、徳川吉宗の治世の江戸時代の尾張藩の女忍者で、現在は長崎の遊郭の大夫に扮している雪野という女性だ。雪野と蘭館医師・ヘンドリックの恋と、その背景に進行する尾張藩主・徳川宗春の陰謀の進行が同時並行に描かれる。 設定はなかなか面白く、展開も小気味よいのでさくさく読めるが、個人的には徳川宗春の陰謀そのものと、ヘンドリックの人物像、にリアリティが欠けるところに不満を感じた。
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江戸時代のお話
現在、長崎に住んでいるので出島や時津など地名が出るだけで、うれしくなります。 長崎県民はぜひ読んでほしいですね。話の流れは、徳川吉宗の倹約令と宗春派手好み の対立から、そこに女忍と出島に暮らす医師ヘンドリックスの恋の行方、甲賀と伊賀 のアクションシーンなど絡みあって面白い。最後に国境を越えた2人の恋はかなうの か?もし、映画化されれば007なみのアクションシーンが見られそうで楽しいかも しれません。この小説は、賞を取っています。
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久しぶりにページをめくる手が止まらなかった
主人公の雪野、ヘンドリック、左内、それぞれの思いの深さが切ない。 だが、単なる恋愛小説ではない。歴史小説としても、冒険劇としても、読みごたえがある良書だと思う。 はじめから最後まで予想外の展開が続き、まったく飽きることなく、夢中になって読み進めた。 ストーリーの面白さを支えているのは、魅力的な登場人物たちだ。主人公はもちろん、脇役である宗春、敵の忍者までもが魅力的でやさしい。おそらく作者が優しいのだろう。読んでいて何度も温かな気持ちになった。
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角川春樹小説賞の傾向とは?
香港のダークな世界を書いたものやファンタジー作品が受賞して 今回は時代小説ときましたか。どれもそれなりに面白かったけれど、香港ものは旅行案内みたいで、ファンタジーものはお子ちゃま向き。私世代からいうと、「スカッと青春」と思える明るいドラマになるような作品の受賞はないのでしょうかか。次回受賞作品にもおおいに期待しています。
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「本物の歴史時代小説」に満足
八代将軍吉宗の世、 尾張藩主、徳川宗春が密かに幕府転覆を企てていたとしたら。 そんな大胆な仮説に基づいた 将軍に仕える江戸の忍者と、尾張の忍者甲賀の忍者の 手に汗握る戦いの術、道具に至るまで 緻密でリアルで真に迫っている。 緻密に作られた舞台を背景に描かれるストーリーは、 蘭学医ヘンドリックと 遊郭へ潜入した女忍びの雪野との運命的な出会いと純愛。 この雪野が、 きりりと勇ましく、かついじらしくけなげで、 なんとも、良い。 雪野がどうなるのか気になって、 ページをめくる手が止まらない。 緻密で重厚な作品だが、一気に読み終えてしまった。 なにより、 読後感が良いのがいい。 本書は伊賀vs甲賀の忍者もの娯楽小説であると同時に 本格歴史小説でもある。 緊縮財政を強要していた吉宗の世に ただひとり宗春は規制緩和による経済改革を行おうとしていた という歴史を、この小説を読んで初めて知った。 知られざる歴史を再認識する、 というのも歴史時代小説を読む醍醐味であろう。
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アクション小説を求める方からマニアックな歴史小説ファンまでおすすめの小説です
題名を見て、モンティ・ノーマン作曲の「ジェームズ・ボンドのテーマ」が耳に聞こえた方、またはスキーで崖に飛び出し開いたユニオンジャックのパラシュートが目に浮かんだ方は、まずはこの本を買ってしまいましょう。後悔はないはずです。 冒頭、とある小藩へ潜入したヒロイン。対立する諜者を倒して秘密文書を奪い、さらの別の組織に追われながらの逃走。あわやで危機を脱したところで場面が変わり、尾張甲賀を統括する星野織部の屋敷となる。 そこで語られる、日本の国を揺るがすような陰謀、それを阻止するためにヒロインに新たな任務が下される。 まさに、スキーをしながらの銃撃戦のオープニングから一転してMの職務室で新たな任務を言い渡される『007 私を愛したスパイ』(映画版)を彷彿させるイントロです。 表紙のイラストや帯のあおり「忍びの女と異国の男の運命の愛。」などを見ると、しっとりとした時代小説のイメージです。 もちろんそういった感じでも読めるのですが、私の好みとしてスパイ・アクション小説として読まさせていただきました。 歴史小説というと、歴史の講釈や当時の風俗や食べ物などに関するうんちくが入るのが一つの作風になっているきらいがあると思います。もちろん、司馬遼太郎や池波正太郎といった時代を切り開いていった方々の作品は何度読んでも飽きることがないのですが、一方でネタ本も思い浮かぶような偏ったストーリィとはあまり絡まないような『うんちく』をくどくど書かれる作家の方もいらっしゃるのも事実。 この作品はそういった『うんちく』とは無縁です。但しストーリィに絡む、時代背景や忍術の道具や技についてはきっちりと書き込んであって、リアリティを高めています。 実は『ランティエ』11月号の対談[ http://www.kadokawaharuki.co.jp/rentier/ ]を読むと深いところまできっちり調べてあることが判ります。でも、そういった苦労をさりげなく出している(たとえば雪野の名字とか)。多分、100ぐらい調べて、2,3件ぐらいしか使かわず、それも普通の人にはわからないけど気づいた人は唸るという感じだと思います。 ということで、「私は」アクション小説として読みましたが、歴史小説ファンにもとても美味しい本じゃないでしょうか。 あえて何かをいうとすると、主君徳川宗春が幕府徳川吉宗に逆らおうとした目的です。本書では外征を企み国を戦乱に導こうとしていた。という仮説(先の対談で「たとえば、作中では触れなかったことですが、吉宗がまだ紀州の殿様だったときに、使い途のない非常に大きな鯨船を造らせているんです。将軍になってからも、また造らせている。船に対して強いこだわりを持っているんですよ。そこで、海の向こうへ行こうと考えていたのではないかと思いまして。」と書かれています)が軸となっていますが、個人的に倹約令で暗く殺伐とした江戸と明るく民衆の喜びがあふれる尾張を対比して、その生活を守りたい。というのでも良かったんじゃないかと思いました。まあ、中盤からのストーリィとかみ合わなくなるので無茶な発想ですが(^^;) こういった、読者の想像力を本を超えて広げていっているというのも良い本の条件じゃないかと思います。 私のようなアクション小説を求める方からマニアックな歴史小説ファンまでおすすめの小説です。
関連する文学賞
- 角川春樹小説賞 第6回(2014年) ・受賞