日本の文学賞

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愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ

日本ファンタジーノベル大賞

愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ

琴音

愛と告白をめぐる登場人物たちの交錯を描く群像的な長編小説。受賞辞退や刊行経緯が話題となった作品。

告白人間関係アイデンティティ

作品情報

愛と告白をめぐる登場人物たちの交錯を描く群像的な長編小説。

愛と告白の連鎖が人間関係を組み替えていく群像長編。受賞辞退を含む刊行経緯でも注目された。

書籍情報

出版社
ライブドア パブリッシング
発売日
2005-12-17
ページ数
264ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784779400339
ISBN-10
4779400333
価格
2200 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

魂の形を愛していた。ちょっと歪んだ星の形だった。 そのいびつな形と触れられぬほどの熱さが 私の心の氷を溶かし、涙に変えた ─── 本文より 自殺した元恋人の部屋で、「私」は地図の描かれたメモを見つける。地図を頼りに辿り着いたのは、スラム街にある一軒のアパート。住人たちが職業としているのは、個室で客の「告白を聞く」という商売だった。聞き屋となった私は、住人のひとり「イップ」との恋に落ちる。しかし甘い生活は長く続かない。街には葬列、追いかけてくる過去、恋人の秘密。数々の謎はある夜に起きた爆弾テロに収束し、物語はクライマックスを迎える──。 文学界にセンセーションを巻き起こす、誰も書き切れなかった最後の純愛小説!

1976年4月9日、北海道生まれ。東京大学法学部第1類卒業。現在、ライターおよび翻訳業。第17回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞辞退。

レビュー

  • 作者は、言葉で、フーガを奏でる。

    第17回ファンタジー大賞辞退作の待望の刊行。 この物語は、厳密な意味での起承転結を取らない。進行する数組の恋愛が模倣関係となり、音楽上のフーガ形式をプロットとする。これは、斬新な試みである。 作者は「告白を聞く」という職業を設定し、長編小説の中に、フーガでいう嬉遊部としての告白を散りばめる。テーマは、一貫して、”愛をめぐる奇妙な告白”であり、決して、”奇妙な愛の告白ではない”。愛は、いかなる形であっても、純粋なものであるという作者の主張が仄見える。この告白部分が、実に、興趣に富む。 嬉遊部には、非常に暗示的なタイトルがつけられている。目次を見ていただければわかるが、「道」というタイトルには、当然、ザンパノとジェルソミーナの関係が投影されているだろう。ここで、嬉遊部は、一貫したテーマを持ちつつ、ポリフォニーの形態をとることになる。 明示されない人名。例えば、ガラス細工のような音楽を指揮していた89歳でなくなったマエストロ? カラヤンを思い浮かべて欲しいのであろう。だが、彼の最晩年の夢が、作中に書いてあったものだとは、私は知らなかった。伝記でも読んでみようか。このように、本作は、どこまででも読者の知的好奇心を刺激する作りとなっている。 舞台となるアパートは、核の傘下にある擬似日本を模しているのは明らかであるし、では、核の上に住むミシンと海亀とはなんなのか? 第三の嘘があるなら、第二、第一の嘘はなんなのか? 考えれば考えるほどに面白い。 だが、この作品の根底に流れるのは、深く抉り取られていく恋愛の分析であり、真の優しさといえる。エンターの手法を取り入れているので、私のように変な深読みは無用。作者のストーリーテリングの才に乗っていけば、自然に、読書の楽しみを味わえる。 実に、うまく作られた小説である。海外小説の影響が非常に強いが、ここ数年の現代日本文学の中では、明らかに出色の出来栄えといえる。

  • †‡†

    所々、ちょっとなぁ………って感じの表現もありますが、テロの最中、もう会えないと思っていたイップが部屋に飛込んできた後の、たった3分って時間に対する主人公の件がすごく好きです。

  • 不思議な世界の中で

    『愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ』読みました。 通学の途中で読もうと思っていたのですが、買ってきたその日に、ページをめくり、気がつくと、外は真っ白。こんなに、一気に本を読んだのは初めてです。 登場人物の経験した辛い過去が、自分の経験した辛い過去と重なりとても共感し、涙が溢れました。 私自身、まだ愛というものはよくわからないのかもしれませんが、この本で愛についてを色々と学ばせてもらえたと思います。 私の中では、この物語の世界が不思議な雰囲気で包まれていて、少し目の視点を変えてみれば本当にそんな世界があるんじゃないかと思えるような現実的世界でした。 最初から物語に惹きこまれていき、読み終わった後には自分も告白をして肩の荷が降りたような気分でした。 こんな素敵な本はなかなかないと思います。

  • 胸につきささる物語

    何かに傷ついている人に是非読んでほしい物語。 この本の中には、傷ついた魂の人々がたくさん出てきます。しかし、だからこそ、その人々のふれあいの中からは愛が生まれ、祈りが生まれます。 「究極の愛」を感じる、ぎりぎりに追い詰められた人々の物語。 たくさんの人々にこの本を手にとって、この物語にこめられた愛や祈りを感じてほしいと思います。

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