作品情報
佐藤文香の『海藻標本』は、受賞歴と刊行形態を手がかりに読まれる作品である。
佐藤文香による『海藻標本』について、単独の単行本・文庫・短編集として確認できる資料を優先し、掲載誌や雑誌号の識別子は除外した。受賞作そのものを対象に、刊行状況と書籍としての同定可能性を中心にまとめている。
書籍情報
- 出版社
- ふらんす堂
- 発売日
- 2008-06-01
- ページ数
- 124ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784781400204
- ISBN-10
- 4781400205
- 価格
- 2200 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
◆ 第一句集 序・池田澄子 俳句甲子園で最優秀賞を得た、いわば記念碑的な「夕立の一粒源氏物語」を、文香はこの第一句集を編む時点で捨てた。見事な根性である。そして確かに句集の作はその句を超えている。この健気を以て更に、俳句形式を悦ばせる俳人になっていくだろう。大変なライバルの出現である。 言葉そのものへの興味、言葉をつかうことへの興味は、 俳句という形式の中で増幅する。 語の持つ音や文字の形のおもしろさ、 言葉の負う背景、言葉同士のふれあいに気づき、感じる。 私は俳句を選んだ。 つかう言葉のひとつひとつを思い遣ることができる。(あとがき)
レビュー
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切り取り方の斬新さが光る
1985年生まれの作者が22歳までの句をまとめた第一句集。高校で賞を取った「夕立の一粒源氏物語」もそうだが、作者の、ある光景を切り取る、その切り取り方のユニークさが、随所に光っている。「少女みな紺の水着を絞りけり」「うづくまれば小さくなるなり花野原」「待たされて美しくなる春の馬」など、読み手はそれぞれに異なる光景を思い浮かべるのではないだろうか。意外に難解句なのである。たとえば、最初の句、少女たちはどこにいるのだろうか? 絞るとき何を着ているのだろうか? 小学生? 中学生? 高校生? 読み手の想像力を大きく刺激するという点で、本書は作者の優れた才能を感じさせる。
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不思議な俳句
kindle版を購入したけど、紙の本も欲しくなった。 https://www.amazon.co.jp/dp/B01GRPOT62/ref=cm_cr_ryp_prd_ttl_sol_6
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「夕立の一粒源氏物語」を超える句がないのは残念である
いつか新聞で、「俳句界の若きホープ」として紹介されていて、「俳句甲子園」で最優秀賞を取った、「夕立の一粒源氏物語」とも同様に紹介され、感心したので、この俳句集を購入した。「師」の池田澄子が序文を書いていて、上の句を、この句集に入れなかったのは、「大した度胸だ」とホメている。しかし、この句集を読んだかぎりでは、なるほど、SNSなどにたむろする俳句ジーサンたちよりは言葉のセンスも俳句の技術もレベルは上だと思ったが、それでも、「夕立の一粒」以上の句はなかったのはまことに残念である。ついでに「師」である池田澄子句集も読んだが、この「師」は、この「弟子」以上の句を書いていない。 小西甚一にはよれば、俳句は、評価が非常に難しい文芸である。なぜなら、まず、俳諧と俳句を区別しなければならず、また、書かれた時代、状況等も考慮しなければ鑑賞が成り立たないからである。そういう評価の複雑さから、雲霞のごとくの「書き手」が登場する。 なにかが根こそぎ変わらなければ、どうしようもない世界なのかもしれない。
関連する文学賞
- 宗左近俳句大賞 第10回(2009年) ・受賞