沈むさかな
父の急死の裏にある真相を追って、主人公が海辺のクラブに潜り込む。ダイビング、企業スキャンダル、再生医療の噂が絡み合うサスペンス。
作品情報
湘南の海辺で、父の死の真相が少しずつ浮かび上がる。
第1回「このミステリーがすごい!」大賞・優秀賞受賞作。海辺のクラブを起点に、父の死と企業の暗部が結びついていく。
書籍情報
- 出版社
- 宝島社
- 発売日
- 2003-03-01
- ページ数
- 421ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784796631853
- ISBN-10
- 4796631852
- 価格
- 2661 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
Amazon.co.jp: 沈むさかな : 式田 ティエン: 本
レビュー
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とにかく凄い臨場感!
私は学生時代は水泳部に所属、最近ダイビングも始めたところでこの作品と出会いました。そんなタイミングだったので、読み始めてすぐに圧倒的なリアリティーに驚き、ぐいぐい引き込まれ一気に読ませてもらいました。式田さんの他の作品もそうですが、ものすごいリサーチ力と話の組み立ての旨さに脱帽です。嘘くさいキャラクター設定やちょっとググっただけのリサーチが多い中、この作者はダイバーでサーファーだと確信できます。(ひょうっとしたらスイマーでヨットマンでもあるかもしれません)。ストーリーは他の方のレビューに書かれているので私は触れませんが、式田さんの作品の登場人物は他の作品にも入れ替わり立ち替わり登場します。「月が100回沈めば」と「湘南ノート」を読見進むと懐かしいような不思議な感じがします・・・昔バイとしてた店の店長にひょっこり出会った時のような感じ・・・連作では無いのに面白い読後感です。次も期待しております!
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欲張りすぎのミステリー
淡水浴と言うものがあるそうです。魚についた寄生虫を取る方法の一つで、海水魚をわざと淡水に入れるのだそうです。病気が進行して体力が弱った個体で無い限り、海水魚は十分や二十分淡水に入れておいても死にはせず、好塩性の細菌や寄生虫のみが剥がれ落ちていく。ただ、液体の比重が違うので魚はどんどん底へ沈んで倒れてしまうのだそうです。本書のちょっと不思議なタイトルはここから来ており、またミステリーの重要な鍵ともなっています。 ともかくこれでもかと謎やアクションが繰り広げられ、後半は少々消化不良気味。全編を貫く二人称の語り口―主人公を“きみ”と呼ぶ何者かの語りで進められていくスタイルは、慣れるまで時間がかかりました。語っているのが誰なのか、気になって仕方が無いのです。勿論それにもちゃんと答えを用意してはありますが、しかしすっきりと腹に落ちてくるものではなかった。あれもこれもと詰め込んで、少々欲張りすぎの感が否めません。
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『四日間の奇蹟』よりも好きかも
二人称、ダイビング、そして湘南の海というあまり慣れない不思議な空間を生み出しているミステリー。といっても前半は主人公のカズがダイビングを覚えていく過程や友人の英介から教わり、成長していくという話だ。むしろ、全体的に似見るとカズのサクセスストーリーでもあるかもしれない。ミステリーがメインということではないはず。 日々の生活に見切りをつけた高校生、矢野カズは湘南の鵠沼でラーメンやのアルバイトをしていた。ある夜不良グループに絡まれたが、小学生の頃スイミングスクールに通っていた友人、加部英介に再会、そのばを助けてもらう。そして、英介からダイビングをやらないかと持ちかけられることに。 ミステリーの核となるのは、昔スイミングスクールのコーチをしていた父の下で起こった死亡事故と父自身の死の真相を探すための物語。そして、カズの自分探しへの旅でもある。 ダイビングという慣れない題材を持ち込んでいるせいもあるだろうが、全体的に不思議とゆったりとした空間が漂う。海の中にいるような、時間の緩やかさ。本作でも海の描写が綺麗で、色々な人から海についての思いを語られる。それにカズも引きつけられるが、だからこそラストは大分勇気のいる行動だったはず。 世界の2/3は海に囲まれていて、特に日本は島国だ。海とは切手も切り離せない。海のように話も後半の展開が広げすぎではないかと思ったが、追うべき存在や父の伏線がまとまった感じで、ミステリーとしても悪くはないだろう。 それ以上に本作のもつ世界観が好きだ。海に魅せられたカズ。広く、大きい中にある自由を感じ取っていたのではないかとも思った。 個人的には好きだ。終盤シリアス路線に走ってしまったのが惜しいが、仕方ないと言えば仕方ない。『四日間の奇蹟』よりも、好きかな。
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人の持つ多面性
ダイビングなどやったことない私としては、その技術や理論は大変面白い。 また、読んでいる最中ずっと「きみは・・・」で語られる文法が気になっていました。 しかし、終盤核心に迫る部分で、長く貫かれた「文法」が意味を持ってくる。 その構成には感心しました。 主人公の少年は、無力で、 しかし何事かを成そうとする「青春の葛藤」や「無茶苦茶感」がある意味リアルです。 主人公の受身の姿勢は読む人によっては、理解できないかも知れません。 しかし、現実とはそんなもの。リアルに精神的成長を遂げる主人公が描かれていると思いました。
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はずれが多いこのミス大賞
鵠沼海岸のラーメン屋でアルバイトするカズの元に現れた英介、彼はカズの父の死の真相を知っているという、カズは真相を探るため、父がコーチをしていたプールの元事務長タムラがマネージャーを務めるクラブで働くようになる。 スクーバーダイビングを扱ったミステリー、最後まで一気に読まされるが、謎解きが煩雑で、わかりにくい、書評で書かれていた、メイントリックも必然性がよく分からなかった、『四日間の奇蹟』といい、この作品といい、このミス大賞ははずれが多い
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ミステリーと呼ぶには切ないストーリー
読み始めは何が言いたいのかわからなかった。でも次第に謎は深まり、真相に手が届きそうでなかなか届かなくて、読み進めてしまう。 ダイビングの魅力とその奥深さ。海と生物。主人公「カズ」の心情。ティーンエイジャーの脆さ。大人と社会に対するシニカルな視点。 どれをとっても文句のつけようがない。 実は最後に明かされる”真実”は、最初に知りたかった真相とは別のところにある。 その”真実”がわかった瞬間、「ああ、この小説はスゴイ!」と思った。そうだったのか。本当は最初からひとつたりとも読み落としてはいけなかったのだ!
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さかなよ、荒海を泳げ!
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不思議な...
性別、国籍よく解らなくなってしまう不思議な作者の名。 どこか幻想的な感のある不思議な作品名。 惹かれて本を読んでみて、あら不思議、主人公が二人称の呼びかけ(きみ)で書かれている。しかもカズと名乗った主人公がイズミと呼ばれたり。時々よく解らない個所も出てきたりもする。 意外にも多くの不思議に対して作品中で描かれているミステリー自体は比較的平凡なもの。とはいえ話自体は決してつまらないものでは無いし、二人称の謎も解決する。ミステリー小説ではなく、主人公の成長を描いた青春小説として読んだほうが、はるかに面白いような気がした。全ての謎が解け、もう一度読み直してみて主人公が最初よりも好きになった。 余談になるかもしれないが、謎解きは複数でやらないほうがよいと思う。何が何やら......