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がん消滅の罠 完全寛解の謎 (宝島社文庫 「このミス」大賞シリーズ)

『このミステリーがすごい!』大賞

がん消滅の罠 完全寛解の謎 (宝島社文庫 「このミス」大賞シリーズ)

岩木一麻

がん患者の完全寛解に不自然さを見つけた医師が、保険金不正の疑いを追う医療ミステリ。

医療ミステリー保険金調査医師サスペンス

作品情報

治ったはずの患者に、何が起きたのか。

第15回『このミステリーがすごい!』大賞大賞作。日本がんセンターの医師・夏目が、完全寛解の裏にある不正の可能性を疑い、友人の羽島と真相を追う。医療現場と保険制度を背景にしたサスペンス。

書籍情報

出版社
宝島社
発売日
2018-01-11
ページ数
380ページ
言語
日本語
サイズ
10.6 x 1.5 x 15.2 cm
ISBN-13
9784800279828
ISBN-10
4800279828
価格
748 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

日本がんセンター呼吸器内科の医師・夏目は、生命保険会社に勤務する森川から、不正受給の可能性があると指摘を受けた。 夏目から余命半年の宣告を受けた肺腺がん患者が、リビングニーズ特約で生前給付金三千万円を受け取った後も生存しており、 それどころか、その後に病巣が綺麗に消え去っているというのだ。同様の保険支払いが四例立て続けに起きている。 不審に感じた夏目は、変わり者の友人で、同じくがんセンター勤務の羽島とともに、調査を始める。 一方、がんを患った有力者たちから支持を受けていたのは、夏目の恩師・西條が理事長を務める湾岸医療センター病院だった。 その病院は、がんの早期発見・治療を得意とし、もし再発した場合もがんを完全寛解に導くという病院。がんが完全に消失完治するのか? いったい、がん治療の世界で何が起こっているのだろうか――。 第15回『このミステリーがすごい! 』大賞受賞作。

レビュー

  • 良く考えられたら面白い話だ

    癌研究が進むとこういうことも考えられる。面白い。保険屋さんに読むように勧めた。弱きを助け強きから金をむしるのは痛快だ。

  • 確かに「医療ミステリ」

    専門用語が多いが、構文としては読みやすい文章で書かれていて読書に慣れている人ならスラスラ読める。 ただ小説として見た場合のテーマ的深みだったり、人物造形などに若干薄さはあるかな。 とはいえ、やはりこの本の魅力はタイトル通り「がん消滅(寛解)の謎」に尽きる。 転移がんが何故コントロール出来るのか、完全寛解するのか。 古今東西に数多あるミステリの中でトリックも星の数ほど考え出されてきたけど、このがんが完全寛解するトリックはまさに初。 似たものを見たことがない。というか専門家でないと出来ないトリックなので、専門家でないと思いつかないよね。 ほんの少し、素人の教養程度でも良いので多少の生物学や医学知識があると、このトリックだけで「その手があったか!」という驚きがあると思う。(そうでない場合、ひたすらウザいとしか感じない可能性もある) その分、ストーリー展開や謎解きの開示については食い足りない結果にならざるを得なかったのだろう。 特徴のひとつとして、本作で探偵役は全ての謎を解けていない。 真相全体を100とすれば、部分正解を含めてせいぜい30~40程度を解明したといったところ。 そういう意味で納得行かない人も当然いるだろうが、この謎は探偵役が持っている人的情報や解析結果から答えを導けるようなものではないので、まぁ妥当なところ。 動機がどうこう、というより純粋に転移がんが完全消滅する「医学トリック(画像トリックとかではなく、本当に医学的な手法で寛解させる)」に感心する、そういう小説なんだろうな。 もう5年以上前の本だから、技術進歩の著しい分野だけに今なら本当にこのくらいの事は出来るのだろうと思うと、ちょっと恐ろしいね。

  • 医療業界のシステム

    医療業界のシステムに深く入り込んだ作品

  • 連続して起こるがん消滅は奇跡か陰謀か? --- 元がん研究者が描く読み応えのある医療ミステリー ---

    この作品は宝島社主催の第15回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作で、元がん研究者が描くよく練られた重厚な医療ミステリー小説である。 連続して起こるがん消滅は奇跡なのか、それとも陰謀なのか? がんが完全寛解する謎を日本がんセンターの呼吸器内科医と研究医を含む5人の仲間が追う。 内容ががんや医療に関することなので専門用語が多く出てきて多少戸惑うところはあるが、素人でも説明が理解しやすく、文章も読みやすい。 次第に深まる謎が気になり、読者は気づかないうちにどんどんと物語に引き込まれていく。最後に急展開する内容が予想できず、意外な結末には驚かされた。 著者の岩木一麻氏は神戸大学大学院自然科学研究科の博士課程修了後、国立がん研究センター、放射線医学総合研究所でがんの研究に従事し、その後医療系出版社に勤務している。この経験で得た知見が内容にリアルさを与え、この作品を重厚で読み応えのあるものにしている。 蛇足になるが、この作品は2018年にTBSでドラマ化されている。呼吸器内科医の夏目典明を唐沢寿明、研究医の羽島悠馬を渡部篤郎、夏目の恩師であり湾岸医療センター理事長の西條征士郎を北大路欣也が演じている。ほかに、及川光博、麻生久美子、吉田鋼太郎らが出演していたようである。

  • 面白かったけど、やってることのスケールとやる目的とのアンバランスさに、少しがっかり

    医療ミステリーで、元々ややこしい内容であるものの、登場人物も少なく展開していたので 読みやすかった。 場面展開も緩やかで、少しずつ色んなことが分かるので非常に読者思いでした。 最後は、ある程度予想通りのどんでん返しや丁寧な謎解き、伏線回収があったものの、 「で、結局、何がやりたいの?」の目的が今一つ理解できなかった。 仇討ち?人脈を作って、、、? やっぱり目的が理解できませんでした。

  • 難解ではある・・・が、しかし!!

    どういうミステリかは知らずに買ったが、大変驚いた。 最初から70頁くらいまでの間は、慣れないし難しいし あまり読み進めなかった。 また、帰宅時の電車で少し集中力を欠いていると、頭に入ってこない 時もあったり、全体的に速読しづらい本だと思う。 がんと、その関連知識の全く無い人が読むことを想定していて、 決して置き去りにはしないものの、考えなくていい訳ではない。 それなりに、社会や行政に関して関心がある人であることが 最低ラインではないか!? ある種、壮大なテーマでもあり、考えようによっては荒唐無稽 と言えなくもない内容に、しっかり現実味を帯びさせて、読み物 として成立させるクオリティになっている。 解説で大森望氏が、自分が大賞に推したこと共に、茶木則雄氏が、 「日本医学ミステリ史上、三指に入る傑作、と断言するに吝かではない」 と指示したことも記している。 残念ながら選考委員の茶木則雄氏を詳しく存じないが、言わんと することに納得してしまう。 他の二作は何だと言われても困るが、それくらいの事を言っても いいくらいの出来だという点では間違いない。 就寝時間を削って読んでしまった快作である!!

  • 安っぽい"人間ドラマ"であって、ミステリ的興趣は薄く、医療ミステリという名が泣く駄作

    評判の医療ミステリという事で手に採ったのだが、期待を大きく下回る出来。「がん」が<完全寛解>する訳はないので、そう見せかけたトリックを暴く「How Done It?」ものかと思ったら、謎解きの部分は殆どなくてミステリ的興趣は薄く、作者としては"人間ドラマ"を目指したとしか思えない。 また、医療ミステリに付き物の、医学用語や疾病の説明に関する描写が多く、ウンザリした。それでも、その説明に謎解きのヒントがあるかと思って我慢して読み進めたのだが、明かされる"子供騙し"の様な手法には呆れ果ててしまった。作者にとっては本作がデビュー作の由だが、物語を創り語る筆力が著しく欠けているとの印象を強く抱いた。 本作には医者(医学教授)にありがちな、神に近い全能感を持つ人物が登場するのだが、これも類型的で少しも新規性を感じないし、物語はこの人物を中心とした安っぽい"人間ドラマ"なのだから、"何ともはや"である。医療ミステリという名が泣く駄作だと思った。

  • 著者の経験が活かされた秀逸なトリック

    読了したのが数年前なので完全にうろ覚えレビューになるのですが、タイトルでわかる通りガチガチの医療系ミステリーです。 医者である主人公が余命宣告したがんの末期患者たちが次々と寛解していく事例が発生。がんの保険金をもらったあとにがんが消滅していることから金目当ての工作ではないかと疑い調査を始めるが⋯というストーリー。 がんの研究に携わった経験がある著者が執筆しているだけあってトリックは説得力があり、なるほどと思わされました。実際にがん患者を診ている医者の方も「再現性は低いがありえなくはないトリック」と評価しており、かなりがんの現場を調査して練ったお話だと思われます。 医療系ミステリーなので専門用語と小難しい話のオンパレードです。本作は比較的わかりやすく書かれているほうだと思いますがけして読みやすい小説ではないので覚悟してください。文体は普通かな。ちょっと硬めで好みの文体ではなかった。 トリックは秀逸ですが物語としてはカタルシスに欠けてパットしない印象。結局犯人優位のまま終わりますし地味な展開の上に胸糞という。総合して☆3ですかね。トリックが良いだけにもう少しエンタメ度が高ければ最高だったなぁ。

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