作品情報
歴史の歴史は、歴史認識を軸に読者を作品世界へ導く。
歴史がどのように体系化され、人類が世界認識を広げてきたかを、アイデンティティ、自然観、暦、法、教養などの主題からたどる講義形式の歴史論。
レビュー要約
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専門的な主題を講義調で展開し、歴史を読むための視野を広げる本として受け止められている。広範な論点を一冊に収める構成が、知的な見取り図として評価されている。
書籍情報
- 出版社
- 千倉書房
- 発売日
- 2014-12-20
- ページ数
- 462ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 12.9 x 2.5 x 18.9 cm
- ISBN-13
- 9784805110348
- ISBN-10
- 4805110341
- 価格
- 3300 JPY
- カテゴリ
- 本/歴史・地理/歴史学
歴史が歴史として体系化され、人類が知恵を武器に世界を広げていった道行きを、アイデンティティ、自然観、暦や時間、奴隷、地図、倉庫、法と王権、教養、といった具合に、いくつかのテーマを設定しながら、特別講義のかたちで解説します。
樺山 紘一 1941年東京生まれ。東京大学教授、国立西洋美術館館長を経て、現在は印刷博物館館長。西洋美術史、ルネサンス研究から出発し、絵画や印刷技術、美術・技術の伝播のメカニズムにも造詣が深い。
レビュー
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人類の世界観(認識?)の広がりを意識させる構成
西洋中世史と文化史の泰斗である著者が学問的トポスを鮮やかに越境・縦断し、歴史を眺め渡すための予期せぬ視角を切り開きます。近代歴史学の方法、宇宙認識の拡大、ヨーロッパの自然観といった壮大なテーマから、暦法、奴隷、疾病、倉庫、博物図譜といった小道具的テーマに至るまで歴史の妙味を語って余すところがありません。現代歴史学が、人類の知の歴史のなかでどのような理論的背景に拠ってきたかを詳らかにする十七の特別講義からは読書の愉楽を感じます。離島にたった一冊、本を持っていって良いと言われたら、おそらく本書を選ぶと思います。
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知性と編集の見事な成果
樺山・印刷博物館館長のこれまでの業績を示すまでもなく、その知性の証が凝縮された一冊である。これを編んだ編集者・神谷氏の意欲と編集者魂の発露に敬意を表したい。著書名の由来については、「あとがき」に記されているが卓抜した発想には敬服した。また、装丁に関する神谷氏のこだわりも最高である。表紙の下の部分は一見して「帯」に見えるのだがさにあらず・・・。なぜ、このような装丁にしたかの秘密は、千倉書房のWebサイトで神谷氏ご自身が解説している。いずれにしても、「歴史に補助線を引いて考えるのが歴史家の仕事」という樺山館長の長年の思いを見事に引き出し、見事な装丁で世に送り出した編集者の仕事に拍手喝采を送りたい。編集は「二次的創造」とよく言われるが、そのことが具現化している人文科学部門の今年の最大の成果といえる。
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気の利いた編集者が一冊の歴史学講座に仕上げた
ヨーロッパ中世史の泰斗である著者が、講座ものの諸論集の求めに応じて執筆した多くの論文を、気の利いた編集者が取りまとめ、一冊の歴史学講座に仕上げたのが本書。ヨーロッパ史をラテン中世を中心に研究してきた著者ならではの実績を踏まえた論点は、中世が近代を準備する知の生成史の視点から、歴史学の歴史性を読み込んで本書の署名を考案したのも編集者の慧眼によることが、著者あとがきに記載されている。 構成は近代世界を準備したヨーロッパ諸学の知的起源を探求した成果を普遍学的に解説している。最終章はグローバル史の観点を踏まえて総括される。 著者は大学を定年後、印刷博物館の館長を務めている関係で、ヨーロッパの近代を準備した印刷術の起源=知の伝承起源、という視点を重視しながらヨーロッパ史の主たる歴史的で全人間的な史学へのアプローチ実績を巧みに読み通せるようになっており、学問史の風貌すら兼ね備える。近代日本を準備した西周のヨーロッパ留学と日本語初期の学術用語の生成にも踏み込んだ記述は残されたノートを解読しての記述であり、歴史学者の研究実践を自らの博物館資料に基づいた理想的な仕事でもある。 索引と参考文献表がないのが残念だ。装幀とカヴァー表紙には何やら編集者の著者へのオマージュが含まれているようで凝っている。 2015年度毎日出版文化賞受賞 おめでとうございます!
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