日本の文学賞

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ユウキ (福音館創作童話シリーズ)

日本児童文学者協会賞

ユウキ (福音館創作童話シリーズ)

伊藤遊

札幌郊外に暮らすサッカー少年ケイタの前に、小学校生活の節目ごとに「ユウキ」という名の転校生が現れる。六年生で出会った四人目のユウキとの関わりを通じて、子どもたちの期待、不安、孤立、成長がみずみずしく描かれる。

転校生友情成長小学校生活

作品情報

何度も現れては去っていく「ユウキ」が、少年の心に新しい季節を残していく。

伊藤遊作、上出慎也画の児童文学。転勤の多い町を背景に、同じ名前を持つ転校生たちとの出会いと別れが主人公の内面を少しずつ変えていく。福音館創作童話として刊行された。

書籍情報

出版社
福音館書店
発売日
2003-06-25
ページ数
208ページ
言語
日本語
サイズ
19.5 x 13.5 x 2 cm
ISBN-13
9784834006292
ISBN-10
4834006298
価格
1430 JPY
カテゴリ
本/絵本・児童書/読み物/童話・文学

この物語の語り手・ケイタは、札幌の郊外に住むサッカー大好き少年です。小学校入学以来、彼の前には「ユウキ」という名の男の子が三度、転校生として現れました。そのだれもがケイタの親友になり、たくさんの思い出をきざみますが、やがて再び親の転勤や転職にともなって、それぞれの痛みを残して去っていったのです。六年生の新学期にやってきた四人目のユウキは、髪の長い、すらりとした姿のきれいな女の子でした。その子は不思議少女とあだ名され、いろいろな”奇跡”を起こして話題をさらいますが、やがてはそれが、クラスに深刻な対立とかっとうを生んでいきます。孤立したユウキは、卒業をひかえたかけがえのない時間を、このまま寂しく過ごさねばならないのでしょうか……? 『鬼の橋』『えんの松原』と、すでに二作の骨太な平安朝ファンタジーを世に送っている伊藤遊が、現代を生きる多感な年代の子どもたちの心模様を、鮮やかにそして優しく描ききった傑作です。作品の世界とまっすぐに向かい合う、力のこもった挿絵にも注目してください。

伊藤 遊(いとうゆう) 作者・伊藤遊さんは、『鬼の橋』『えんの松原』と続く平安朝ファンタジーで、すでに多くの読者を獲得しています。くっきりとしたテーマ性、ダイナミックなストーリー展開、たくみな人物造型、そして状況にも心理にも鮮やかに切り込んでいく細部のみごとさ……どれをとっても超一級品で、まさに、現代日本を代表する児童文学の書き手のひとりと言えます。児童文学ファンタジー大賞、産経児童出版文化賞、日本児童文学者協会新人賞ほか受賞歴も多彩で、これ以降さらにその世界を広げ、才能をますます開花させていくことと思われます。この春からは、朝日新聞の子ども読書欄で、ファンタジーの紹介・批評の連載執筆が始まる、というのも楽しみです。 上出 慎也(かみでしんや) 挿絵の上出慎也さんは、石川県在住の新進イラストレーター、画家。高校時代にクレイアニメの8ミリ映画制作に没頭したのち、油絵を学んで美術学科へ。大学院修了後、都市景観や、まちづくり業務に12年間従事した経歴を持っています。現在、絵本・イラストレーション制作を中心に活動しており、本書が単行本初作品となります。

レビュー

  • はっきり言って地味。でも、素晴らしい。

    女の子の転校生(ユウキ)との短い触れ合いを描いた小説。1人称で語り手は小学6年生の男の子。 日常の世界から大きく飛躍しない。ならば、なにを楽しむのか。 主人公を含めた人間の細やかな心の揺れ、と文章そのもの。 人間の描き方が素晴らしい。例えば、主人公の相棒カズヤのところをを抜き出してみる。 ほっとひと息ついてから、今のはカズヤの助け舟だったらしいと気づいた。 × × × × × × × そんなすなおな行動がとれないおれは、解く気がしないプリントの前で、むなしい時間をすごしていた。 直截的な表現を避けてカズヤとおれ(=主人公ケイタ)の性格を映し出す。 伊藤遊は大人の女性作家だけど、男のちびっこを描くのが本当にうまい。(もちろん女の子も上手に描いている) 学校生活では、あの子は苗字で呼び捨てなのに、あの子は「さん付け」するんだ、あの子は名前で呼び捨てなんだ・・・とかあるよね。そんなことから始まってもうなにもかもが見事。 ユウキが来てからの主人公ケイタの動揺は、まさしく手に取るように伝わってくる。心臓の鼓動が速くなってるだろうな、くらいまで感じとれる。 その上で行動に移して小さないざこざが起きて物語が展開してゆく。 よくある日常、仲たがいして仲直りして・・・それから主人公は過去を後悔して・・・そんな話なんだが、読んでいて気が滅入ることはない。 小難しい教訓めいた小説ではない。誠実で美しい作品。最後も爽やか。

  • 続く偶然

    今まで仲良くなった転校生の名前がみな「ユウキ」。 続く偶然。 今度の「ユウキ」はどんな存在になるのか、楽しく読めた。 今まで男子同士だったけど、今回は女子なのが肝よね。

  • 心がわかる

    5年生の読書感想文に使いました。読み出したらとまらなくなったようです。 心の変化のとらえかたが難しいようでしたが、感想文としての仕上がりは良かったと思います。

  • 伊藤遊氏の人間描写

    小学校高学年向きであるようだが、大人が読んでも引き込まれる。 小学生の生活、学校、友達、複雑で、時に不穏なクラスの空気や立ち位置をケイタの心や周囲の友達との会話などで細やかに表現していく。 ケイタの前に現れては消えていく、転校生のユウキたち。 一緒にカードゲームに夢中になったユウキ、二人で車のレースに本格的に取り組むユウキ、共にサッカーボールを追いかけたユウキ。 それぞれ個性的なユウキが、転校してきて、また転校しケイタの前場から去っていく。 去られる苦さ、去っていく苦さ。 4人目のユウキが転校してきて、前の3人のユウキにまつわるものが、ケイタの前に様々な形で現れて、ケイタはユウキに不思議な力と因縁めいたものを戸惑いつつ感じながら、いろんなことを考えたり、変化を受け入れる。 小学校6年生という、無邪気ではもうない子供の観察眼や感受性、時にめまぐるしい脳内と心。 伊藤遊氏の本はどれも、ページをめくる手を休めることは出来ない。本を開きだしだら、一気に読む、その時間も楽しいもの。

  • 読後、心地よい空気に包まれました。

    子供向けに紹介される本のようですが、歳を重ねた者にも思いの外響くストーリーでした。イラストも素敵なのです。

  • とても細やかな心理描写

    某通信講座の国語の読解問題に出ていた、同作者の「つくも神」が小3息子にとても受けたので、こちらも読んでみました。 ファンタジーの世界で魅せた「つくも神」とはまたひと味違って、6年生男子達のリアルな日常生活が鮮やかに描かれています。 慣れ親しんだ学校を転校しなくてはならない子供の寂しさ、仲良くなったお友達がある日突然転校してしまう寂しさ。 読書の苦手な息子に、少しずつ読み聞かせしていたのですが、3人目のユウキとの別れのシーンはポロポロ泣いてました。 お友達との出会い、この本自体との出会いに感謝したくなる、非常に味わい深い一冊です。

  • 良かったです

    商品の状態良かったです。グリムの券が入って て、うちもグリムで使う予定なので何だか前の方に親近感がわきました。

  • 子どもにと思って購入しましたが、親がはまりました

    小学生新聞のおすすめ記事を見て子ども用に購入しましたが、ちょっと読んでみようかなと思った親が涙してしまいました。主人公は男の子ですが、女の子に読んでもらいたいかな・・・。 「失敗しちゃったな・・・。ここへ来る前に、1年しか通わない学校だなんて考えとこと。どうして、1年も通う学校だ、って考えなかったんだろう」という優希の言葉が心に残りました。人と人とのつながりを大事に、毎日を大事に、自分も我が子も過ごしていきたいな。と思わせてくれる素敵な本です。

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