日本の文学賞

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遊郭(さと)のはなし (幽BOOKS)

『幽』文学賞

遊郭(さと)のはなし (幽BOOKS)

長島槇子

遊郭を舞台に、人々の暮らしや業の重さを怪異の気配とともに描く小説です。歴史の中に置かれた女性たちの声と、場所が抱える記憶が物語を形づくります。

遊郭女性の記憶怪異

作品情報

遊郭(さと)のはなしは、長島槇子が小説として形にした受賞作です。

遊郭を舞台に、人々の暮らしや業の重さを怪異の気配とともに描く小説です。歴史の中に置かれた女性たちの声と、場所が抱える記憶が物語を形づくります。 受賞作として、作者の関心と表現の特徴が読み取れる一作です。

レビュー要約

  • 読者や選考上の反応は、題材への切り込み方と文章の手触りに注目している。作品の形式に応じて受け止め方は分かれるが、受賞歴が示す通り強い印象を残した。

書籍情報

出版社
メディアファクトリー
発売日
2008-05-14
ページ数
256ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784840123181
ISBN-10
4840123187
価格
280 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

第2回『幽』怪談文学賞・長編部門特別賞賞受賞作。 もし、その櫛が落ちていても、拾ってはなりません。手にとって見てもいけません。赤い櫛だと気がついたら、近くに寄ってはなりません。一目散に逃げ出すのに限ります。できることなら吉原から出てしまうのが一番いい。大門を出たらできるだけ遠くに逃げてしまうんです。吉原遊郭「百燈楼」で語られる七不思議。「八幡の鏡」「鼠の道中」「遣手猫」……中でも一番恐ろしいのは、拾えば命がないという「赤い櫛」。噂を聞いた怪談好きの若旦那が、妓夫に誘われるままに入った廓の中で、芸者やら太鼓持ちや遣手婆らの怪談を聞いてゆくうち……。第2回『幽』怪談文学賞・長編部門特別賞賞受賞作。

東京生まれ。「劇団インカ帝国」での演劇活動の後、脚本家としてデビュー。2003年『旅芝居怪談双六』(学習研究社)で第3回ムー伝奇ノベル大賞優秀賞を受賞し、作家活動を開始。08年『遊郭のはなし』で第2回『幽』怪談文学賞長編部門特別賞を受賞。

レビュー

  • おとぎ話のような遊郭

    ここで、そこと繋がって来る!?という作品です。 ただ私は、遊廓内の生々しい、剥き出しになった、華麗でみっともない(いい意味で)、生き様、人間模様をきたいして購入したので、少しメルヘン色が強く、物足りなかったです。

  • 怖い話を期待していたが、拍子抜け。がっかり。

    節電で暑い夏の夜。怖い話で涼しもうと思ったが、全然怖くなくて残念。ただ、残酷、残忍。マンガか映画なら、気持ち悪くて、それなりに楽しめたかも。江戸時代の話だから、刀で体を切られたりとか、焼けて黒こげの死体とかが出てくるから。 話はつながっているようでいて、最後は、気がおかしくなった人が刀を振り回して切りまくる。なんでそうなったのかが、私の想像力では解らない。俗に言う霊がとりついたのかもしれない。 次こそ、怖い話になるのかと期待しながら、あっという間に読み終えてしまった。失敗した。

  • 映画でも観るように

    「怪談文学賞」の特別賞受賞作ということなので、怪談=怖い話ではあるのだけれど、 「江戸の吉原」という特殊な世界に惹きこまれます。 現代の女性として、「女郎になる」なんてことは無い、という前提だから、 そう思うのかもしれないけれど、覗いてみたい気持ちにさせられます。 怪談としての怖さと、世の中の無常・非情の怖さ、どっちも見たくないけど、見てみたい。 そうして読み進めて行くと、自分が番頭新造にでもなって (本当は花魁がいいけれど、それは高望み?) 郭の中にいるような錯覚をおこすような世界が広がります。 時代小説というと、難しい、と敬遠する方もおられましょうが、 映画でも観るように楽しめる「はなし」だと思います。

  • 大路浩実氏

    大路浩実氏の装丁は、いつも惹きつけられる 本文にも惹きつけられる文章が沢山ある 「話を聞く」タイプの怪談であるから意識をしているのか 見てきたような嘘をつく講談師のようなリズムの善さがある しかし、折角リズムよく書かれていても、次の文章ではそのリズムが崩れる そこで、つんのめる 非常に惜しい これがデビュー作なら何とも思わないが、すでにプロだった作家が受賞した作品なのだから 最初から最後までリズムを守るか、最初からリズムを全部排除して欲しかった

  • めずらしくない構成

    読みやすかったです。 ジャケットにもそこはかとなく、惹かれたので衝動読みでした。 でも、中身はどこかで読んだ、似たような構成でした。 連作でしたが、どこがどう繋がっているのか。 もう少し目立った繋がり感が欲しかったところです。 幽霊をお座敷に呼んだり、身請けの儀式までしちゃうのが爺の道楽とは。 恐れ入りました……

  • ひきこまれる!

    買ったその日の夜、完読。ページをめくる手が止まらない。 もともと、地元のおいらん道中に参加するほど、廓や花魁の独特の世界観に ずっとあこがれていました。 できればこの作品、参加する前に読みたかった…。廓の仕組み やその世界に身を置くさまざまな立場の切なさ、やるせなさ、 誇り、情、おかしみ…そういったことを知っていたらもう少し深みのある 「花魁」や「外八文字」ができたかな?と思います。 道中の艶やかさの裏にはどれほどの思いがあったのか…。 ホラーではあるけれど、単純な怖さだけじゃない。いろいろな 視点で味わえる「怖さ」と「切なさ」。時間がたっても、時々 読み返してはその世界に浸っています。

  • 実に素晴らしい作品だが、新人賞受賞作としてはどうか?

    あまりに手慣れた筆致と吉原に対する深い造詣。新人とは思えないと考えながら読み終え、解説を見たらやはりプロの方でした。大賞とならなかったのもまったくの新人ではなかったからみたいですね。 しかし、これだけの作品なら普通に本にできなかったのだろうか。 今は出版不況で出版社にも余裕がないみたいだ。 一つ気になったのは、松井今朝子の吉原手引き草とあまりによく似た構成だろうか。 連作短編とせず、話を一つに絞った長編とすべきだったかもしれない。

  • 再度の吉原モノではあるけれど

    一皮も二皮もむけて帰ってきた感じですね。「長島ワールド」全開と言っていいかもですよ。前作「七夕の客―新吉原くるわばなし」が吉原入門編だとすると、今回は「じっくり堪能編」とでも言いますか「女中、妓夫、幇間、遣り手等」入り乱れての10話の「怖くも切ない話」であります。完結する1話1話が最終的にはリンクして「あ・・・ここで繋がる訳ね」など、また初めから読んでみたくなる「一粒で十度美味しい」本かしら(笑)個人的には「紙縒りの犬」と「遣り手猫」がお気に入り。長編のテンションを維持しつつ、紙面の中から「極彩色」が浮き上がるような文章に、前作には見られなかった「色」と「悪」と「怖」が・・・・堪能できます!読後のあなた、「ほら、そこに赤い櫛が」・・・・。

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