作品情報
閉じた箱の中で、若者たちは異形とつながってしまう。
第12回電撃小説大賞金賞受賞作。電撃文庫より2006年2月10日発売、文庫判312ページ。エレベーターの異変から始まる、怪異と青春が重なる物語。
レビュー要約
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異形との融合という発想と、エレベーターの閉塞感が魅力。説明の出し方には好みが分かれる。
書籍情報
- 出版社
- メディアワークス
- 発売日
- 2006-02-10
- ページ数
- 312ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784840233019
- ISBN-10
- 4840233012
- 価格
- 1 JPY
- カテゴリ
- 本/コミック・ラノベ・BL/ライトノベル
Amazon.co.jp: 哀しみキメラ (電撃文庫 ら 4-1) : 来楽 零, 柳原 澪: 本
レビュー
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丁寧な心理描写の現代ホラー
学生時代に読んではまり、絶版の憂き目にあって悲しんでいたところ、電子書籍として復刊されてとても嬉しいです。もっと多くの人に読んでもらえれば嬉しいです。 「モノ」、つまりもののけと融合してしまい、半分人間でなくなった四人の高校生たちの物語です。 徐々に人間でなくなっていく四人の姿が恐ろしく、また、不遇な境遇でも協力し合おうとする姿がけなげです。 明るい小説とはいいがたいのですが、結末はどこかさわやかな物語です。
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淡々と描かれる切なさ
星4つ半。 たまたま乗り合わせたエレベーターの中で異形のものに襲われ、その日から自分が変わっていく。 今までの日常が根こそぎ変わってしまう恐怖。 ホラーではありませんが、冒頭はホラー調です。 でもその後に描かれるのは、絶望的な状況に置かれながら絶望しない若い男女の決断と行動。 彼らは運命を恨んで嘆き悲しむことはせず、置かれた状況の中でなんとかいい道を選ぼうと戦います。 激情的な描写は少なく、迷いながら苦しみながらも前へ進んでいこうとする彼らがむしろ淡々として描かれ、それがかえって切なさを増します。 いい作品でした。
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一気に読みました
評価4.7 筋立てにある種の荒さは感じますが、金賞受賞の際に『圧倒的な筆力』と褒められた文章力は確かなものです。 感情表現は細やかで、自分にも覚えのある感情を丁寧に表現していく力量に、ぐんぐん読まされてしまいます。 爪を切ろうとして、爪切りの方が欠けてしまう場面や、最初は指導する立場だった七倉が、もうこの四人には敵わないのだと知る場面など、さりげない表現なのに惹きつけられました。 何よりも、半分しか人間じゃなくなった四人が、悪化していく状況の中でもそれぞれに道を選んでいく姿がいいです。 仲間だったはずなのに考えの違いから敵対していくものも出て、それでもあきらめることなく皆最後まで戦い続けます。 あからさまには書かれていませんが、十文字から綾佳へ、綾佳から純へのすれ違いまくりの恋愛模様も切ないです。 特に十文字の思いと、それに応えられなかった綾佳の思いが。 7月に続編が出るらしいけれど、とても楽しみです。
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物足りなさが残る
淡々とした描写での雰囲気を主にしているのかもしれませんが、 私には物足りなく感じました。 人ではなくなるということへの葛藤や、家族やそれまでの友達など、 変化するまでに培ったものに対しての執着などが薄く、あっさり しすぎているように思いました。 もっと色々悩んで、モノに対しても掘り下げて欲しかった。 融合したモノの正体は、次の巻を想定して伏せてあるのかもしれま せんが、そのあたりからして物足りない。だからといって次巻を購入 してまで知りたい謎でもない。 七倉自身の背景も薄く、本家の重厚さも私には感じられませんでした。 主人公にも惹かれるものがなく、ほか三人も厭世的で淡々としていて 熱さがない。感情的になることが少なく、対応が大人すぎる。 私には合わなかったのだといえばそれまでですが、読み終えたあとに 物語を反芻する感慨が沸かなかったので、点は辛くしています。
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前半が出色……徐々に引っかかる点が
導入部から、前半の部分では、描写も的確で、ぐいぐいと読者を引き込ませるものがあると思います。 ですが、なぜか私は読んでいるうちに後半あたりから何か物足りなさを感じ始め、終盤ではそれが確固たる物になりました。 いくつか原因は考えられます: 一つに、<モノ>という者の描写があいまいな部分があります。初めはさほど気にならなかったのですが、後半になり<モノ>が多く出てくるに及んで、「あまりにも抽象的」な感じを受けました。加えて、描写が短い。短くても、具体性があって的を得てればまだいいですが、もともと存在しないものを表現する部分。そう簡潔に描写できるものではありません。客観的に説得力のある表現にするには、全然その描写に割く部分が足りない。言い過ぎかもしれないですが、正直、あまりにも足りないと感じます。読むものに対して世界観を植えつけるために、非常に重要だった部分ですので。 この辺、残念に思います。 二点目は、主人公の影が薄いということ。主役級の四人、それぞれを、均等に目立たせるように人生の背景を描写などするのは、とても労力の要ることだと思います。そこは大変とは思うのですが、それによって、逆に、主人公が目立たなくなってしまっています。 後半では主人公よりむしろ、他の三人の準主役のほうが登場が多いし活躍している気がします。よく考えると、これはすごくアンバランスです。 読む方としては、別に主役級は一人でいいので、もっと大きな柱が一本通ったお話を読む方が、しっくりくるし、安心して楽しめます。 あと一つは、 登場人物の背景及び、終盤の展開が、あまりに類型的すぎて見えることです。読者というものはまったく勝手なもので、私も小説では未だ大賞等取ったこともないのにこんなことを言うのはおこがましいと思われるかもしれないですが、どこかで見たような、聞いたことがあるような、ほとんど全てがそういう感じがしました。 筆者としてはオリジナルとして想起されたものであるとすれば、もちろんこれは大変な作業だし、賞賛したいのですが、それでもしかし、一つくらいは「おっ」というような、何か『異常』な、または『どこでも聞いたことがないような』エピソードや展開を、見せていただきたかったです。 つまり、何がいいたいかというと、 オリジナリティの面で、ちょっと欠けるものを感じるのです。 かなり厳しめの評価をしてしまいました。申し訳ございません。 ★3つですが、間違いなくその部類の中では上位に入ります。 私はまだライトノベルの読書数が少なめなために、慣れていないせいでこのような物足りなさを感じてしまったのかもしれません。 (ここのところ、「火目の巫女」、「先輩とぼく」と来て、「哀しみキメラ」を読みました) 他の方々の評価ももっとお聞きしてみたいところです。 分析的に掘り下げて評せるという時点でこの作品は大物なのかもしれません。
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体は変わっても
たまたまエレベーターに乗り合わせた高校生四人が異形のモノに襲われ、次第に人間でない体になってしまう。 出だしはホラー調ですが、中心に描かれているのは若い四人のそれぞれの思いです。 状況はかなり厳しいものがありますが、それぞれが自分の心に従って行動して、嘆くよりは進もうとします。 女性作家だそうで、情景描写も心理描写も丁寧。 一番反発し合っていた矢代純と十文字誠の最後の会話は泣けます。 読み応えのある物語でした。
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これが、家族なんだろうな。
昨今の勢いだけで乱立するようなライトノベルなどとは比べられないほど、全体的なバランスが非常に高い。 多くの作品は冒頭がつまらなかったり、無難な出来だったりするのに対し、今作の冒頭の萩原朔太郎『遺伝』を見たときにドキッとした。 冒頭が読者の興味を惹きつけると共に、読後に冒頭の意味を考えさせられる。 作品の内容をして、ライトノベルと呼ぶのがはばかられる作品。純文学に片足を突っ込んでいる。 登場人物の心理描写や個性がしっかりしており、行動と心理に矛盾がない。 特に水藤の暴走の辺りは、自分が同じ立場でも同じことをするだろうとなんだか納得してしまった。 矢代と早瀬のスタンスもはっきりしており、特に十文字の行動理念は優柔不断の欠片もなく、自らの守るべきものをしっかり見据えている。 自信を持って薦められる作品、というかぜひ読んで欲しい作品。 ただこの作品にギャグ、ラブコメ、ハーレム、サービスシーンなどを期待している方は購入を避けたほうがいいでしょう。 そんなものは微塵もありませんし、まして必要だと感じるような内容でもありません。 あるのただ、人間ではなくなった<モノ>たちの物語。
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面白い。
「大賞」という帯がついていたので、なんとなく買ってみました。 めちゃめちゃ良いです!最高。 悲しいけど、決して暗い気分で読んでいく話じゃありません。 どこか勇気付けられ、あぁ、こんな話もアリなんだな〜と思いました。 絵も凄く素敵。とても良い印象を受けました。
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