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階層化日本と教育危機: 不平等再生産から意欲格差社会へ

大佛次郎論壇賞

階層化日本と教育危機: 不平等再生産から意欲格差社会へ

苅谷剛彦

『階層化日本と教育危機』は、苅谷 剛彦による教育社会学。学力と意欲の格差を社会階層の再生産として捉え、日本の教育が抱える危機を論じる。

社会分析制度現代日本

作品情報

階層化日本と教育危機は、題名が呼び込む世界を手がかりに、人や時代の輪郭を静かに浮かび上がらせる。

『階層化日本と教育危機』は、苅谷 剛彦による教育社会学。学力と意欲の格差を社会階層の再生産として捉え、日本の教育が抱える危機を論じる。 受賞作としての読みどころは、題材の珍しさだけでなく、人物や出来事を通じて時代の空気を伝える点にある。読者は、物語や論述の進行に沿って、背景にある社会や価値観の変化までたどることができる。

書籍情報

出版社
有信堂高文社
発売日
2001-07-17
ページ数
245ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784842085258
ISBN-10
4842085258
価格
3243 JPY
カテゴリ
本/人文・思想/教育学/一般

だれの学ぶ力・意欲が落ちたのか!? 実態を把握しようともせず,これまでの通念で今を認識し,社会との接点ぬきで教育を語る――この「常識」をただす! 精緻な分析,明快な論旨,平易な語り口で実証研究の成果をもって世に警鐘を鳴らしつづける著者,渾身の作! 2002年,第1回大佛次郎論壇賞奨励賞受賞!!

1955年東京生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了、ノースウェスタン大学大学院博士課程修了、Ph.D.(社会学)を取得。ノースウェスタン大学研究助手、同客員講師、放送教育開発センター助教授、東京大学教育学部助教授、東京大学大学院教育学研究科教授等を経て、現在、オックスフォード大学社会学科および現代日本研究所教授。 専攻、教育社会学、比較社会学、現代日本社会学

レビュー

  • 良好な状態です。

    良好な状態です。学術研究に使用しています。

  • さすが大御所です

    2001年に出版されて以来、いろいろな教育問題を扱った書に引用されてきた本だけあって、戦後日本の教育にまつわるいろいろな概念(学歴主義、自己責任、自信、努力など)についての議論が詳しく展開されています。資料としての価値が他より群を抜いていますので、図書館で借りて読む、ぐらいでは活用しきれない本です。まずは一読、そしてゆっくり所有しての利用をおすすめいたします。

  • 階層の再生産を生むものへの抵抗

    多くの人が直感的に生まれた家庭環境による違いがその後の成長の違いに影響を及ぼすと思いながらも、低学歴の両親と高学歴の両親によって子供の成績や進学意欲に与える影響が異なっていることを語りたがりません。差別や区別に関する感情を遺棄するよう"訓練"される現代の私たちの社会では、多くの教育に関する政策なども遺棄の結果見えなくなっている環境の違いを埋めることを意識しません。その為に、近年行われるゆとり教育の結果、教育に関して強い個人たり得る(高学歴の両親を持つ)上位層の子供とそうではない子供との間に、厳然たる格差を拡大させているわけです。本書は、社会が子供に勉強する意欲を弱めるバイアスをかけるほど、上位層の子供に対して下位層の子供が学習意欲を弱めている実態を様々な統計から明らかにしていきます(個人的には、重回帰分析の結果の読み解き方に賛意を持てない箇所もありましたが)。限りある人的資材を社会が有効に活用するという意味でも、個人がその能力を遺憾なく発揮できるという意味でも、なるべく生まれた環境(階層)差を埋める努力は為されるべきでしょう。その為にはわたくし達が厳然と存在する格差に目を向けどのような社会を構築していくべきなのか、本書はそれを考えるよいきっかけになるのではないかと思います。

  • 階層への一貫したこだわり

    サントリー学芸賞と大佛次郎論壇賞を同時受賞した著作。全体としては論文集であり、あちこちで行った調査データに基づく分析が基調をなすが、本書を特徴づけるのは一貫した階層へのこだわりである。同和地区の生徒の学力不振にしても、「部落差別」と「階層」を分析的に区別し、階層問題の大きさ指摘したり、70年代と90年代の時系列的比較により階層格差が広がっていることを指摘した点など、著者の面目躍如と言った感がある。データ解釈で強引な部分もあるが、それはご愛敬か。

  • バカはどこまでいってもバカ

    本書は94年から01年までに発表された既出論文の単行本化だが,このような編集には珍しく,事項索引と引用・参考文献のリストがある。単行本化に際して再考が徹底された結果と考えられ,好ましい。本文にはもちろんその形跡が窺える。 趣旨は,「ゆとり教育」は失策であり(「ゆるみ」),学力上位層に比較して,下層家庭の学力下位層の学力が低迷(下落)していることが統計的に裏付けられますよ,というもの。ブルデュー再生産論の教育版。本書題名の「階層化」とは,競争社会化(業績主義化)している日本で「負け組」である下層家庭の子女が,学校的業績主義(成績序列化)から落ちこぼれているだけでなく,勉強を放棄することで競争裡から自ら降りている(「意欲格差」が拡大している)というわけ。近年の若年層に特徴づけられた「根拠なき自信」が統計的に拾えるというもの。酷い言い方をすると,バカはどこまでいってもバカということなのかな(誤解回避のために言っとくと,ここで言う「バカ」とは,プライドの矛先をまったく見当違いの方向に向けている層という意味。私もバカの一種ですから・・・)。 私は「ゆとり教育」という珍策を政府が発表したとき,“とうとう日本政府は階級社会を輸入し始めたか?!”と観想した。この意味では,私の山勘を実証してくれているのが本書だとも言える。「カイ二乗」とか「重回帰分析」とか統計用語なんてむわったく分からない僕でも,著者の主張を理解するうえでは大きな障害にはなりませんでした。ただ,「マニュアル層」「職業アスピレーション」なんて用語は,せっかく索引まで作ってるんだから,どこかで解説しておいてください。「アスピレーション」はYahoo!とgooの国語辞典では検索できなかった。むやみに「カタカナ」を日本語として強制流通させようとしないで欲しかったな・・・。(1309字)

  • 不平等を再生産する学校

    社会における学歴・学校の働きについて階層を切り口に分析されていました。 教育について会社・学校・家庭を含む幅広い社会関係の中で分析しながらも、散文的なコラムに陥らず緊張感を保ちながら体系的に話が進むので理解しやすかったです。 特に『頑張れば誰でも100点取れる』という「頑張り」により教育がもつ社会階層・不平等の再生産機能が隠蔽されていたという指摘は、努力・忍耐・根性などがかろうじて権威を保っていた世代の人間としては大変興味深かったです。

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