作品情報
ヒロシマから、世界を見つめ直す詩が始まる。
鈴木ユリイカの『サイードから風が吹いてくると』は、ヒロシマを起点に、戦争と平和の記憶を静かな強度でたどる詩集。書肆侃侃房の「Suzuki Yuriika Selection」第1冊として刊行された。
書籍情報
- 出版社
- 書肆侃侃房
- 発売日
- 2020-08-09
- ページ数
- 136ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- ISBN-13
- 9784863854116
- ISBN-10
- 4863854110
- 価格
- 2200 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/詩歌/詩集/現代詩
1984年に現代詩ラ・メール新人賞で鮮烈デビューした鈴木ユリイカ。『MOBILE・愛』(第36回H氏賞)、『海のヴァイオリンがきこえる』(第3回詩歌文学館賞)、『ビルディングを運ぶ女たち』という3冊の詩集を上梓したあと、長く詩集の出版が待たれましたが、今回実に29年ぶりの新詩集が発刊されます。 長年にわたって戦争や平和、家族、社会、芸術についてなど、壮大なテーマに真摯に向き合ってきた鈴木ユリイカのその後をたどる3冊を、「Suzuki Yuriika Selection」として1か月に1冊刊行いたします。1冊目『サイードから風が吹いてくると』では、ヒロシマから物語を始めます。 HIROSHIMA MON AMOUR 見えない時間(とき)が泉のように湧き そして 世界の人びとにあの日のことを知ってもらいたいと思っている これほど語らない これほど静かな これほど美しい 都市(まち)をわたしは見たことがなかった わたしはこの世で生まれて見たものを書かなければならない。たとえ映像の中だけのものでも、たとえ触ることができなくても、このふたつの目が見たものは忘れることができない。数千回の春を迎えた都市よ。祈りの都市よ。わたしは虚無の下の虚無の下の虚無の下にわたしのマントから爆風に吹き飛ばされる種子を蒔く。またもや砕け散った巨大な穴に消えていった人々のまえで、熱風のなかで種子を蒔く。何かを信じるということがもはやできるだろうか? 「春」より
鈴木ユリイカ(すずき・ゆりいか) 1941年岐阜県生まれ、東京在住。3歳から6歳までを台湾で、その後18歳までを青森県で暮らす。明治大学仏文科卒。1983年に創刊された「現代詩ラ・メール」に投稿、翌年第1回ラ・メール新人賞受賞。詩集に『MOBILE・愛』(1986年・第36回H氏賞)、『海のヴァイオリンがきこえる』(1988年・第3回詩歌文学館賞)、『ビルディングを運ぶ女たち』(1991年)、『現代詩文庫 鈴木ユリイカ詩集』(2015年)がある(いずれも思潮社刊)。絵本に『おしょうがつさん』(世界文化社)、『たんぽぽのたねとんだ』(福音館書店)など。 責任編集を務める詩誌「something」(2005年創刊・年2回 書肆侃侃房刊)は2020年7月で31号となった。
関連する文学賞
- 現代詩人賞 第39回(2021年) ・受賞