日本の文学賞

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河原者ノススメ: 死穢と修羅の記憶

泉鏡花文学賞

河原者ノススメ: 死穢と修羅の記憶

篠田正浩

『河原者ノススメ』は、篠田正浩による作品。歴史と社会の出来事を掘り下げ、制度や文化の奥にある力の動きを描くノンフィクション。

記憶時間人間関係表現の力

作品情報

『河原者ノススメ』は、言葉の密度と題材の力で読者を作品世界へ導く。

『河原者ノススメ』は、篠田正浩の関心が凝縮された作品として読める。歴史と社会の出来事を掘り下げ、制度や文化の奥にある力の動きを描くノンフィクション。

レビュー要約

  • 題材への向き合い方と文章の手触りを評価する声があり、作品の余韻や構成に注目されている。

書籍情報

出版社
幻戯書房
発売日
2009-11-01
ページ数
385ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784901998505
ISBN-10
4901998501
価格
3960 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

第38回(2010年) 泉鏡花文学賞受賞

レビュー

  • 読み応えあり

    本作は「スパイゾルゲ」で映画監督を引退した篠田正浩監督のライフワーク的な書籍である。日本の芸能の発祥と被差別民の誕生の関連を時代を追って示し、日本の芸能史を再構築した労作だ。日本の歴史(記紀から奈良・平安・鎌倉・南北朝・室町・戦国・江戸・明治)までの教科書に書かれている出来事と芸能(能、歌舞伎など)が、どのような人たちによって伝えられ発表されていったか、その関連性が多方面から考察されている。表面上の歴史の出来事だけをなぞっているとわからない、庶民の感情を上手にすくい上げる芸能者の役割と身分と苦悩に迫り、「成る程」とうならされる箇所も多く、非常に勉強になった書籍だ。読み応えが非常にあり、他の切り口での著者の新作も期待したいと思わせる作品だ。

  • 日本の姿が、今のわが身に迫って見えてくる名著

    古来からの芸能を考えると、この日本国の姿が見えてくる。現在の私たちの感情はいかに多くを中世人と共にしているのか、実感する1冊。いかにも泉鏡花賞を受賞するにふさわしい。 芸能史における網野善彦ともいうべき名著である。ある意味、「日本残酷物語」とも通底する哀切極まりない物語が続く。それが今の私たちの足元にまで、ひたひたと波が押し寄せる如く、筆者の筆は時代を越えて動く。 何度も、涙する場面がある。 さんせう太夫の人さらいと北朝鮮による拉致。梁塵秘抄と、闇夜を背景に歌う3人3世代のアルキ巫女、そして風俗に身を落とす娘を持つ親の哀しみ。琵琶法師やゴゼという盲目の芸人と座頭市。小津安二郎の自嘲。秋葉原事件の無差別殺人と四谷怪談の民谷伊右衛門。 人が、なんとしても生きなければならないというどん詰まりに追いやられた時、目的なく自己破壊的に暴発するのは暴力のための暴力である。そして暴発しそうな凶暴な思いを、人々になんとかして伝えようとする文脈にかろうじて乗せることを、芸能というのだろうか。 それゆえ芸能は、権力者たちにとってある種の忌むべきものであり、また脅威にもなりうるのだ。

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