作品情報
迪子とその夫 を手がかりに、作品の来歴をたどる。
Amazon JP, NDL OPAC, 出版社・流通ページを照合し、草場書房刊の紙書籍として確認した。
書籍情報
- 出版社
- 草場書房
- 発売日
- 2006-05-01
- ページ数
- 265ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784902616057
- ISBN-10
- 490261605X
- 価格
- 800 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
第17回(1974年) 群像新人文学賞受賞
レビュー
-
この家庭は出口のないビニールハウスのよう。
地味で淡々としていて、それでいて一行たりとも読み飛ばせない緊張した日常が続く…。収録された四編の世界を言い表すとこんな感じでしょうか。 向上心にあふれた看護婦の妻と失業中のさえない夫。お互いがお互いに少しずつ不満を持ち、それが次第に高じてはいくが、大きな破局には至らず日々の暮らしを送っていく。そんな夫婦が一つ屋根の下で、衝突を避けつつもきしみをあげて暮らす様子が静かに描かれています。 「この家には家庭というものがない。いや、家庭が崩壊している。まるで自分たちは、密林の一隅に、温もることのない肌を寄せ合って棲息している野獣のようだな、と思わぬわけにはいかない。」(「轍」) 破局も終焉も復縁もない作品世界は好みの分かれるところでしょう。 2006年に刊行されましたが、実際に書かれたのは40年前。著者初めての単行本とのこと。明るく空虚な家庭という、現代に通用するテーマを見いだし単行本化した編集者の見識にも脱帽です。
関連する文学賞
- 群像新人文学賞 第17回(1974年) ・受賞