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ゲンロン0 観光客の哲学

毎日出版文化賞

ゲンロン0 観光客の哲学

東浩紀

『ゲンロン0 観光客の哲学』は、グローバル化とネットワーク化の時代に、観光客という偶然性を帯びた存在から新しい公共性を考える哲学書です。郵便的マルチチュード、家族、誤配といった東浩紀の思考を結び直し、政治と消費、国家と個人のあいだに開かれる可能性を論じます。

観光客公共性グローバル化誤配現代思想

作品情報

観光客という軽やかな存在から、現代社会の連帯と公共性を問い直す一冊です。

ゲンロンの創刊号として刊行された本書は、東浩紀の哲学的議論を集成しつつ、現代の民主主義やナショナリズム、家族、消費社会を横断して考える大部の評論です。観光客は単なる旅行者ではなく、政治的主体でも消費者でも割り切れない存在として描かれ、その曖昧さから新しい連帯の条件が探られます。

レビュー要約

  • 現代思想を社会の具体的な状況へ接続する構成が評価されている。抽象的な議論を扱いながら、観光や移動という身近な経験から読者を引き込む点に強みがある。

書籍情報

出版社
株式会社ゲンロン
発売日
2017-04-08
ページ数
326ページ
言語
日本語
サイズ
15 x 2 x 21 cm
ISBN-13
9784907188207
ISBN-10
490718820X
価格
2530 JPY
カテゴリ
本/人文・思想/哲学・思想/現代思想

第71回毎日出版文化賞(人文・社会部門)受賞! 否定神学的マルチチュードから郵便的マルチチュードへ――。 ナショナリズムが猛威を振るい、グローバリズムが世界を覆う時代、新しい政治思想の足がかりはどこにあるのか。 ルソー、ローティ、ネグリ、ドストエフスキー、ネットワーク理論を自在に横断し、ヘーゲルのパラダイムを乗り越える。 著者20年の集大成、東思想の新展開を告げる渾身の書き下ろし新著。 【目次】 第1部 観光客の哲学 第1章 観光 付論 二次創作 第2章 政治とその外部 第3章 二層構造 第4章 郵便的マルチチュードへ 第2部 家族の哲学(序論) 第5章 家族 第6章 不気味なもの 第7章 ドストエフスキーの最後の主体

東浩紀(あずま・ひろき) 1971年東京生まれ。批評家・作家。ゲンロン代表。 東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。 専門は哲学、表象文化論、情報社会論。 著書に、『存在論的、郵便的』(1998年、サントリー学芸賞 思想・歴史部門)、 『動物化するポストモダン』(2001年)、 『クォンタム・ファミリーズ』(2009年、第23回三島由紀夫賞) 『一般意志2.0』(2011年) 『弱いつながり』(2014年、紀伊國屋じんぶん大賞2015)ほか多数。

レビュー

  • 哲学入門として優秀

    わかりやすい文書のお陰で哲学初心者でも楽しく読ませて頂けました。 何回も読みます

  • いろいろ考えさせられる良書

    大変面白かった。 家族を連帯の中心にというところで、下記のことを思い出した。 中央政府がないソマリアで、見知らね同士があった場合、長い部族名を名乗り合う。部族名には、それらの家 族の関係性が分かるようになっていて、名乗り合う事で、お互いの背景が分かる。このブロックチェーンのタ グのごとき家族名を名乗る事で、見ず知らず同士でも商取引が出来る。家族を基盤としたマルチチュードって のは、この中央政府を持たない部族社会のやり方を近代社会に持ち込もうって感じなのだろうか? 引っかかったのは、ネットワーク理論を指数的なものと、比例的なものの説明に持ってきたところ、 相関が 見られる≠相関があるなので、少々強引なのかとも思った。最後は家族に繋げたけど、前にも書いたが、これ って新たに宗教や神話をってことになりそう。まあ、哲学と宗教は守備範囲被ってるけどね。 宗教で考えると、仏教とか「会うものすべてが仏だ」みたいに言うし、これもある意味誤配の薦めかな?こ れから宗教の時代再びって感じになるのかね。そのたとえで言えば、観光客を仏に読み替えても、微妙に文章 の意味が通じてしまいそうな。収斂進化か。否定神学のマルチチュードが小乗仏教で、郵便的マルチチュード が大乗仏教って感じだろうか。ついでに宗教のモチーフにたとえれば、ネグリのマルチチュードってのは、宗 教改革の共産主義版か。”法王も教会もいらない”が、”指導者も党組織もいらない”ってことなのだろうか 。しかし、左翼自体劣勢になってたので”宗教改革”でもいまいち挽回せず、んで小乗仏教から大乗仏教、と いう流れなのか?

  • ソクラテスの再来だ!!

    実に素晴らしい著作だった!! そもそも我々自身が【人生における観光客】なのであり(観光とはあくまでメタファーである)、そうした主体としてどう生きていくべきか?を深く考えさせられた。 はたして観光客としてどう生きるべきか?それは親として生きることである。というのが本書の帰結である。観光地への配慮がまるで手品のようであり、真に驚くべき議論展開である。 グローバル化が進みそしてAIが生活に関わる時代、人間とは?世界とは?そして家族的連帯とは? まさに今の時代における必読書である。 『ゲンロン0』が指摘した点を外して、今後、社会や人生について語ることは到底できないであろう。 また、極めて重い問題を哲学的に捉えかつ平易に分かりやすく説明してるとこは、まさに特筆すべき点でもある。やたら哲学用語をこねくり回したり、小手先感の強い昨今の人文書の中では「王道中の王道」の書物である。 これはソクラテスの再来だ! 現代の必読書であり、かつ期待された著作がついに登場したのである!

  • 非常に政治的

    観光客の哲学とあるので実学的な観光学の理論づけかと思って読み始めましたが(民俗学と観光学の関係に興味があった)、次第に政治色を帯びていきました。 現代の我々はグローバリズムとナショナリズムの狭間で人間性を失っている(動物化)とします。観光客とは郵便化されたマルチチュード(民衆、衆愚)であるとします。郵便的とは誤配にもとづく意図しないコミュニケーションです。 サイバーパンクの段に来ると饒舌になるので、根はやはりオタクなのかなと思います。 ルソー、カント、ヘーゲルにまで遡って人間のあり方を再考する壮大な試みです。「動物化するポストモダン」に比べると格段の進化です。

  • 哲学デビュー

    ニコ生で東さんを見て興味を持った。 しかしながら、む、難しい......。

  • 観光自体をあらためて考えてみたい誰かへ

    "観光客が観光対象について正しく理解するなど、まず期待できない。しかしそれでも、その『誤配』こそがまた新たな理解やコミュニケーションにつながったりする。"ゲンロンの代表として支持を受ける批評家である著者が2017年に発刊した本書はインバウンドに沸く今だからこそ示唆に富む。‬  個人的には、哲学については軽くかじっただけなのですが。それでも著者ができる限り平易に哲学を紹介してくれている配慮が(だからこそ)文面から透けて見えて好印象かつ有り難かった(笑)  またその上で語られる"錯覚の集積がつくる連帯を考えたいと思う。"と観光客という概念のもとでの【郵便化】の紹介は、なるほどと、こちらも知的好奇心が刺激される感覚でした。  ダークツーリズムやオーバーツーリズムなど、表面的な数字だけで一喜一憂するだけではなく観光自体をあらためて考えてみたい誰かに、そしてドストエフスキー好きな誰かにもオススメ。

  • 日々の思想

    この本には、現代に通ずる哲学者の思想、それに対する筆者の考えなどが記されています。人間はなんのために生まれて何のために生きているのか、どうすれば本当の「国民」になることが出来るのか、観光客と敵の共通点とは一体何なのか、より考えさせられる一冊です。ただ、内容は難しのですが、かなり読みやすいです。

  • 子として死ぬだけでなく、親としても生きろ

    観光客から始まる新しい(他者の)哲学を構想する試み。ヘーゲル的弁証法とは別の経路で世界市民への道を模索する。 このような筆者の試みが成功しているかどうかは、個人的には掴みづらい。ただし、国家を前提とした成熟を考える近代哲学を乗り越えるために、国家への接続抜きに成熟が可能かという著者の問題設定は、現代において極めて重要な問いであると感じたし、我々一人一人が何らかの方向性を探していく必要があると思った。

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