文學界新人賞 ぶんがくかいしんじんしょう
第130回(2025年)
文芸新人賞
受賞者
2名
親切な殺人
プロ総合格闘技の前座選手・水島龍介は、試合出場と並行して山間の精神障害者施設で生活支援員のアルバイトをする二重生活を送っている。リングの上での格闘と施設での身体拘束という二つの「暴力」を通じて、強者と弱者、暴力と親切の境界線を問う作品。
スポットライトが視界を真っ白に塗り潰す。マウントポジションで押さえ込まれた状態から逃れる手段は一つしかない——冒頭の試合シーンから、肉体的・精神的な圧迫感が詳細に描かれる。
48ページ
暴力と親切の逆説格闘技と介護の二重世界身体性と権力関係強者と弱者の境界主体性の剥奪
さそり座の火星
商業高校で実習助手として働くマコトと、そこに通う2年生のルルナを中心とした物語。「女性らしさ・男性らしさ」の枠組みに悩む二人が、学校という場でそれぞれの生きづらさを抱えながら交わる。学校と生徒のあいだに立つ実習助手という立場から、理解と不理解の二項対立では示せない「正解のなさ」に切り込む。
「結局さ、LGBTのうちのどれ?」マコトが働く学校現場は、抗いがたい理不尽に満ちていた。
性的マイノリティへの不理解学校・社会の理不尽アイデンティティと自己定義親の権威と子の自由大人と若者の信頼関係