日本芸術院賞 にほん げいじゅついん しょう
第57回(2001年)
受賞者
10名津金孝邦による書作品。森鷗外の詩を題材に、文学の言葉を端正な線と余白で受け止め、書としての気品と詩情を結び合わせた。
森鷗外の詩を、書の線と余白で静かに響かせる。
福王寺一彦の日本画。夜の月光を鉱物的な輝きと深い色調で表し、静謐な画面の中に自然への畏敬と幻想性を宿している。
月光の静けさが、深い色と輝きの中に満ちている。
絹谷幸二の洋画。鮮烈な色彩と躍動する形態で、天空と夢想が交錯する場面をつくり、具象と幻想のあいだを力強く行き来する。
鮮やかな色彩が、空と夢の物語を画面いっぱいに走らせる。
川尻一寛の工芸作品。題名が示す実りの感覚を、素材の扱いと造形の密度によって表し、伝統技法の中に豊かな生命感を込めている。
実りの気配が、素材と形の充実として立ち上がる。
山本理顕による大学キャンパスの建築設計。複数の学科や人の動きを開かれた構成で結び、教育施設を地域に開く建築としてまとめている。
大学を閉じた施設ではなく、人と地域が交差する場として設計する。
伊藤桂一の小説と詩にわたる長年の文学的業績。戦争体験や市井の生活を見つめる視線を保ち、物語と詩の双方で人間の哀歓を描き続けた。
小説と詩の両方で、人間の記憶と哀歓を書き続けた歩み。
菅野昭正の文芸評論とフランス文学研究における業績。精密な読解と広い比較文学的視野によって、現代文学を考えるための言葉を築いた。
精密な読解が、文学を考えるための確かな視野を開いた。
近藤健之介の声楽家としての国際的活動。オペラや歌曲の舞台で培った表現により、日本の声楽表現を国際的な場へ広げた業績である。
声の表現を通じて、日本の声楽を国際的な舞台へ広げた。
澤村田之助の歌舞伎俳優としての業績。女方を中心とする舞台表現で、型の継承と人物の情感を結び、古典歌舞伎の厚みを支えた。
受け継がれた型の中に、人物の情感を細やかに宿した。
花柳壽次郎の日本舞踊における伝承と発展の業績。古典の型を守りながら舞踊表現を磨き、次世代へ芸を伝える基盤を築いた。
古典の型を守り、舞の表現を次の世代へつないだ。