角川短歌賞 かどかわたんかしょう
戦後の記憶と青年期の痛みを背景に、生活の細部と時代への違和感を詠む歌集。題名の麦のイメージは、困難の中でなお伸びる生命感を帯びている。
麦が伸びるように、痛みを抱えた時間も言葉へ向かう。
稲葉京子の初期短歌を代表する連作。家庭、出産、病、少女的な幻想が重なり、やわらかな抒情の中に暗い切実さを潜ませる。
小さな宴の明るさの陰で、生活の痛みが鮮やかにきらめく。