直木三十五賞 なおきさんじゅうごしょう
『深重の海』は、津本陽が熊野灘の古式捕鯨とその衰退を描いた長編小説である。明治期の大遭難を背景に、海に生きる人びとの誇り、愛、時代に取り残される痛みを力強く描く。
滅びゆく古式捕鯨の海に、人びとの叫びと愛が沈んでいく。
『離婚』は、色川武大が男女の別れと奇妙な同居感覚を描く小説である。深刻さをかわすような軽みの中に、関係が終わった後も残る情やずれを浮かび上がらせる。
別れたはずの男と女の間に、可笑しさと寂しさが居残る。