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秘境ブータン (岩波現代文庫)

日本エッセイスト・クラブ賞

秘境ブータン (岩波現代文庫)

中尾佐助

中尾佐助がブータン調査の経験をもとに、自然、農耕、生活文化、人びとの暮らしを描いた紀行・民族植物学的著作。未知の土地への探検記であると同時に、文化と植物の関係を考える本でもある。

ブータン紀行民族植物学探検生活文化

作品情報

ヒマラヤの王国を歩き、植物と生活文化の結びつきを見つめる。

栽培植物学者・中尾佐助によるブータン紀行。岩波現代文庫版では著者の探検調査と植物文化への関心が紹介され、ISBN 9784006032296、ページ数352ページを確認できる。

レビュー要約

  • 学術調査の知見を、紀行として読める文章に落とし込んでいる点が評価される。植物や農耕への関心が、土地の暮らしを理解する手がかりになっている。

書籍情報

出版社
岩波書店
発売日
2011-09-17
ページ数
352ページ
言語
日本語
サイズ
11 x 1.6 x 15 cm
ISBN-13
9784006032296
ISBN-10
4006032293
価格
1192 JPY
カテゴリ
本/ノンフィクション/歴史・地理・旅行記/紀行文・旅行記

1958年に単身ブータン入りした探検家が、ヒマラヤにひっそり佇む古代的な小王国の自然と社会と文化を日本にはじめて紹介した。山ヒルの襲いかかる密林の道、ブータン・ヒマラヤの氷蝕地形、高山に咲く青いケシの花、チベット遊牧民の名残の風俗。百数十点の貴重な写真とともに臨場感あふれる筆致で描く。(解説=山口裕文)

中尾佐助(なかお さすけ) 1916-93年.愛知県生まれ.京都帝国大学農学部卒業.専門は栽培植物学・遺伝育種学.大阪府立大学教授,鹿児島大学教授を歴任.アジア・アフリカを広く学術探検調査し,栽培植物の起源とその伝播に関連する生活文化を総合的に研究した.著書に『ヒマラヤの花』『栽培植物と農耕の起源』『料理の起源』『花と木の文化史』などがある.

レビュー

  • 本を一度も下に置きませんでした

    今日は体調が悪かったので寝て暮らすことにしました。それで、お供はこの本でしたが、本を一度も下に置きませんでした。朝から晩まで何もしないでこればかり読んでいました。 直接的には高野さんの『未来国家ブータン』で、彼が探検前に資料として読んだ本として紹介されていました。でも、高野さんのアフリカソマリランドの本からずーっと、自分が一度も行ったことがない国について読みたくて、また中尾さんの『花と木の文化史』も読んで、その端正さに感動したので『秘境ブータン』は避けては通れませんでした。 高野さんがブータンへ行ったのは割と最近ですが、もう亡くなられた植物学者の中尾さんがブータンへ行ったのは昭和三十年代なので、近代化されたブータンとはまったく様子が違ったと思います。つい10年前には戦争でインドから連れてきた奴隷がいた(中尾さんの本の時点で解放されていた)とか、これは同じかもしれませんが雨期の山道で山ヒルに襲われたとか(いまでもそういう道はあると思いますが、この本に併載された『二十三年目のブータン』によれば、ブータンには自動車道路ができたそうです)、いろいろ変わっています。王様も五代目で、美しいお妃様と一緒に日本を訪問したとか話題に事欠きません。 そんな変化も感じる本書ですが、本としては高野さんのブータン本より「植物学」「現地調査」的な色合いが強く、間違いだらけの地図を直しながら、ブータンのほとんどの場所を踏破し、そこの植物、人々や自然について教えてくれたこの本はとても貴重です。きっと外国でもブータンの研究をしている人がいると思うので、英語に翻訳して欲しいです。そうすれば、英語を公用語として採用しているブータンの人も読むと思います(ところで中尾さんが日本語で数を数えていたら、おつきの人に「ブータン語を覚えましたね」と言われたくらい日本語と似ていたようです。地理的にも凄く遠くないし、きっと日本語とゾンカ語は遠い親戚なんでしょうネ)。 ほかの人も書いておられるように、写真は結構多いのですがモノクロで、色があったらもっと現地を感じられるのにという点は残念です。この文庫は判型も良く、仮名遣いもお読みやすく、もう古典と呼ぶべきこの本を岩波書店は絶版にしないで後の世代に伝えてほしいです。中国のことを「シナ」とか、その他古い言い方もありますが、別にそれらをわざわざ直さなくてもこの本の良さは伝わります。 なんと言っても植物と、そこにある人々の生活に深い関心を抱いて、山ヒルに襲われて血だらけになっても、豪雨に流されそうになっても、「探検」を続けた著者の情熱に感動します。 ところで、いままで関心が西洋一本槍だった私が高野さんの本でアフリカ、ブータン、中尾さんのこの本と導かれて「旅をして」、今度は中国に併合されてしまったチベットについて興味を持ちました。この本によればブータンとチベットは文化的にとても近い関係にあるそうです。ダライ・ラマ(何代目の方か不明ですが)の演説を、ベルリン、ブランデンブルク門前でドイツ語の通訳で聞いたこともあります。特に若い人を中心に広場はぎゅうぎゅう詰めでした! マナスル登山隊でインドを訪れた中尾さんが「次はブータンだ」と言ったように、この本をきっかけに私の頭の中では「次はチベットだ」と思うようになりました。 本を一度も下に置きたくなくなる本は、なかなかありません。大変幸福な一日になりました。これも「幸せの国」ブータンのおかげでしょうか?

  • 綺麗な本です

    今よんでいます。とても面白い内容です。ブータンの王室もまだ4代目で、国も統一を果たしてからまだ時間がそれほど経っていないこと、そしてシッキム王国やチベットのダライ・ラマやらイギリスなどが出てきて興味深く読んでいます。中尾佐助さんは学者なので植物に造詣が深くってこれからが楽しみだと思って読んでいます。いい本は時が経っても面白く読めます。写真もたくさんあります。これがカラーだともっと分かり易くって良かったのにと思います。

  • ついに古典になりました

    初版(1959年)から何度となく読んでいますが、半世紀以上経ち、これだけブータン情報が手に入る時代になっても、いまだに中尾先生の『秘境ブータン』を超える内容のブータン本がないのは何故か、という疑問を持つほどです。 『秘境ブータン』につぐものといえば桑原先生編の『ブータン横断紀行』(1978年)でしょう。 この2冊を読まずしてブータンを語ることはできません。

  • うらやましい

    これはもう、本当に後世に残したい名作だ。 戦後10数年後と言う時代に、21世紀の現代でさえまだ若干神秘性が残っているブータン王国に国王から招待と言う形で単身乗り込んだ中尾氏。 専門の植物に関する記述は当然詳しいが、それ以外の地形や風習などにも造詣が深く、その緻密で且つ客観的な観察眼から来るレポートには、非常に驚かされる。 そして、何よりもその文章力の凄さ。学者で博識だとつい難解な文章や語句を選びがちだが、自分の様に大衆小説を中心に読んでいる者にも理解し易い文章となっている。 それにしても、この様な体験を出来た事が羨ましい。中尾氏の体験はその専門知識を持って(且つ専門への飽くなき探究心をもって)実施され達成されているのだが、もしそれが無くても、中尾氏の豊かな表現力と感性で当時のブータンの報告をされたであろう。 本文222ページに有る、「粉屋の娘さんが王子さまのお妃になる」なんて、お茶目な文章も覗かせる。 ところで、学者の現地調査なのに、どうして背表紙には「単身ブータン入りした探検家」と書いているのだろうか。これは中尾氏に失礼では無いだろうか。

  • 読み継がれるべき良書

    私は1983年 教養文庫から出たのを持ってます。 ブータン国王が来日したので思い出しまた。 30年近くも前に一度読んだだけだけど、懐かしく成ってまたページをめくってみました。 前の方も言ってましたが、いつの間にか読み進めてしまう文章は著者の心の・知の豊かさから来るのかもしれません。 お金や物を求めるのとは違うもう一つの豊かさに読む人は引き込まれます。

  • よくやった!岩波書店

    絶版になって久しい名著、岩波が出してくれるとは!「よくやった岩波書店」と言いたい。 中尾佐助によるブータン探検記。研究者にも関わらず(……といえば失礼だが)著者の文章のうまさは折り紙付き。紀行文としても文句なしに楽しめます。

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