日本の文学賞

← 受賞作品一覧に戻る
憲法9条の思想水脈 (朝日選書823)

司馬遼太郎賞

憲法9条の思想水脈 (朝日選書823)

山室信一

憲法9条を戦後の外から与えられた理念としてではなく、近代日本の非戦論や平和思想の連なりから読み直す評論。第一次大戦後の戦争違法化の潮流と日本の思想史を結び、改憲論議に歴史的な射程を与える。

憲法9条非戦思想近代日本思想史平和主義

作品情報

非戦の思想は、戦後突然現れたのではなく、地下水脈のように近代日本を流れていた。

幕末以降の日本に現れた軍備撤廃論や戦争廃止論をたどり、憲法9条の思想的背景を掘り起こす。政治的な賛否の前に、どのような言葉と経験が平和主義を支えてきたのかを考えさせる一冊。

レビュー要約

  • 歴史研究としての厚みと、現代政治への問題提起を両立させた点が評価されている。論争的な主題を、思想史の流れに沿って読み解く姿勢が読みどころになっている。

書籍情報

出版社
朝日新聞出版
発売日
2007-06-20
ページ数
304ページ
言語
日本語
サイズ
18.8 x 12.5 x 1.5 cm
ISBN-13
9784022599230
ISBN-10
4022599235
価格
1430 JPY
カテゴリ
本/社会・政治/法律/暮らしの法律/法律入門

選書823 憲法9条の思想水脈

レビュー

  • 日本国憲法の源流

    日本国憲法の平和主義の源流を探る。

  • 憲法9条は世界平和をめざすもの

    この国の政治のあまりにお粗末な状況と、それに流されてしまっている自分自身を改めて見直さなければと思い、日常の雑務に追われて読まずにいたこの本を書棚からようやく取り出した。 日本国憲法とくに9条は、アメリカから押し付けられたなどという浅はかな考えから無下にしてよいものではなく、おろかな人間同士の争いによって恐ろしい数の命が奪われてきた人類の歴史から、なんとか平和な世界を実現しようと苦心惨憺してきた世界中の人々の英知の結晶である、と私は理解した。 国家間の武力争いをどうしたらなくせるのか、その問題について歴史を省みながら本気で向き合わなければ、憲法9条の意義を理解することができないだろう。 世界大戦に大敗した軍国主義に染まった戦後日本で、国連およびアメリカからの外力があってこそ成り立ちえたこの日本国憲法であり、そうだからこそ世界の新しい平和の形を主導するものとしてこれを掲げつづけなければならないのだと、つよく思った。

  • この1冊で十分でした

    日本国憲法の内容が必ずしもアメリカの押しつけ憲法ばかりとは言えず、その内実には日本人による思想も含む世界の平和思想が充分に反映していることがよく分かる。

  • 押し付け論では人権の歴史は見えない!

    人権確立には人類の長い歴史があり、」思想があった。 ヨーロッパだけでなく日本の人権思想を知る必要がある。 人類の目指す方向は明らかです。 温故知新です。

  • よい

    教育基本法改正の翌年に出版された本。その内容は未だ色褪せていない。

  • 日本人であることを、ちょっぴり誇りたくなる先人たちの歩み

    憲法第九条というと、直ぐにイデオロギーで敵・味方のように構える人が多く、ちょっと面倒臭くて避けたくなりませんか。何を隠そう、私もそうでした。 しかし、韓国の友人から、韓国でこの本のハングル語版が出て話題になっていると教えられて、講読することにしました。 日本語版は、注などの多いハングル版よりもコンパクトな造りなので、多少びっくりしました。 ハングル語版の方が大版で厚く、韓国の読者に対する著者の呼びかけが新たに付け加えられているようです。 さて、その内容は、憲法九条はアメリカ人から強制されたものという、私がずっと思い込まされてきた常識?なるものを根底から覆すものでした。 日本人が国際情勢を見ながら、幕末以来、いかに世界に平和を築くべき、さまざまな思想を独自に積み重ねてきたかが、法律や歴史には不案内な私には、多少細かすぎるほどに丹念にたどられています。 多すぎて大変でしょうが、できれば多彩な登場人物について、写真だけでなく簡単な紹介なり、プロフィールを付けて貰いたいと思いました。改版の折には、是非実現して欲しいです。 この本を読んでいて、まず感じたことは平和思想に限らず、思想と言うと何でも外国から来たものと思うのは、却って日本人が自らを卑下する行為ではないかということです。 憲法第九条につながる非戦思想は、例えば古来から殺生を戒めてきた日本人が営々と積み重ねてきた生き方や他者とのつきあい方の一つの現れでもあったのではないか、というように思えてきています。 この本を読んで、軍事力=国力だと勘違いして日本を引き回した人たちよりも、表面は軟弱に見えても、激しい弾圧に静かに耐えながら、粛々と思考を研ぎ澄ましてきた先人たちを持った思想的伝統(=思想水脈)こそ日本人として誇りとすべきではないか、という筆者の声が聞こえてくるように私には思えました。 非戦や平和を訴えるのは夢想とあざ笑うことで、自分はあたかも現実主義者であることを誇りたがる人もいますが、E・H・カーが指摘したように、「リアリストに固有の欠陥は、その思考が何も生まないことである」ということこそ真実ではないでしょうか。 人を嘲ることで自らが高みに立ったかのように錯覚することの惨めさに気づかないことほど、滑稽で卑屈で哀しいことはないはずなのです。

  • まず韓国に行き、「戦争放棄」をするよう言ってきなさい

    日本固有の領土である竹島を、無実の日本人漁師44人を虐殺した後、現在に至るまで不法占拠している韓国。 著者には是非韓国に言ってもらい、韓国に「戦争を永久放棄しなさい」と説いてきてもらいたい。 それと、チベットやウイグルで大量虐殺を今でも続けている中国や、北方領土を不法占拠しているロシア、はたまた日本人を大量拉致監禁している北朝鮮。 これらの国々にも行って、憲法9条を押し付けて来てください。 話しを聞くのは、それらができたらです。 極左って反米なのに、そのアメリカが日本に押し付けた憲法9条については、地面に額をこすりつけて有難がるんですね(笑)。

  • 憲法第9条をもつ誇り

    読み終えて、うれしくてたまらない。日本人に生まれてよかった。本当に誇らしい。 今やそれなしで日本人が平和に暮らしている大陸の権益とそれを追求した日本の国体のためにアジア太平洋戦争では、日本人300万人、アジア人2000万人が死んだ。みんな各国の庶民だ。戦争指導者はほとんど生き残った。 戦争は悪だ。つまらない戦争目的のために戦争に駆り出されて殺しあうのは庶民だ。そして、それに巻き込まれて殺されるのもこれもまた庶民だ。戦争とは庶民が兵隊にされて庶民を殺す庶民の殺し合いだ。 この戦争の単純な事実を踏まえて、古くから世界には非戦、反戦思想が起こり、ルソー、カントを始めとする幾多の偉大な思想家の営為があった。それは、日本においても同様だ。戦前の思想統制の下にあっても、多くのそして力強い非戦、反戦の思想とその実践があった。 この本は、それらの内外の非戦、反戦の思想が日本国憲法の前文と第9条に結実していく姿を丹念に追っていく。この本が明らかにするのは、憲法第9条の戦争放棄と戦力の不保持は、そのような歴史の中で蓄えられた平和への人類の叡智であるという事実だ。 その意味で、憲法第9条は尊く、他国民に先駆けてそれをもって世界における平和へのリーダーシップを取るとの日本人の決意は本当に誇らしい。 よい本です。ぜひお読みになって、憲法第9条の平和主義の世界史的意義とそんな憲法を決めた日本人の勇気と精神の気高さをぜひ知ってもらいたいと思います。

関連する文学賞