つちはんみょう
ヒメツチハンミョウの生態を、長い観察と精密な絵で描いた絵本。小さな虫の一生を通じて、自然界の複雑なつながりを見せる。
作品情報
つちはんみょうは、受賞歴にふさわしい密度で人と世界の関係を見つめる。
舘野鴻の『つちはんみょう』は、受賞対象として確認できる作品である。公開書誌や出版社情報で単行本化を確認できる場合は識別子を記録し、単独書籍として確認できない場合は雑誌・掲載媒体の識別子を流用していない。
レビュー要約
-
緻密な絵と観察の蓄積が評価される。虫の生態を美しく、しかも厳密に伝える作品として読まれている。
書籍情報
- 出版社
- 偕成社
- 発売日
- 2016-04-13
- ページ数
- 40ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784034370704
- ISBN-10
- 403437070X
- 価格
- 2200 JPY
- カテゴリ
- 本/科学・テクノロジー/生物・バイオテクノロジー/昆虫学
ツチハンミョウは、「道教え」として知られる美麗な「ハンミョウ」と異なり、地味で目立たない控えめな虫です。その繁殖方法は独特で、4000個の卵から生まれる体長1ミリにも満たない小さな幼虫は、寄生先となるハチの巣にたどりつくため、いろいろな虫にとりついていきます。わずか4日という寿命の中、種の存続のために決死の旅をする幼虫たちの道程を、緻密かつ力強いタッチで描きます。 物語の最後では、ようやくたどり着いた巣の中で対峙する、2匹の幼虫たちが描かれます。そのすがたは、わたしたちにいのちのあり方について考えさせます。 ツチハンミョウについては『ファーブル昆虫記』にも記述がありますが、この本の主人公で日本固有種のヒメツチハンミョウについては、あまり知られていませんでした。著者の舘野さんは、その生態を解明すべく、8年にも及ぶ生態調査を行ない、その一部を明らかにしました。巻末の解説では、その調査のようすや、生態のくわしいようすを、臨場感のある写真を交えながら紹介します。 衝撃のデビュー作『しでむし』や『ぎふちょう』などのうつくしい細密画で知られる、著者渾身の新作絵本。
1968年、神奈川県横浜市に生まれる。札幌学院大学中退。幼少時より熊田千佳慕氏に師事。1986年北海道へ渡り、昆虫を中心に生物の観察を続けるが、大学在学中に演劇、舞踏、音楽と出会い舞台に上がる。その後、舞台美術等の仕事をしながら音楽活動と昆虫採集を続ける。1996年神奈川県秦野に居を移してからは、生物調査の傍ら本格的に生物画の仕事を始め、図鑑や児童書の生物画、解剖図プレートなどを手がける。絵本に『しでむし』『ぎふちょう』、『こまゆばち』(澤口たまみ・文)『なつのはやしのいいにおい』、生物画の仕事に『ニューワイド学研の図鑑生き物のくらし』『ジュニア学研の図鑑魚』、『世界の美しき鳥の羽根鳥たちが成し遂げてきた進化が見える』などがある。
レビュー
-
つちはんみょうの一生
つちはんみょうの生涯がわかりやすく書いてある。最後は泣ける
-
作者はツチハンミョウ本人ではないか
休日には子どもと虫取り、子供が寝た後も一人で虫取りに出掛ける程には虫好きです。 そんな虫屋からみても、いや、だからこそ圧倒された一冊でした。 脇役を含めた全ての虫たちの画に魂が宿っているようで、 まるで自分が虫取りをしている時の、草原に分け入った時のような感覚を覚えます。 昆虫1種にスポットを当てた他作者の絵本は数冊持っていますが、それらとは一線を画す絵本でした。 “作者がこの虫を主人公にして、物語風に生態を描いた絵本です”というよりも、 “一時はツチハンミョウだった事もある作者が、実体験を描いた絵本です”という感じ笑 知識として知った気になっていたツチハンミョウの生態を疑似体験する事で、より一層この虫の事が好きになりました。 子供向け絵本としてだけでは無く、美術書として、哲学のような教養書としても価値のある本だと思いました。圧巻です。
-
素晴らしい
本当の昆虫好きの方にはメジャーな虫なのかもしれませんが、私のようなカブトムシぐらいしか知らない者には、こんな地味な虫にこんなドラマがあるとは、震えました、そしてチョット泣きました。
-
絵本を超えた哲学書みたいな良書。
普段気にも留めない、人気のない小さな虫から、生きることの意味や生き様について、考えさせられました。 小さな命の大切さ、虚しさ、生き残る命の裏に、犠牲となる小さなカズ多くの命など、 私たち自身も同じ世界にいきてるんだと、深く考えさせられました。 作者の方の哲学、世界観、苦しみ、もがき、小さな幸せなど、詩のような文からよく理解できます。答えを求めるのでなく、考え続ける事の大切さをおしえてくれるいい本です。もちろん細密画、絵も素晴らしいです。
-
生き残るのは偶然の結果なのでしょうか
大量の卵を産み、それが孵ると小さな幼虫となってハナバチが飛んでくるのを待ち、うまくハナバチの体にすがり付けたら、ハナバチの巣に連れて行ってもらう。ツチハンミョウの幼虫は、そこでハナバチが自分の幼虫のためにため込んだ餌を横取りし、しかも、同類が複数いると、それを殺して自分一匹だけで餌を独占して成長する。このツチハンミョウの生活史を丹念に追って、絵本に仕上げている。生き残るのは偶然の結果なのでしょうか。よくここまでを調べ上げたと感心した。著者の描いた3冊の絵本は、どれもすごい本です。
-
孫に
孫にプレゼントしました。 アマゾンから送られて来たのを開封し 私が読んでから 孫に、 孫は1年生ですが、楽しんでもらえたと思う。
-
すばらしい描写力
細密描写で描かれた科学的な絵本です。 絵本とは言え、絵のクオリティも内容の充実さも大人でも十分堪能できる一冊になっています。 本書で取り上げられているツチハンミョウは非常にマイナーな昆虫です、 少々昆虫に詳しい方であればカンタリジンという猛毒を含有する昆虫としてご存じかも知れませんが、 その独特な生態に付いてまでは知られていないことが殆どです。 彼らの生き様は遠回りです。 春に卵から孵化した幼虫は一斉に花に上り、そこでハナバチの仲間にとりつき、 ハナバチの巣内で花粉団子やハナバチの幼虫を食べて成長し、 変体し、成虫になり、成虫は春先、小さなくぼみを掘ってそこに産卵し、孵化した幼虫は一斉に… このハナバチが頼りの遠回りの繰り返しです。 そんな不思議で興味深いツチハンミョウとツチハンミョウを取り巻く環境を精密描写で具に描いております。 雨降る森林内では、昆虫視点なので雨粒も可視化されていますが、 その雨粒がいわゆる"雨粒型"ではなく、しっかりと"あんパン型"になっています。 そしてその小さな雨粒一つで小さな昆虫は溺れるなどして死んでしまうのですから自然は何とも過酷です。 登った花の上など外では無関心な幼虫同士が、運ばれた先のハナバチの巣内になると殺し合いを始めるのは合理的です。 外にいる段階では自分の登った花にハナバチが来る可能性は絶対では無く、 ハナバチ以外の昆虫に取り付いてしまうこともあります、そうなっては生存は出来ません。 その段階で仲間を蹴落とすコストと、自分が返り討ちに遭うリスクが無駄です。 成長できる条件が整ったところで、殺し合いに見合う見返りが確定するのです。 彼らがそのコストやリスクについて合理的に考えるに至れたのか非常に不思議です。 ウツギの花に集う昆虫たちの姿には昆虫に深く親しんだ者であれば誰もがわくわくしてしまうことでしょう。 夏にウツギやセリ科の花に集う小さな昆虫たちは見ているだけでも楽しい物ですが、 本書ではその魅力を絵で教えてくれます。 この手合いの本はたいていの場合、絵のスキルがある人が知識のある人からの伝聞によって描かれることが多いのですが、 しかしながら本書は、伝聞による生態を絵本にしたわけではなく、筆者自身の手で飼育や観察、撮影をがっちりと行い、 それを元に描写しているのです。 ですから筆に迷いも妖しさもありません、専門家の目で見た物が専門家の手で描かれていますので嘘がありません。 本書後尾には筆者の手による写真も掲載されています。 ハチにビッシリとしがみつく幼虫は絵本で分かりやすくするための表現だろう…かと思いきや、 写真では同じように幼虫がビッシリしがみついています。 これで飛べるのか?ハチは気にならないのか?と言う思いはさておき。 描写的な表現では無く、あくまで事実を忠実に描写しているだけと言うことを実感させてくれます。 自然観察に対する視点と姿勢、そしてそれにより得た知見を表現して伝えると言うことについて新たに教わりました。 ネイチャリストのみならず、人に物を伝えることを生業にしている人は是非読んでみるべきです。
-
こんな小さな虫の一生が、グッと心に響きます。
他のカスタマーレヴューにも有りますが、 本当に緻密で繊細な描画と色使いに心を 奪われます。 本当に心から虫と自然を愛して無ければ、 ここまでは描けないのではないでしょうか? 「無垢で勇敢で、美しく儚い虫たち」への想いが 詰まった一冊です。 (あとがきの部分を引用させて頂きました) 「感動」だけでは言葉が全く足りません。 作家さんにサインもらいに行きたいなあ。。。