日本の文学賞

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バイロケーション (角川ホラー文庫)

日本ホラー小説大賞

バイロケーション (角川ホラー文庫)

法条遥

『バイロケーション』は、法条遥による作品。日常の裂け目から恐怖を立ち上げ、違和感が真相へ変わっていく過程を描くホラー小説。

記憶時間人間関係表現の力

作品情報

『バイロケーション』は、言葉の密度と題材の力で読者を作品世界へ導く。

『バイロケーション』は、法条遥の関心が凝縮された作品として読める。日常の裂け目から恐怖を立ち上げ、違和感が真相へ変わっていく過程を描くホラー小説。

レビュー要約

  • 題材への向き合い方と文章の手触りを評価する声があり、作品の余韻や構成に注目されている。

書籍情報

出版社
KADOKAWA
発売日
2010-10-23
ページ数
432ページ
言語
日本語
サイズ
10.5 x 1.9 x 15 cm
ISBN-13
9784043943876
ISBN-10
4043943873
価格
383 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品

第17回日本ホラー小説大賞、長編賞受賞作! 画家を志す忍は、自分と同じ人間が現れる奇妙な事態に遭遇。同じ境遇で悩む人々は、それをバイロケーションと呼んでいた。新たな二重存在を提示した、第17回日本ホラー小説大賞長編賞受賞の新感覚ホラー!

●法条 遥:1982年、静岡県生まれ。『バイロケーション』で第17回日本ホラー小説大賞長編賞受賞。

レビュー

  • ホラーいや、小説の概念を超える素晴らしい作品。

    この作品を読み終えてまず思うのは、これは単なるホラーではな断じて無い!という素晴らしい作品でした。 ホラー=恐怖、残虐、暴力、流血、殺戮。これが所謂、ホラーの定義となるのではないでしょうか。 特に最近はこの傾向が強い、と感じる。しかしながらこの作品にはこの定義は当てはまらない。 それが「ホラーだろ!!」といには、あまりにも陳腐で安っぽい。それを思い知らせてくれた作品でした。 ストーリーを語ると自分のつたない表現ではこの物語を台無しにしかねないので敢えて触れたく無い。 しかし、矢張り最後はその選択を選ぶのか・・・・・・・。読み終えて思わずそう口していた。 今、こうしてレビューを書いていると悲しく、切なくなる。少なくとも素直にそう思う。 今まで読んだホラー小説いや、今まで読んだ本の中にこんな気持ちにさせられる物語があったかな? そう、そんな素晴らしい作品でした。是非、この作品を読んで欲しいと今、強く思う作品です。

  • せつないSFミステリー

    古典をのぞいて初めてkindleで読んだ長編小説。 数日かけて楽しみながら読むつもりでしたが、展開が気になって一晩で読んでしまいました。 読みやすい文章、着いて行きやすい話で、伏線も回収されますからミステリー好きにおススメします。 「鏡に映らないならカメラにも映らないはず。映ったというのは嘘で、何かの伏線?」 と考えながら読んでいましたが、そこは単なる設定の問題でした。 前半は謎解き中心ですが、後半は本当の意味での問題解決とは何かが争点に。 ヒロインが夫との平凡な結婚生活をどれだけ愛しているかが強調されていた理由がわかります。 正当派ミステリー的なハッピーエンドを期待してしまいましたが、これはホラー小説なんですよね。 登場人物に強く感情移入してしまった人たちから 「自分だったらこう書いた!」「他にやり方があっただろ、ふざけんな!」 と低評価をつけられそうな気がします。 しかし自分であって自分ではない人物に人生を乗っ取られていくことの怖さが、この話の肝なのでしょう。 そういう意味では加納が本当に気の毒でした。合掌。

  • 前半はおもしろかったが

    ちょっと話の展開が強引かなと感じた。 バイロケーション被害者の会を作って みんなで対策を考えようって所はおもしろかったのだが その主催者である飯塚(金持ちで権力者)を便利に使い過ぎている。 殺人しても揉み消せるとか、うーん。 あと謎解きもいまいちピンと来なかった。 オリジナルの方が次々と殺されて行くのだが 真相がショボいので、この展開いらなかっただろと思ってしまう。 ホラー要素が足りないから無理矢理いれたって感じがします。

  • 次回作を待ってます!

    ドッペルゲンガーの小説を読んだことが無かったので、バイロケーションという設定のどこが具体的に新しいのか正直分からないのだが、終盤に入った段階で、このドラマを作る上でこの設定が無くてはならないものだったと気づく。大きなオチに当る部分(と考えていたもの)が中盤に仄めかされてしまうので、「え、なんで?」と思っていたが、最後の全てが明らかになる所では、緻密に組み立てられた斬新なドラマならではの驚きがてんこ盛りで舌を巻いた。間抜けなほど口をあんぐりと開けていたように思う。とても楽しめた。ただ、ちょっと最後だけに偏りすぎてバタバタした感じはするが…。20代の新人がこれだけの作品を書いたことに驚く。「今後大化けしそう」とのホラー小説大賞選者の意見があったが、おそらくその通りになるだろう。次の作品を首を長くして待ちたい。

  • うーん

    文章やプロットが稚拙なので直ぐにタネが分かってしまうんですよね。 ミスリードもへたくそだし。残念

  • 個人的には納得の結末

    オチに驚愕とかそういった類のものではないが、結末には感嘆させられた。疑問が残る部分も多少あるけど、人の真理をうまく捉えてるなーと。化け物の類より一番怖いのはやはり人間。そういう意味で秀逸なホラー作品だと思う。

  • 映画を観る前に!

    これが189円でスプリットが180円! 映画を観る前に2冊を一気読み! 映画を観に行く気がなくなりました。 安物買いの・・・ 残念でした。

  • 同じであるハズなのに同じでなくなってゆく皮肉さ

    ◆ 個人的に良くなかった点 構成上仕方の無い事なんですが秘密主義で煮え切らない主要人物に、読者であ る私の方にフラストレーションが溜まりました。最後には、「秘密」は明かさ れる事になるのですが、今度は主人公の「自らを滅ぼしてまでも憎い相手を葬 ろうとする」強情さに、苦いモノを感じてしまいました。しかし、これも意図 されたものであり、この話の骨子であるため欠点とは言えないかもしれません。 あくまで私の「良くなかった点」です。個人的感情として救って欲しかったな、 という思いがしました。それと、おそらく「己の不確かさ」に恐怖を感じない 人には、まったく怖くない内容ですね。 ◆ 個人的に良かった点 アイデアが素晴らしいと思いましたね。 一方は、たった一つの望みすら叶えられず困窮し、鬱屈し、卑屈になってゆく 者。そして一方は、些細な幸運で困窮を抜けだし、認められ、希望を持つよう になって行く者。 この二つの「状態」が両立している状態から崩壊するまで、そしてその微妙な バランスを解きほぐし解決しようとする者の「策」や、解決の方法を示唆する 者達の苦悩と決着。ストーリーは非常によく練られています。 それに加えて「同じように困窮しているはずの者が、自分をさしおいて認めら れ、幸せになって行くことに対する羨望や憎しみ」など、人である以上抑えが たい負感情を、ストーリーにうまく噛み合わせています。 「無駄に高いプライド」という主人公の吐露のあたり、愚かさや憐れさ、悲哀 すら感じます。総じて「怖さ」を重視する日本ホラー小説大賞でなかったなら、 大賞として銘打った作品として読んでも満足できるのではないかと思います。 ◆ 以下、ネタバレになります 最後、主人公が落ちて行く時「もう一人の私も、私を殺すだろう」と気付くシ ーンがあります。それは「幸福を半分にする事に耐えられない」という内容が、 全編にわたってちょくちょく出てくるのはここに集約されていると言う事なん でしょうが、非常に皮肉ですよね。物悲しい。 幸福を半分にする事が許せないから、幸福な自分も惨めな自分を殺すだろう。 しかしそれは「不幸な自分から見た幸福な自分」であって、物語中で出てくる すでに『差異』になってしまっている。不幸な『私』は、幸福な『私』を理解 する事なく死んでゆく。 逆に、もう一方の『私』は、幸福を分けようとしていますもんね。穿ってみれ ば、己自身の幸福だけでなく夫の幸福を願ったからでしょう。 『別人』になってからの、この心理的平行線。申し分なく伝わってきました。 「己主体の視野で別の己を許さない」矮小なプライドと頑固さで破滅に向かう 事と、「己以外の視野で別の己を許容」する事。同一人物の『平行線』はほん の些細な幸運が発端ですが、バイロケーションでない「普通人」もいかように も変われるんでは? という事も暗示しているのではないでしょうか。 飯塚が言うように。

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