日本の文学賞

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霧こそ闇の (メディアワークス文庫)

メディアワークス文庫賞

霧こそ闇の (メディアワークス文庫)

仲町六絵

戦国時代の大和を舞台に、物の怪を見る力を隠して生きる狭霧を描く伝奇時代小説。典医の妻として暮らす彼女の力が、病や怪異、権力者の死をめぐる謎と結びついていく。

伝奇戦国時代物の怪時代ミステリ

作品情報

物の怪を見る女が、戦国大和の闇に踏み込む伝奇時代小説。

戦国大和の政治的な不穏さと、物の怪を見る女の秘密を重ねた作品。怪異は謎解きだけでなく、人の怨念や土地の記憶を映すものとして描かれる。

レビュー要約

  • 歴史の空気と怪異譚を組み合わせた落ち着いた筆致が好まれている。派手な退治譚よりも、人の恨みや土地に残る闇を静かに描く点に読み応えを感じる反応がある。

書籍情報

出版社
KADOKAWA
発売日
2011-05-25
ページ数
306ページ
言語
日本語
サイズ
10.5 x 1.5 x 15 cm
ISBN-13
9784048704953
ISBN-10
4048704958
価格
1 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品

Amazon.co.jp: 霧こそ闇の (メディアワークス文庫) : 仲町 六絵: 本

レビュー

  • 和風ファンタジーって面白い!

    新人とは思えない筆力、構成力。 平安時代とか鎌倉時代とか、闇が濃かった時代って、 和風ファンタジーにピッタリだとあらためて気づく。 時代背景もちゃんと調べているのがわかる。 奈良の興福寺の寺領を治める一武将、筒井家。 たぶん、地域の歴史書などに名前が出てくるだけの存在、 そんなマイナーなところを舞台に持ってこれたのは 逆の意味ですごい。 土地勘も時代背景も読者の側にはまっさらなところに、 彼女の筆だけで、すべてが書き込まれていく。 有名な武将は最後の最後に織田信長の名前が出てくるだけ。 それなのに、最後まで飽きさせずぐいぐいと引っ張っていく。 そして、最後、ちょっぴり泣けた。 こういう作品をもっと読みたい! ぜひ、今後も独自路線を走ってほしいと思ってしまう。 とても大変だと思うけれど。 でも、坂本竜馬だって、司馬さんが書くまで世の中には 忘れられた人だったわけだから。 次回作が今から楽しみです。 応援してます。

  • 時代を超えてなお変わらぬもの

    天文二年、西暦一五三三年。筒井順興の下に典医として仕える義伯に、ひとりの妻があった。義伯の医術と胆力は稀なものではあったが、その妻・狭霧が持つ見鬼の才は、さらに稀なものだった。普通ならば癒すことができない病であっても、それが物の怪に端を発しているものならば、狭霧はその物の怪を退けることが出来る。そして弱った身体は義伯が癒すことで、筒井順興の深い信頼を得ていた。 しかしその平穏な生活も、順興の末子・力丸が病死したことで一変してしまう。力丸が義伯に祟り、彼は酒におぼれてしまうのだ。そして、彼らの一子・鷲王も死病に罹ってしまう。だが、狭霧には力丸の力が強すぎて祓えない。そんなとき、ひとりの行者が彼女の前に現れ、ある事実を告げる。 戦国乱世のはじまり頃にあって、人間と人間の力を超えたものが、人間の歴史に及ぼしていった影響をひも解く物語。女は平穏を求めながら自らの持つ力が超常ゆえに男に隠そうとし、男はそれを知りながら女を自らの下に留め置き平穏に暮らそうとする。しかしそんな想いも、彼らの力を超えたところで起きる動乱と、それを起こす人間たちの思惑により、押し流されてしまう。 寄り添う夫婦が互いを思うがゆえに離れ離れになり、そしてまたひとつになるという物語を、しっとりと歌い上げている。

  • 切なくも美しい

    戦国大名・筒井家へ仕える典医・義伯の妻・狭霧は、夫の他にはその力「物の怪を見る眼」を伏せて、義伯の医術を助けながら、一人息子との睦まじい暮らしを送る。しかし二人はやがて、避けられない宿命の淵へと引かれて行く。 乱世に彩られた筒井家の闇と、呪術を操る宿敵との戦い。明かされる異能の力の理由。淀みなく端正に綴られる物語は、人々に纏い付く因果を無限にも思わせる。 これを読んでふと、上橋菜穂子さんの「狐笛のかなた」を思い出しました。しっかりとした時代小説でありながら、日本土着のファンタジーの雰囲気をも持ち併せる、読み応えのある一冊です。

  • 異類婚姻譚がベースのオーソドックスな伝奇小説

    九年少々ぶりの再読。 戦国中期、筒井順興当時の大和が舞台の和物ファンタジー。人妻ヒロインですよ、人妻ヒロイン! 異類婚姻譚がベースのオーソドックスな伝奇小説ですが、家族を愛する狭霧の心情を重視した内容なのでオカルト色やアクション色はかなり薄め。 特殊な能力を持つ人外ではあっても狭霧はそれほど強くなく、悪玉として暗躍する行者や黒幕の外法使い弘光も(呪力の厄介さは別として)扱いはとっても軽くて、退場のあっけなさに唖然茫然。まあ、巨大な悪や因縁の宿敵をやっつけてカタルシスを得るような物語ではありませんからね……。 「神と我とが善。そのほかはおしなべて悪しきもの」といい切る、弘光の論理はまことに秀逸。すると行者の方は、自分が悪いことをやっているという自覚があったのね。 本来は独立した短編だったメディアワークス文庫賞の受賞作(一章)に続きのストーリーを継ぎ足したものでして、あとがきにいわく、公式サイトで一章のみを先行公開、三ヶ月後に続きを書き加えて文庫化したのだとか。すっごいハードなスケジュールだったのではないですか? 一章ではたんなる脇役だった筒井順興の存在がどんどん大きくなっていったり、逆に義伯の存在は後半では持て余し気味だったりで、長編化の苦労がしのばれるのであります。

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