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リベリオ・マキナ ―《白檀式》水無月の再起動― (電撃文庫)

電撃小説大賞

リベリオ・マキナ ―《白檀式》水無月の再起動― (電撃文庫)

ミサキナギ

書籍情報

出版社
KADOKAWA
発売日
2019-02-09
ページ数
312ページ
言語
日本語
サイズ
10.7 x 1.5 x 15 cm
ISBN-13
9784049123289
ISBN-10
4049123282
価格
350 JPY
カテゴリ
本/コミック・ラノベ・BL/ライトノベル

絡繰騎士は叛旗を翻す――孤独な姫を救うため、偽りの世界に抗うため。 ☆★☆第25回電撃小説大賞《銀賞》受賞作☆★☆ 対吸血鬼戦闘用絡繰騎士《白檀式》――ヘルヴァイツ公国が誇る天才技師・白檀博士の“五姉弟”は欧州を吸血鬼軍の侵略から救う英雄となる……はずだった。 十年ぶりに目覚めた“失敗作”、第陸号・水無月は想定外の戦後を前に愕然とする。起こるはずのない暴走事故により、“虐殺オートマタ”として歴史に名を刻んだ五体の姉兄たち。さらに大公と吸血鬼王による突然の和平を経て、公国は人間と吸血鬼が平等に暮らす世界で唯一の共和国へと変貌を遂げていた。 亡き博士の娘・カノン、吸血鬼王女・リタとの出会いを通じ、新たな“日常”を受け入れていく水無月だったが――。 第25回電撃小説大賞《銀賞》受賞・オートマタの少年と二人の姫が織りなす、正義と反抗のバトル・ファンタジー起動!!

●ミサキナギ:第25回電撃小説大賞《銀賞》受賞。電撃文庫『リベリオ・マキナ ―《白檀式》水無月の再起動―』にて2019年にデビュー。

レビュー

  • 吸血鬼と人間が共存する世界。『失敗作』の機械人形(オートマタ)が覚醒する

    1960年に公的に吸血鬼の存在が明らかになるとともに、西ドイツを皮切りに東ドイツ、ポーランド、 チェコスロバキアが吸血鬼のもとに占領。吸血鬼は西独の南に接し、ゼンマイ仕掛けの機械人形である オートマタが発達しているヘルヴァイツ公国(位置的には現実世界のスイスに相当するものと推察できる)に 攻め入り、1967年にノイエンドルフ地方(チューリッヒ州、アールガウ州、トゥールガウ州、 ザンクト・ガレン州に相当すると推察できる)を占領するが、1970年に皇太子妃であった白檀春海が 開発した戦闘用オートマタ五体が投入され、奪還に成功する。しかし戦後オートマタたちが暴走し人間、 吸血鬼関係なく虐殺し、春海が死んだことをきっかけにヘルヴァイツの人間と、強硬派と袂を 分かった穏健的な吸血鬼が手を結び、虐殺を止めるとともにヘルヴァイツは1973年に共和制に移行し、 人間と吸血鬼が共存する国家が誕生した――という世界。 時は流れ1980年。戦闘に投入されないまま十年間の眠りにつき、表向きには存在しないことに なっている六番目のオートマタである水無月は大公家の血を引くとともに春海の娘であるカノンと ともに身分を隠して市井で暮らし、人間の従姉弟どうしとして国立ハイデン高等学院に通っていた。 あるトラブルにより共和国軍の少将で大王の第三皇女であるリタと邂逅した水無月とカノンはともに この国で開催されるオートマタコンテストに参加することになるのだが、強硬派であるヴァンパイア革命軍との 争いに巻き込まれることとなり――が序盤のストーリー。 なぜ吸血鬼は1960年に人間社会への進行を始めたのか、なぜ水無月は春海に不適合の烙印を押されたのか、 制圧されてこの世にいないと思われた『姉』である睦月がヴァンパイア革命軍の側についているのか (睦月が白いスーツを身に纏っているのは、誰を屠ろうとも返り血を浴びる真似はしないという メッセージであることが示唆されている)、そして五体の戦闘用オートマタは暴走したのかという 謎を提示するとともに、暗殺者としてプログラムされたものであるにせよ、吸血鬼たちの心臓を 抉って悦に入り、死を通じて生を感じる中性的な顔の少年という存在はある意味において 狂気じみた雰囲気を醸し出している。 作者が1980年という、現在ほど欧州の統合が進んでおらず(EUはまだ存在せず、前身である ECの時代である)、高速インターネットや携帯電話、衛星放送が存在しない時代を選択し、 おそらく作中の会話はドイツ語で展開されており、睦月、如月、水無月が月の別名であることに 気付いていないという設定の妙がありながら、共和制に移行しておきながら人間側に大公、 吸血鬼側に大王が存在する、東西冷戦が考慮されていないという設定に違和感を覚える (『共和国』でありながら、人間の大公や吸血鬼の大王という『君主』が存在するという状態)が、 おそらくまだ明らかになっていない何らかの設定や理由があるものと思いたい。 また、記憶媒体と言えば磁気、下手したらパンチカードで、ファミコンですらバイト単位の 情報量の限界に苦心し、ビデオデッキもほとんど普及していない時代であるにもかかわらず、 不揮発性メモリ容量を湯水のように使ったり、携帯電話やスマートフォンのSIM/eSIMを 連想させる所有者認識チップが使われていたり、ビデオで映画を観たりという オーバーテクノロジーはご愛敬といったところか。 本作は第25回電撃小説大賞銀賞入賞作品であり、巻末に今年の夏の続刊の刊行がアナウンス されているものの、どういうわけかAmazon Vineのサンプル対象となっており、個人的なことで 恐縮であるがVineで入手させていただいたのだが、AMWが何の意図を以てVineに投入したのかが 理解できず、吸血鬼ものという電撃文庫では手垢のついたジャンル(とはいえ機械人形を 組み込むことで差別化を図っている)である本作に対し、普段電撃文庫を手に取らない層から バイアスが掛かっていないフラットな意見を求めているのではないかという推察をすること しかできない。 また、銀賞を獲った作家は売れる確率が高い(杉井光『神様のメモ帳』、支倉凍砂『狼と香辛料』、 蒼山サグ『ロウきゅーぶ!』、和ヶ原聡司『はたらく魔王さま!』、瘤久保慎司『錆喰いビスコ』) ので是非頑張ってもらいたい。

  • 読みやすく標準的な面白さ

    目立った個性はなく、話も落ちるところに落ちるという感じ 面白かったとは思うがともかく凡庸 非情に読みやすく、テンポよく読み進められる点は評価したい 良くも悪くもお手本的なライトノベル オススメはしない

  • 設定&文体共に折衷感を表立たせて、幻想的世界観の創造に腐心されている♪

    初版付属帯に 【三雲岳斗】 が煽り文を寄せられていますが、その中身も同氏が好みそうな近未来空想ファンタジーと言える作品です。 特異な点は、男子主人公が機械仕掛けの「絡繰り人形」で、ヒロインや敵役には吸血&魅了能力を有した「吸血鬼」が置かれている点ですが、世界設定自体は過去の欧州に近い箇所もあります。 その男子主人公は、機械仕掛けで注油が必要だったり、教科書なんかも丸暗記出来てしまうメカニカル設定ですが、その容姿は主人公らしく女子に負けない程の美麗さで、体内には人工血液も流れていたりと、下手をすればサイボーグよりも人間らしいと言う認知で問題ありません。 物語の流れとしては、嘗て兵器として戦場を駆けた男子主人公は、暴走の末に惨劇を引き起こし、その技師でもあるヒロイン(白)と共に、舞台となる学園では底辺に甘んじていましたが、物語が動くと共にバトルモノとして覚醒していき、やや「俺様強ぇ!」寄りな演出等と共に、盛り上がって行く感じです。 また女性陣には、吸血姫ヒロイン(赤)も押し強く絡んで来て、三角関係調のWヒロイン設定となっており、当然体格差&性格差は御期待通りと言う印象です。 作風としては、ラノベらしいスキンシップ(お色気有り)で和ませてもくれますが「メカ×ファンタジー」なフロップ設定を楽しむ傾向も強く、折衷主義と言って良いかと思います。 尚、続刊の販売も決定していますが、本書は序章として綺麗に纏められており、最高賞では無く銀賞受賞作らしいですが、商業作品として安定執筆されていると感じます。 一方で表紙&挿絵は、元旦生まれのイラストレーター 【れい亜】 が担っており、キラキラした女子キャラを得意とする方ですが、意図してか挿絵は重苦しいシーンが多く選ばれており、ちょっと惜しい気はします。 総じて、世界設定には捻りを加えようと苦心されていますが、やっている事は王道と言える鉄板ラノベ展開で、重めのテーマの割には軽く読み切れる仕上がり具合でしたので、☆×4ぐらいが妥当と感じます。

  • 三文小説

    よくありがちな内容と展開。薄っぺらい物語で次巻が出ても購入することはないでしょう。

  • 作者の能力が高い

    会話が多いですが、その中に必要のないものがなく、 必然のものばかり。 作者はこういう選択の能力が高いようで、 ムダな会話がないので、読んでいてテンポがよい。 会話内、対の会話同士などのリズムも素晴らしい。 これは会話以外の箇所もそうで、 短い文をうまく使っているので、非常にメリハリがある。 カチッ、パンといった、音で場面が変わるところでは 前後を行空けしている。また、「撃て」「止まれ」といった言葉が 続くところでは、そのつど最適な数の繰り返しが書かれている。 細かなところまで計算された作品だと思います。

  • 安定感のある「オール3」の凡作

    読んでみての感想は「普通」の一言に尽きます。 キャラ・物語・文章・設定、どれも☆3つで、目立った長所も欠点もないと思いました。 ・安定感のあるストーリーとキャラ ・終わり方は綺麗で感動的 で、最後までスムーズに読めました。 主人公の男の娘っぽい外見をいじるネタや、世間知らずぶりで笑えるシーンが少しありました。 ただし ・目新しい要素が少ない。決定的といえるレベルの魅力がない ・日常シーンが大半のためか、ストーリーの起伏が少なく、密度が薄い印象 ・壮大な設定の割にスケールが小さい話で、ポテンシャルを活かしきれていない ・バトル、ラブコメ、ドラマ、どれがメインかわからない(すべて中途半端) などの影響で、☆3つどまりでした。 スターウォーズで例えるなら、帝国と和解してジェダイの日常+小規模なバトルを描いた外伝的作品…といった感じでしょうか。本編的な話が読みたかったです。 ヒロイン2人が類型的で無難なのは看過できますが、敵キャラに魅力やインパクトが欠けていたので、バトルが燃えませんでした。 ただ、完成度の高い王道作品なので、決定的なレベルの不満はありませんでした。 この作品を高く評価しそうな人 ・求めているものは王道の安定感 ・壮大で濃い作品より、手軽でハートフルな作品の方が好き ・終わり良ければ全て良し この作品を低く評価しそうな人 ・意外性のある起伏に富んだストーリーが好き ・ファンタジーには壮大さを求めている ・バトルや魅力的な敵キャラの存在を重視している ・新人賞なんだから攻めた作品を読ませて!

  • ハードSFとライトノベルの中間

    無理やり近い雰囲気の作品を挙げるならば『コードギアス』。しかし出てくるのは巨大ロボットではなく、人間と同じ背丈のオートマタ。意思を持った機械人形、操り人形です。 舞台となるのは、異世界ではなく、地球。 吸血鬼族と人類の壮絶な闘いがあったあとの、吸血鬼族と和平を結んだヨーロッパの小国が舞台です。 人間の少女カノンと、戦争時に対吸血鬼戦闘用オートマタとして使われた水無月と、吸血鬼王女リタの三角関係の学園ドラマ。コメディあり、キュンとする展開あり。学園生活そのものは『ハリー・ポッター』のようなヨーロッパの格式を感じさせる雰囲気ではなく、どちらかというと馴染みやすい日本の学園生活に近いです。ジャージという言葉が出てきたり、休日デートの展開があったり。私服が可愛い……などなど。 学園ドラマのドタバタがあるいっぽうで、ところどころにアクションがあり、ハードなSF&ファンタジー要素がある。 ハードとライトの中間。ヘヴィとライトの中間というべきか、SFやファンタジー戦記のハードさと学園コメディの軽さが共存しているのです。10年前の人類vs.吸血鬼族の戦争時の暗くて壮絶な過去が時おり顔を出す。 この小説の独特の雰囲気を理解するのに時間がかかります。「あっ、そういうことなんだな!!」と分かるまでが難しい。読みすすみづらいです。しかし分かってしまえば、面白い。全五章で、二章・三章あたりで作品の狙いが分かってきます。 挿し絵も小説内容と同様に、ドタバタの絵とヘヴィな絵が半々ぐらいです。 オートマタの名前が「水無月」なので、オートマタの5体の兄たちがいる。吸血鬼とオートマタに関する設定も面白いです。 (外見上は人間と吸血鬼の区別がつきにくい。しかし吸血鬼は低温だから、オートマタは赤外線サーモグラフィーで吸血鬼か否かを見抜く) (オートマタは人間そっくりに作られているから外見上では区別がつきにくい。しかし首筋に所有者認識チップ挿入マークがあるから、首筋のマークを見れば一目瞭然。しかし水無月は髪でマークを隠している) (吸血鬼といえば「首筋」。首筋を噛む。「月」が出る夜に狩りに出るイメージ) (そういうふうに、吸血鬼と機械人形という全く異なる2要素をうまく繋げています。対抗するために開発され、高度に発達したということ以上に、2要素がうまく融合・構成してあります)

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