日本の文学賞

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キューポラのある街 1 (講談社文庫)

日本児童文学者協会賞

キューポラのある街 1 (講談社文庫)

早船ちよ

鋳物の町・川口を舞台に、中学生のジュンと家族の暮らしを描く児童文学。貧しさ、労働、家族の不和、在日朝鮮人の友人との関わりを通して、戦後社会を子どもの目から見つめる。

児童文学戦後社会労働家族川口

作品情報

キューポラの火が見える町で、ジュンは貧しさのなかから自分の未来を探す。

鋳物職人の父、生活費に追われる母、弟と暮らすジュンは、戦後の貧しい町で進学や働くことに向き合う。社会の矛盾を子どもの生活に引き寄せ、希望を手放さない物語として読み継がれてきた。

レビュー要約

  • 生活苦を正面から描きながら、主人公のまなざしが暗さだけに沈まない点が長く読まれる理由になっている。映画化作品としても記憶されている。

書籍情報

出版社
講談社
発売日
1977-02-01
ページ数
317ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784061380295
ISBN-10
406138029X

早船ちよによる児童文学作品。1961年刊行。1962年度の日本児童文学者協会賞受賞。同年、吉永小百合主演で映画化された。

レビュー

  • 生き方の原点がここにあります

    昔(30年以上前)読んだのですがこの歳になって又読みたくなりました。いかに生きるか、何をよりどころに生きるかは人間の永遠のテーマだと思います。

  • 成長過程を

    言わずと知れた名作。 #映画 化されもして、むしろ映画の方がよく知られているのかもしれない。私自身、その映画を観てはいないが知ってはいて、原作があるらしいとしか関心をもつことの永らくなかったわけであり。偶々手にいれてあった『ちさ・女の歴史』を何となく読んだことが機縁となり本著(本シリーズ)を読もうと思い手にしたわけだったが、初めから仰天させられた。中学三年生の主人公ジュンが、伯母の出産シーンに立ち会う回から話がはじまり。それもオブラートに包んだり、感動的なシーンに飾りつけるわけでなく、即物的といって差し支えないリアリズムの筆致で、赤裸々にそのものを描出する。産後のさまもまた。ジュンの初潮も、友人と科学映画なのか出産を写したドキュメンタリーを観るところも。うわッと声が出そうになる箇所がいくつかあった。これは女性にしか描けようのないものだ、とも思われる。さりとて、ここまでくっきりと、リアリズムで描いたものが、児童文学で、いや、大人の読み物でもあっただろうか。日本でも、海外でも。寡聞であるからか、私は知らないし、ないような気のされる。著者はあとがきに、主人公の近代的自我の目ざめを、心とからだの両面から、その成長過程を追究してゆくことにある、と述べる。まだ一巻であるが、その試みは成功しているように思われる。ジュンのからだの成長、心の成長。もとより、家族の成長だとか変化もある。顕著なのが弟のジュン。時代、環境もまた。川口市のキューポラに働くもののなかにあり。在日の方々がいて、北朝鮮に帰国する、というイベントがあり。ジュンは製紙工場に勤めることと決まり、次巻ではどうなるのか。

  • 映画が有名な原作シリーズ第1作

    吉永小百合の初主演作ということでも知られる名作映画の原作。 英語の cupola は丸屋根のことだが、日本で言うキューポラは cupola furnace、鋳鉄用溶解炉の意味になる。鋳物産業が盛んだった川口市を舞台にしている。タイトルの最後に「1 ジュン」と付いているが、続編が書かれた後に付け加えられたもので、作者はそんなに長く書き続ける(全5冊+外伝1冊)ことになるとは全く思っていなかったらしい。 ジュンと友達のノブ子が労働組合のこと、「職人」たちが働く川口の零細な鋳物工場では組合など考えられないことを語り合うシーンがあったり、在日朝鮮人の北朝鮮帰国運動が描かれていたりと、そういう時代である。そのような時代に、貧しい鋳物職人の娘であるジュンが高校に行きたいという思い、また弟タカユキの自由気ままなようで母親思いなところ等、様々な要素が、溶鉱炉の中で溶け合わされて一つにまとまったような傑作である。

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