保田與重郎 (講談社学術文庫 1261)
『保田與重郎』は、近代日本の批評家・保田與重郎の思想と文学的営為を、戦前から戦後にかけての知的状況の中で読み解く評伝的評論である。人物の魅力と危うさを併せて見つめ、保田の言葉が日本浪曼派や近代批判とどう結びついたかを検討する。
作品情報
保田與重郎の思想と文学を、近代日本の精神史の中に置き直す評論。
桶谷秀昭が保田與重郎の生涯と思想を論じた評論。新潮社版を底本とし、のちに講談社学術文庫にも収められた。保田の文体、思想的背景、戦後の位置づけを重ねて読む一冊。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 1996-12-01
- ページ数
- 245ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784061592612
- ISBN-10
- 4061592610
- 価格
- 908 JPY
- カテゴリ
- 本/人文・思想/哲学・思想/哲学
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1932年東京生まれ。1955年、一橋大学社会学部卒。1960年頃より文藝批評を書き始める。1978年に『ドストエフスキイ』で平林たい子文学賞、1983年に『保田與重郎』で藝術選奨文部大臣賞、1992年に『昭和精神史』で毎日出版文化賞、1995年に『伊藤整』で伊藤整文学賞を受賞。著作は、ほかに『天心 鑑三 荷風』『北村透谷』『中野重治』『二葉亭四迷と明治日本』などがある。現在、東洋大学教授。
レビュー
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難しいが読む価値あり
保田與重郎、桶谷秀昭両方とも難しい著述家であるが、こういう本を読むのも価値があると思う。各章、桶谷氏が言いたいことは平文で書いてあり理解できるが、後述、保田與重郎の文章の抜き書きし、それを桶谷が解説しているが、ほとんどフォローできない。第2章のヤポン・マルチは面白かった。最初Japan Multiと思ったが、Japan Marchという日本で初めとの行進曲の話しであった。
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王道的な保田論
保田への批評で戦後を論じたものは少ないが、数少ない例外である本書は、戦後を含む保田の生涯における文業を緻密に読み解いている。ロマンティック・イロニーの負の側面をも保田は知悉していたのではないかという言及は大変興味深い。 『土着と情況』に見られたアンビバレントはもはやない。深い愛情に貫かれた王道的な保田論。保田與重郎論と言えば、桶谷秀昭か川村二郎だろう。
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戦時の翼賛文学の仕組みと文学者の落とし前
日本浪漫派の中心人物で、戦時の翼賛文学者の代表として戦後文壇から追放された保田与重郎の、戦前戦時戦後に亘る文学活動を辿った著書。以前保田与重郎の文章を読んだとき、文体の奇妙さに引っかかっていたし、その言われようが気になっていたので、読んでいて納得するところが多々あった。 理想を強く求める純粋さと激しさが現実の上で敗れ去ったとき、蒼白く燃え上がるイロニイの炎、それは我が身滅びよとばかりに文学者の脳髄から放射されて読み手を熱くする。この構図において、保田与重郎と小林秀雄は非常に近いところにいる。保田与重郎にとっての不幸は彼の懊悩の旋律の訴求力の強さを利用されたことだ。しかし、戦後、彼は追放された後もずっと文学上の落とし前をつけている。有史以来屈指の繁栄を見せた戦後で、立場を違えずにいたすがたには、何か一種の誠実さを感じる。 好き嫌いで言えば好きではない作風の作家だが、その人としてのあり方には感銘を受けた。良作。