夢虫
都会の片隅で孤独に生きる若い女性と、彼女の周囲に集まる人びとの夢を描く連作小説集。家族や愛から遠い場所にいる者たちの感情を、清澄な筆致で掬う。
作品情報
孤独な人びとの夢が、都会の片隅でひそかに交差する。
講談社刊の連作小説集。誰からも愛されず、家族のきずなとも無縁に生きる女性を中心に、周囲の孤独な人間たちが見る夢を描く。
レビュー要約
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透明感のある文体と、孤独な人物たちへの距離の取り方が印象的で、幻想味を含む純文学として静かな余韻を残す作品と読まれている。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 1991-05-01
- ページ数
- 241ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784062048613
- ISBN-10
- 4062048612
- 価格
- 532 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
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レビュー
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まとまりの悪い連作短篇集
芸術選奨新人賞受賞作だが、当時43歳で、デビューから15年たっているので新人は変だが、『群像』に断続的に掲載した「夢ん虫」をキーワードにした連作短編で、主人公は都度違うが「有稀」という、最初に水仙の水を飲ませて男を死なせてしまう女が中心になっている。かといって全体が一つに収斂していくかというとそうでもない。中途半端な連作で、こういうのを選ぶあたりはいかにも芸術選奨だと思う。だが増田みず子の文章がいいので読めてしまう。
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9編の連作短編集
雑誌『群像』に1989年1月から1991年1月まで、3か月ごとに掲載された9編をまとめた連作短編集。タイトルについては、2番目に置かれた表題作の中では「二人とも夢ン虫さ」という言葉が出て来る。悪夢を食べる虫(と言うとバクみたいだが)で、夢が「食いつくされると、もう二度と夢を見ることができなくなる」と説明されている。 一応それぞれ独立した作品になってはいるが、個々に読んだのでは人物関係がわかりにくいところもあるだろうし、中途半端な結末と思えるものもある。登場人物が少しずつ増えながら、以前の作品で登場した人物も出てくる構成になっているが、全体を通してということになると、最初の『花』の有稀が中心的な存在である。この作品の悲しいラストには驚かされた。そして表題作の英夫。 別の短編では脇役ということであえて名前を明確に書かない手法がなかなか効果的であるが、最後の『風』のラスト・シーンは特に見事だ。