日本の文学賞

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月夜見

伊藤整文学賞

月夜見

増田みず子

古いアパートに戻った小説家の「私」が、倒れた継母の世話と住人たちの気配に囲まれながら、家族の記憶と老いの時間を見つめる長篇。月の光のように淡く冷たい視線で、生活の細部に潜む孤独と執着をすくい上げる。

家族の記憶老いと介護都市の孤独女性の内面

作品情報

月に照らされた古アパートで、家族の記憶と老いの現実が静かに重なっていく。

古いアパートに戻った小説家の「私」が、倒れた継母の世話と住人たちの気配に囲まれながら、家族の記憶と老いの時間を見つめる長篇。月の光のように淡く冷たい視線で、生活の細部に潜む孤独と執着をすくい上げる。 月に照らされた古アパートで、家族の記憶と老いの現実が静かに重なっていく。

レビュー要約

  • 日常の薄暗い感触を丹念に拾う文章が支持されている。派手な展開よりも、関係のずれや沈黙を読む作品として受け止められている。

書籍情報

出版社
講談社
発売日
2001-01-01
ページ数
287ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784062105491
ISBN-10
4062105497
価格
3691 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

力作長篇小説 家族だけれど他人、他人だけれど家族。 とけあうことない孤独を抱いた女たちの人生が交わるとき。 87歳のママハハが倒れ、生家の古アパートに管理人として移り住んだ小説家の「私」は……

1948年、東京生まれ。東京農工大学農学部植物防疫学科卒業。1985年、「自由時間」で野間文芸新人賞、1986年、「シングル・セル」で泉鏡花文学賞、1992年、「夢虫」で芸術選奨文部大臣新人賞受賞。他の著書に、『鬼の木』『風道』『水鏡』『火夜』など多数。

レビュー

  • 増田みず子が“ばなな”してます

    おもしろい。読み終えるのがおしいくらいだった。増田みず子はいつからこんなに小説づくりが巧くなったのだろう。本作では霊魂やら生霊やら予知能力やらといったオカルト的なものまで登場して、まるで吉本ばなな(まあ、ばななより小説づくりは遥かに巧いと思うが)。おもしろいのでこれからもこの路線でどんどん書いていってほしいものだ。といっても次作が出るのは1年以上先だろうから、それまでは氏の既作品を再読して渇きをいやすことにしよう。

  • 知ってるはずの知らない人/その逆……

    視点人物の百子は作者を連想させる作家で未だに馴染めぬママハハが病に倒れて旧いアパート経営を代行する。怪しげなのか、実はそうではないのか、アパートの住人には謎が多く、暮らし振りがなかなか見えてこない。早過ぎる父の死に纏わるオカルト展開に無理がなく、作者の力量を感じさせる。また、そのような描写から繋がるラストシーンが粋。

  • 虚実・叙述形式錯綜作品

    増田みず子の作品を読んだのはこれが2冊目だが、フィクションらしい話だった『シングル・セル』から約15年後に書かれた本作は、自伝的なところがあるのだろうかと思える。主人公百々子は作家で、孤独を描くのがうまいと評されているという設定なのだから、当然作者自身が投影されているのだろう。しかし作中で、書く時には嘘を混ぜるということをずうずうしく書く人ではある。 その百々子とママハハ千代との関係が中心に描かれていくのだが、三人称で書かれた部分と、日記や作家らしい覚書の一人称部分とが、入り混じっている。後半は、三人称による過去の出来事がほとんどであり、最後は、手書きで書いているという一人称部分で終わる。ただしこの最終部分、いつ書いたのかを考えると論理的には疑問がある。 タイトルについては、途中にも月が出てくるところがあるが、やはり問題は最後なのだろう。上辺がちょっと欠けた月の捉え方。アパートに入っていく人たちの意味はよくわからないが。

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