作品情報
柳生と朝鮮伝奇の奇想が、壮大な時代活劇としてぶつかり合う。
『柳生大戦争』は、歴史の隙間に大胆な伝奇的発想を差し込み、剣豪小説と国際謀略を結びつける。荒山徹らしい奇想と速度感を備えた長編である。
レビュー要約
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時代小説として、題材の選び方と表現の密度が評価されている。読者には背景や形式への集中を求める一方、短い作品の中に残る余韻が強い。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2007-10-23
- ページ数
- 341ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784062143448
- ISBN-10
- 4062143445
- 価格
- 405 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
伝奇小説の奇才・荒山徹ワールド全開の長編高麗の「檀君神話」にまつわる秘密の書翰が巻き起こす柳生対柳生の戦い。その先には、時空を越えた歴史の皮肉があった。これを奇書と呼ばずして何と呼ぶ?!
レビュー
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バンコラン友矩と家光の男色シーンは腐女子の皆さん必読
タイトルは柳生一族が巻き込まれた 朝鮮vs後金(清)の大戦争という意味である。 最初の10Pと最後の10Pを朗読して聞かせて、 同じ本だと看破出来る奴は一人もいないだろう。 元寇で日本海に沈んだ朝鮮兵を弔う為に、 命懸けで野蛮な敵国倭に渡ろうとする、 朝鮮僧を主人公にした格調高い歴史文学が、 落語の考えオチみたいに終りますw 純文学よりエンタメの方が大きな可能性を持つ 優れた表現形式だと認識出来る傑作である。 荒山先生の暴走は、司馬遼太郎 にも容赦がない。 朝鮮の歴史ものに対しては、司馬遼太郎 より 井上祐美子の方を高評価されております。 山田風太郎 の「信玄忍法帖」で雑魚扱いされ、 <忍法時しぐれ>の前に呆気なく敗退する剣豪 神後伊豆(上泉伊勢守信綱の片腕)が 重要な役回りで出てくるので、 神後伊豆のファン(いるのか?)の方は必読。 柳生友矩と将軍家光の男色シーンもイパーイありますので、 ヤオイスキーの腐女子の皆さんも必読である。 朝鮮柳生(笑)の美少年剣士団も出ますわよw 柳生ものではない荒山先生のあの作品も絡みます。 あの作品読んでないと、ラストの興奮度が薄まると思うので、 満点は付けないが、 エンタメの無限の可能性を提示した大傑作である。
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清(後金)VS李氏朝鮮の大戦争
荒山徹先生お得意の朝鮮+柳生モノであります。 三部構成の第一部は元寇直後、高麗兵の供養のために日本へ渡ろうとする老国師を格調高く語るところから始まるのですが、柳生悪十兵衛が登場する辺りから雲行きが怪しくなりまして、マラなし芳一(笑)の怪談を経て、作者ノリノリの檀君神話捏造講座で締めくくられます。何てこったい。 第二部〜三部はおなじみの柳生三兄弟が大陸に渡って、清(後金)VS李氏朝鮮の大戦争に巻き込まれることに。鎖国のために海外情勢に疎い徳川幕府の平和ボケぶりと亡国の危機に直面した朝鮮宮廷の対比が素晴らしく、我が幕府はこっちの都合で首吊りの足を引っ張るようなことをやっております。 作中で作者も断っている通り、本作の柳生三兄弟は朝鮮情勢を描くための案内役あつかいでありまして、まともな女性キャラが出てこないとか、後半は神話捏造の一件がどうでもよくなっているとか、ツッコミどころは満載なのですが、あまり描かれることのない清VS朝鮮の経緯がぐいぐい読者を引っ張ります。 今回「妖術は出てこないのかな〜」と物足りなく感じていましたら、最後の最後でとんでもないオチが待っていました。こいつはひでえ(笑)
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柳生の終わり 蒼穹の報告書へ?
後書きを読む限り、著者の柳生物はこれが最後のようです。私は韓国旅行と日本史、世界史の本を読むのが好きです。そのため著者の作品は楽しく、手に汗を握り拝読させてもらってきました。著者はこれまで柳生・朝鮮半島を期待された書物を書かれてきました。宿命とも言える傑作が何冊もあります。しかし、この作品は著者の思いとは別に、無理矢理書かされた作品ではないでしょうか。そう解釈したいです。最後の場面、その前の場面でのメインともいえる剣戟の描写は淡泊すぎます。敢えて狙った枯淡の境地でもないです。作品中には中国の激動とも言える明から清への転換を、柳生をキーワードにして、この時代に関心のない一般的な歴史小説ファンに伝えたかったという主旨の文章がありました。今回この文庫の文末に収められた書き下ろし小説では、十兵衛を著者の投影として、散々文学賞で落選してきた過去が書かれています。鬱屈した印象は過去作品の十兵衛にも投影されています。功罪半ばする司馬遼太郎作品への批判もこの作品では目立ちます。そして、今後の著者の方向性は、嗜好性は、もしかして、浅田次郎『蒼穹の昴』な方向性でしょうか?
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BL美剣士 冒険譚?
第一部は朝鮮の老僧が同胞の霊を供養するために日本へ行くという、崇高な場面から始まる。しかし第二部は柳生友矩と将軍家光の濃厚な男色シ−ンが出てくる。あまりの話の展開に唖然としてしまった。この作品は男色シ−ンが結構でてくる。主人公の柳生友矩も妖艶で大胆な人物だ。 よくぞ男性作家がここまで書いたと思うと驚きだが、いや同性だからこそ登場人物の内面を描写できたのだろう。 当時の朝鮮の歴史、政治が細かく書かれその歴史まで変えてしまう日本人剣士の活躍。 柳生一族の愛憎入り混じった骨肉の争い また思わず吹き出す台詞など一気に読ませるものがあると思う。 ただ残念だと思うのは閑話休題として他の作家の話を入れてあることだ。 物語に浸りきりたいのに途中でつまずいてしまう。
関連する文学賞
- 舟橋聖一文学賞 第2回(2008年) ・受賞