書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2015-08-05
- ページ数
- 366ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784062196673
- ISBN-10
- 4062196670
- 価格
- 1037 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
【第61回江戸川乱歩賞受賞作】問題。悪い人は誰でしょう?――ビデオジャーナリストの伏見が住む鳴川市で、連続イタズラ事件が発生。現場には『生物の時間を始めます』『体育の時間を始めます』といったメッセージが置かれていた。そして、地元の名家出身の陶芸家が死亡する。そこにも、『道徳の時間を始めます。殺したのはだれ?』という落書きが。イタズラ事件と陶芸家の殺人が同一犯という疑いが深まる。同じ頃、休業していた伏見のもとに仕事の依頼がある。かつて鳴川市で起きた殺人事件のドキュメンタリー映画のカメラを任せたいという。十三年前、小学校の講堂で行われた教育界の重鎮・正木の講演の最中、教え子だった青年が客席から立ち上がり、小学生を含む300人の前で正木を刺殺。動機も背景も完全に黙秘したまま裁判で無期懲役となった。青年は判決に至る過程で一言、『これは道徳の問題なのです』とだけ語っていた。証言者の撮影を続けるうちに、過去と現在の事件との奇妙なリンクに絡め取られていくが、「ジャーナリズム」と「モラル」の狭間で、伏見はそれぞれの事件の真相に迫っていく。
呉勝浩(ご・かつひろ) 1981年青森県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。現在、大阪府大阪市在住。本作『道徳の時間』で、第61回江戸川乱歩賞を受賞する。
レビュー
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読みやすいし分かりやすい
面白かったー!スラスラと読めてあっという間だった
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犯人の動機の微妙さ、だが骨太の社会派推理小説
この著者のデビュー作であり本書は最終その年の江戸川乱歩賞を受賞するが、一部選考委員から 強い指摘を受け文章を大きく修正させられたと文末の解説で知る。我々が今読んでいるのは修正 後の作品だが、本書のメインストーリーとなる2001年の教育者殺人事件の犯人の動機も些か複雑すぎる 感は否めないと思う。しかしながら、深い謎解きを伴った社会派推理小説として秀逸の作品である ことには違いない。この2001年で逮捕されたのは被害者の教え子でなんの抵抗を試みることなく 罪を認め15年の刑に服している。この事件の舞台となる関西のある県に帰ってきて燻ぶった 生活を送る気鋭のビデオジャーナリスト伏見はある日越智という女からこの事件を扱ったノンフィクションビデオの カメラマンになるように依頼される。この事件をメインにしながら、伏見の住む町で起こる不可解な 数々の事件の謎解きが並行して描かれていく。この作品では随所で、ジャーナリズムのあり方、教育の 持つ意味と限界、そして筆舌に尽くせぬ劣悪な生活環境で生きざるを得ない人間たちの持つ 「道徳観」等々、くどくない形で掘り下げられていく。推理小説の枠を超えて、そのような掘り下げは 深くて読者を引きずり込んでいく。デビュー作とは思えぬ骨太の作品に仕上がっていると思う。
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ミステリーとしても秀逸だし、内容も深い
「みんなくん」「あなた」 これすごくよくわかりました。 ただ、こんな貧困が現在にあるのかな、とそこが疑問でしたが、 もう文章も、展開も、「道徳」とテーマにしたところも、すべて深かった。 選評を今、読んできたんだけど、瑕疵があって、このまま出版できない、とのこと。 「人権」「人物の背景」「差別」の単語がちらほら。 もしも作家さんが(名前から勝手に連想しているだけだけど) 「在日」で「犬を食べる」ことを「差別されている」、ことを描いているなら 抜かないでほしかったな。 言葉狩り、言論狩り、やめろって思う。 残念なことだ。でも、確かにそれがあると今のこの感想も変わるかもしれないので、 難しいですね。。。。
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入り込めなかったのは
江戸川乱歩賞を受賞した作品とのことですが、あとがきにあるようにかなり修正されたということです。 が、私にはいまいち入り込めない作品でした。 1 叙述が一人称なのか三人称なのか、ごっちゃになっていて読みづらく、だれのセリフかわかりにくい箇所があった。 これは、先に読了した「爆弾」「爆弾2」でも強く感じていて、叙述が独りよがりという印象。 2 小学校は美術ではなく図画工作。したがって美術室ではなく図画工作室または図工室。しかも、ナイフのようなものは使わない。彫刻刀だって、今日日安全装置が付いていて簡単に人は刺せないようにできている。しかも、美術室や準備室が無施錠というのはあり得ない。当時は、エッチング用の塩酸や溶剤のトルエン(シンナー)などを保管していたところもあるので、必ず施錠します。 あと、小学校で油彩画に挑戦すること自体聞いたことがない。学習指導要領でもそこまで求めていないし、図工専科の教員がいたとしても、非現実的。もし、ナイフというのがペインティングナイフのことなら、あんなペラペラの先端のもので人は刺せない。 たまたま今、出版社の校閲部に所属する主人公のドラマを見ているので、出版する前に校閲をどの程度したのか、疑問を感じる一冊でした。
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人間の記憶の曖昧さ。家族という厄介な物
公園の遊具に接着剤を塗るところは、最近実際に事件がありましたよね。驚きです。
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色々腑に落ちない
読んでて期待感はあるし、展開も悪くないけど、いくつか怪しいところもある。 粗探しする気はないが、読後感がパッとしない。 なんというか、期待してたカタルシスと違った。
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作中の犯人と映像監督の動機
直前に読んだ朝井リョウさんの『死にがいを求めて生きているの』にも関連して、作中の犯人と映像監督の動機が"生きがい"で印象的。
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文章やストーリーに独特の雰囲気。今後に期待します
ドキュメンタリー映像の制作を横軸に、過去・現在の犯罪が解き明かされていく心理サスペンス。 主人公の伏見のハードボイルドなノリについていけるかどうかが一つのハードルになるように思いますし、ところどころに稚拙さも感じます。 しかし文章やストーリーには独特の雰囲気もあり、デビュー作としては良作と言えると思います。 私はそれなりに楽しく読めました。
関連する文学賞
- 江戸川乱歩賞 第61回(2015年) ・受賞